男子ゴルフの石川遼にとって、今季3戦目となった米男子ゴルフツアーのフェニックス・オープン(米アリゾナ州・TPCスコッツデール=パー71)は3週連続の予選落ちに終わった。「こうすればいいというものが分からない」と語り、負の連鎖を断ち切れず、どうスランプから抜け出すかの“メビウスの輪”にはまり込んでしまったようだ。「簡単に予選を通過できる舞台だとは思っていない」とはいうが、昨年までの4年間で米ツアー44試合を経験しており、今さら感のあるコメントを発していてはまさに「お先真っ暗」か。
■好調を持続できずに自滅した初日
「3週目にして、ようやく自分のフィーリングを生かしてゴルフができそう」と大会前に語っていた石川。昨季痛めた腰への負担軽減を見越して、今年になってから取り組みだしたスイング改造が良い方向に進みつつあるかのように捉えられた。
ところが、いざ初日を迎えてみれば1オーバーの暫定104位。首位につけたフィル・ミケルソン(米国)は11アンダーと大会記録と自己ベストに並ぶスコアをマーク。それだけスコアを伸ばしやすいコースともいえた。
石川も序盤の2番(パー4)で5メートルを沈め、7番(パー3)ではピン10メートルと長いパットを決めて、ここまでボギーなしの2バーディーと言葉通り、好調なゴルフを展開した。ところが、9番(パー4)で第1打をフェアウエー・バンカーに入れてボギーをたたくと、雲行きが怪しくなった。10、11、12番とバーディーパットがわずかに決められず、スコアを伸ばしきらない。すると、「流れが変わったかな」と振り返った13番(パー5)で第1打を大きく左に曲げ、3打目でもグリーンに乗せられずにボギー。続く14番(パー4)では残り190ヤードの第2打をグリーン右手前のバンカーに入れて連続ボギーとしてしまい、「12番あたりまでは良かったのに、そこからミスが重なってしまった」と反省した。
それでも、スイングのメカニズムを考えすぎず「感性を生かしてプレーする」と心掛けて「先週よりは明らかにドライバーは飛んでいた。スイングのリズムは良くなっていた」と自ら評価し、光明を見いだしていた。実際、ドライバーの平均飛距離は初日306・0ヤードと平均(293・7ヤード)を上回っていた。そして「予選を通るためには伸ばさなきゃ。明日は5つ、6つバーディーを取っていきたい」と巻き返しを誓っていた。
■精度の低かったパッティング
しかし、その言葉は第2ラウンドではむなしく響く結果に終わった。
10番スタートの序盤、11番(パー4)で4メートル強のバーディーパットがわずかに入らない。12番(パー3)、13番(パー5)でもカップの際でボールが止まる。14番(パー4)では9メートル近いパットもカップ50センチ外れてバーディーチャンスを生かし切れない。
すると、ゴルフの女神もそっぽを向いてしまう。15番(パー5)でフェアウエーからの第2打を左に曲げて池に打ち込んでボギー。すかさず16番(パー3)で8メートル強を沈めてスコアを戻したが、難易度の低い後半の3番(パー5)ではパーオンできず、しかも5メートルのパーパットがまたもカップ間近で嫌われてボギー。「何で?」と首をかしげるシーンが目についた。その嫌な流れを断ち切れない。5番では4メートルを決めきれず、6番(ともにパー4)では3パットで連続ボギーとし、万事休す。1・917とこの日の平均パット数が物語るように「すごいミスパットもなかったし、思ったところに打てていた。一つでもバーディーパットが入ってくれば違ったと思う」と嘆くのも無理もない内容だった。
■データが語る壁
「たら、れば」はスポーツには禁句。「実力が足りないと思え」と厳しい声が聞こえてきそうだ。それを払拭するには「毎日毎日、時間を惜しんで自分が上達するしかない」と石川は肝に銘ずる。
1週休んで、ノーザントラスト・オープン(米カリフォルニア州)から再びツアーに出場するが、ここまでの3試合の部門別データをみると、平均飛距離は289・3ヤードの90位とまずまずと言っていいが、フェアウエーキープ率は52・58%の130位、ショットの正確性を示すパーオン率は65・87%の145位、平均パット数は1・82の151位と主要データはすべて下位。これではスコアメークもままならず、ゴルフ全体の調子を示す平均スコアは74・11の171位で、下から5番目という惨憺(さんたん)たる数値にならざるを得ない。
3週連続予選落ちではさもありなんと言ったところか。石川はこう話す。「3試合連続予選落ちで、どう思われるか分からないが、自分をしっかり持っておくことが重要。内容は取り返しのつかないものではない。いつか結果は出てくれると思って、すべきことを繰り返しやっていくしかない」
