昭和21年4月から、昼間は(親父の仕事・レンガ職人の手伝い)土方の仕事で夜は、夜間中学3年生と言う生活が始まった。
学校に行ってみると、中学3年生は1クラスで、30人位でこのうち女子生徒が10人程だ。
年令もばらばらで、一番の年令者は30才近いと思われた。
しかし、ほとんどは15才前後である。
職業は、判った範囲で言うと。
自営運送業、税務事務所役員、不動産屋勤務、日本通運勤務、活版印刷所勤務、薬品会社役員、自動車教習所勤務、ソロバン塾経営、国鉄職員、自転車製造業勤務、信用金庫勤務、荒川区役所勤務、装身具製造業、国立病院事務、あめ横商店勤務、都電の運転手、レンガ職(私)、革靴製造職人、中小企業製造業勤務が4人。
追加 質屋の倅、小革製品製造(印鑑入れなど)。
職業もばらばらである。こんなところかな。そのほとんどは、親の仕事の手伝いをしている者が多い。
(職業を思い出し、調べるのが大変だった。自宅内を3か月位あちこちと探す。年賀状・同期会名簿・学友に電話などで問い合わせる。)
先生は次のとおり。
担当
大橋 校長
折田 先生 数学 クラスの担任(50才くらい)
関 先生 図工 (25才くらいで、我々生徒の年令に最も近い。)
中村 先生 忘れた、思い出せない。
小倉 先生 英語
小倉 先生 国語
和田 先生 忘れた、思い出せない。
?? 先生 音楽 女の先生だが名前が出てこない。
木村 先生 事務
蓮池 先生 事務
まだ、他の科目の先生が、いらっしゃったと思うが、これくらいしか思い出せない。
勉強が始まる。
一時間目 国語の時間 (国語は、今までも比較的好きだったので、この時間は安心して過ごせた。)
二時間目 数学の時間 (数学は、+÷-×程度で簡単なものならまずまず大丈夫。分数になると判らなくなる。)
(戦時中の中学校で、ろくに数学の基礎勉強をしていない。
他の科目全般についても基礎の勉強が足りないことが明白だ。)
三時間目 英語の時間 (英語は、前の中学時代に時間割りはあったが、教える先生が兵隊に出ていて、一回も勉強せず。
なにもわからない。この時間が一番辛い。)
四時間目 音楽の時間 (音楽部屋に移動して、ピアノの音にあわせて声を出す。中年の女の先生で授業も楽しい。)
(私は外で仕事をしている関係で、地声が大きいので、リズムがずれると、皆にすぐ笑われる。)
今日の授業はこれで終わる。
学校からの帰り道で、同じ方向に歩いて帰る仲間6人ほどと一緒になった。
同じ年代の仲間で、おしゃべりしながらの帰り道の楽しみが、私に追加された。
のちのち、この学友達と長い付き合いが続くことになる。
77才になった私。今の私とまだ友人としての付き合いがある。大切な友人達だ。
《仕事の話》
今度の工事現場は、先の「鉛筆工場」の仕事より規模が4~5倍大きい。
工事主は、「ゴム工場の経営者」だ。
現在の工場の隣接地に、今までより一回り大きい設備を作るのだそうだ。
一つ目は、「ゴム・ロール」の基礎工事。
(先の鉛筆工場のロールより大きく、2倍くらいのものだと言う。)
二つ目は、「ボイラー」工事。これは、親父の専門の「レンガ造り」
(ゴム・ロールで練ったものを、金型に入れ、ボイラーの蒸気で蒸し上げて製品を作る。)
三つ目は、「煙突の基礎工事」
(説明を分かりやすくするために。現在のもので説明すると、電気の送電鉄塔。こんな形の小型なも。)
(この工事現場の鉄製の櫓は、高さ15メートルくらいに成るという。)
《工事内容をもう少し具体的に》
① 煙突の基礎工事
今回の「ゴム工場」の煙突は、高さ15メートルの鉄骨作りのものだという。 過日の「鉛筆工場・ロール基礎」は、広さが畳み二畳手度で、深さが1.6メートル位だったが。
今度の仕事は一回り規模が大きい。
広さが、畳の大きさで表現すると、4.5畳位。
深さが、 3.5メートル位。
この中に、鋼鉄製の煙突を支えるための、鉄の櫓を埋め込む基礎工事だ。
② ゴム・ロールの基礎工事
先にも、説明したが、ここの「ゴム・工場のロール」は、「鉛筆工場」のものより一回り大きい。
仕事のやり方は、鉛筆工場とほとんど同じなので、此処では省略する。
③ ボイラーの工事
ボイラーの工事は、「レンガ職人」の出番だ。
レンガを積む仕事は、親父の本職だからね。
簡単に説明すると、6畳ほどのレンガ構造物を作って。
この中に「蒸気を発生させる鉄製の円筒を横剥きにすえて」下から「石炭を燃やす。」
この蒸気で、鋳型に入れたゴムを製品にしあげる。
説明が何か難しいな。
簡単な事例で言えば「鯛焼き」を想像してください。
相手が「鯛焼き」は、うどん粉・あんこだが。
こちらは、ロールで練り上げた「ゴム」だ。
この「型に入ったゴム」を「蒸気で蒸し上げる」のだ。
何が出来るのかを言ったほうが、理解が早いだろう。
「地下足袋の底」「運動靴の底」「工業用品のパッキン」などなど色々な物が作られる。
この工事現場は、30日くらいの予定だという。
B職人のダジャレ
B職人が、最初の現場では盛んに「私に向けた・ダジャレ」や「嫌味」を言ったが、そうは「ダジャレの種」が続かないと見えて、ここの現場では秀逸なものは出てこなくなった。