その心意気はいい。ただ、その方向性を示す正しい“羅針盤”が必要ではないか。タイガー・ウッズ(米国)はその時期ごとに自らが模索する方向性を示してくれるコーチに師事し、調子を上げ復活してきている。指針は眼前にある。
(産経新聞)
■好調を持続できずに自滅した初日
「3週目にして、ようやく自分のフィーリングを生かしてゴルフができそう」と大会前に語っていた石川。昨季痛めた腰への負担軽減を見越して、今年になってから取り組みだしたスイング改造が良い方向に進みつつあるかのように捉えられた。
ところが、いざ初日を迎えてみれば1オーバーの暫定104位。首位につけたフィル・ミケルソン(米国)は11アンダーと大会記録と自己ベストに並ぶスコアをマーク。それだけスコアを伸ばしやすいコースともいえた。
石川も序盤の2番(パー4)で5メートルを沈め、7番(パー3)ではピン10メートルと長いパットを決めて、ここまでボギーなしの2バーディーと言葉通り、好調なゴルフを展開した。ところが、9番(パー4)で第1打をフェアウエー・バンカーに入れてボギーをたたくと、雲行きが怪しくなった。10、11、12番とバーディーパットがわずかに決められず、スコアを伸ばしきらない。すると、「流れが変わったかな」と振り返った13番(パー5)で第1打を大きく左に曲げ、3打目でもグリーンに乗せられずにボギー。続く14番(パー4)では残り190ヤードの第2打をグリーン右手前のバンカーに入れて連続ボギーとしてしまい、「12番あたりまでは良かったのに、そこからミスが重なってしまった」と反省した。
それでも、スイングのメカニズムを考えすぎず「感性を生かしてプレーする」と心掛けて「先週よりは明らかにドライバーは飛んでいた。スイングのリズムは良くなっていた」と自ら評価し、光明を見いだしていた。実際、ドライバーの平均飛距離は初日306・0ヤードと平均(293・7ヤード)を上回っていた。そして「予選を通るためには伸ばさなきゃ。明日は5つ、6つバーディーを取っていきたい」と巻き返しを誓っていた。
■精度の低かったパッティング
しかし、その言葉は第2ラウンドではむなしく響く結果に終わった。
10番スタートの序盤、11番(パー4)で4メートル強のバーディーパットがわずかに入らない。12番(パー3)、13番(パー5)でもカップの際でボールが止まる。14番(パー4)では9メートル近いパットもカップ50センチ外れてバーディーチャンスを生かし切れない。
すると、ゴルフの女神もそっぽを向いてしまう。15番(パー5)でフェアウエーからの第2打を左に曲げて池に打ち込んでボギー。すかさず16番(パー3)で8メートル強を沈めてスコアを戻したが、難易度の低い後半の3番(パー5)ではパーオンできず、しかも5メートルのパーパットがまたもカップ間近で嫌われてボギー。「何で?」と首をかしげるシーンが目についた。その嫌な流れを断ち切れない。5番では4メートルを決めきれず、6番(ともにパー4)では3パットで連続ボギーとし、万事休す。1・917とこの日の平均パット数が物語るように「すごいミスパットもなかったし、思ったところに打てていた。一つでもバーディーパットが入ってくれば違ったと思う」と嘆くのも無理もない内容だった。
■データが語る壁
「たら、れば」はスポーツには禁句。「実力が足りないと思え」と厳しい声が聞こえてきそうだ。それを払拭するには「毎日毎日、時間を惜しんで自分が上達するしかない」と石川は肝に銘ずる。
1週休んで、ノーザントラスト・オープン(米カリフォルニア州)から再びツアーに出場するが、ここまでの3試合の部門別データをみると、平均飛距離は289・3ヤードの90位とまずまずと言っていいが、フェアウエーキープ率は52・58%の130位、ショットの正確性を示すパーオン率は65・87%の145位、平均パット数は1・82の151位と主要データはすべて下位。これではスコアメークもままならず、ゴルフ全体の調子を示す平均スコアは74・11の171位で、下から5番目という惨憺(さんたん)たる数値にならざるを得ない。
3週連続予選落ちではさもありなんと言ったところか。石川はこう話す。「3試合連続予選落ちで、どう思われるか分からないが、自分をしっかり持っておくことが重要。内容は取り返しのつかないものではない。いつか結果は出てくれると思って、すべきことを繰り返しやっていくしかない」
その心意気はいい。ただ、その方向性を示す正しい“羅針盤”が必要ではないか。タイガー・ウッズ(米国)はその時期ごとに自らが模索する方向性を示してくれるコーチに師事し、調子を上げ復活してきている。指針は眼前にある。
(産経新聞)