手作業の知恵を二つ
① 3-4-5 の法則。(板を三枚使つて。90度を測る。)
② 馬鹿棒 の使い方。(中心点を測る。長さを測る。材木だ。)
終戦直後のこの時代、「計量機」や「巻き尺」「水平器」など何も有りません。
すべて、手作業です。今度の工事では「目見当」はまずい。
では、《どのようにしたのでしようか。》次回までに考えてね。
学校に行ってみると、中学3年生は1クラスで、30人位でこのうち女子生徒が10人程だ。
年令もばらばらで、一番の年令者は30才近いと思われた。
しかし、ほとんどは15才前後である。
職業は、判った範囲で言うと。
自営運送業、税務事務所役員、不動産屋勤務、日本通運勤務、活版印刷所勤務、薬品会社役員、自動車教習所勤務、ソロバン塾経営、国鉄職員、自転車製造業勤務、信用金庫勤務、荒川区役所勤務、装身具製造業、国立病院事務、あめ横商店勤務、都電の運転手、レンガ職(私)、革靴製造職人、中小企業製造業勤務が4人。
追加 質屋の倅、小革製品製造(印鑑入れなど)。
職業もばらばらである。こんなところかな。そのほとんどは、親の仕事の手伝いをしている者が多い。
(職業を思い出し、調べるのが大変だった。自宅内を3か月位あちこちと探す。年賀状・同期会名簿・学友に電話などで問い合わせる。)
先生は次のとおり。
担当
大橋 校長
折田 先生 数学 クラスの担任(50才くらい)
関 先生 図工 (25才くらいで、我々生徒の年令に最も近い。)
中村 先生 忘れた、思い出せない。
小倉 先生 英語
小倉 先生 国語
和田 先生 忘れた、思い出せない。
?? 先生 音楽 女の先生だが名前が出てこない。
木村 先生 事務
蓮池 先生 事務
まだ、他の科目の先生が、いらっしゃったと思うが、これくらいしか思い出せない。
勉強が始まる。
一時間目 国語の時間 (国語は、今までも比較的好きだったので、この時間は安心して過ごせた。)
二時間目 数学の時間 (数学は、+÷-×程度で簡単なものならまずまず大丈夫。分数になると判らなくなる。)
(戦時中の中学校で、ろくに数学の基礎勉強をしていない。
他の科目全般についても基礎の勉強が足りないことが明白だ。)
三時間目 英語の時間 (英語は、前の中学時代に時間割りはあったが、教える先生が兵隊に出ていて、一回も勉強せず。
なにもわからない。この時間が一番辛い。)
四時間目 音楽の時間 (音楽部屋に移動して、ピアノの音にあわせて声を出す。中年の女の先生で授業も楽しい。)
(私は外で仕事をしている関係で、地声が大きいので、リズムがずれると、皆にすぐ笑われる。)
今日の授業はこれで終わる。
学校からの帰り道で、同じ方向に歩いて帰る仲間6人ほどと一緒になった。
同じ年代の仲間で、おしゃべりしながらの帰り道の楽しみが、私に追加された。
のちのち、この学友達と長い付き合いが続くことになる。
77才になった私。今の私とまだ友人としての付き合いがある。大切な友人達だ。
《仕事の話》
今度の工事現場は、先の「鉛筆工場」の仕事より規模が4~5倍大きい。
工事主は、「ゴム工場の経営者」だ。
現在の工場の隣接地に、今までより一回り大きい設備を作るのだそうだ。
一つ目は、「ゴム・ロール」の基礎工事。
(先の鉛筆工場のロールより大きく、2倍くらいのものだと言う。)
二つ目は、「ボイラー」工事。これは、親父の専門の「レンガ造り」
(ゴム・ロールで練ったものを、金型に入れ、ボイラーの蒸気で蒸し上げて製品を作る。)
三つ目は、「煙突の基礎工事」
(説明を分かりやすくするために。現在のもので説明すると、電気の送電鉄塔。こんな形の小型なも。)
(この工事現場の鉄製の櫓は、高さ15メートルくらいに成るという。)
《工事内容をもう少し具体的に》
① 煙突の基礎工事
今回の「ゴム工場」の煙突は、高さ15メートルの鉄骨作りのものだという。 過日の「鉛筆工場・ロール基礎」は、広さが畳み二畳手度で、深さが1.6メートル位だったが。
今度の仕事は一回り規模が大きい。
広さが、畳の大きさで表現すると、4.5畳位。
深さが、 3.5メートル位。
この中に、鋼鉄製の煙突を支えるための、鉄の櫓を埋め込む基礎工事だ。
② ゴム・ロールの基礎工事
先にも、説明したが、ここの「ゴム・工場のロール」は、「鉛筆工場」のものより一回り大きい。
仕事のやり方は、鉛筆工場とほとんど同じなので、此処では省略する。
③ ボイラーの工事
ボイラーの工事は、「レンガ職人」の出番だ。
レンガを積む仕事は、親父の本職だからね。
簡単に説明すると、6畳ほどのレンガ構造物を作って。
この中に「蒸気を発生させる鉄製の円筒を横剥きにすえて」下から「石炭を燃やす。」
この蒸気で、鋳型に入れたゴムを製品にしあげる。
説明が何か難しいな。
簡単な事例で言えば「鯛焼き」を想像してください。
相手が「鯛焼き」は、うどん粉・あんこだが。
こちらは、ロールで練り上げた「ゴム」だ。
この「型に入ったゴム」を「蒸気で蒸し上げる」のだ。
何が出来るのかを言ったほうが、理解が早いだろう。
「地下足袋の底」「運動靴の底」「工業用品のパッキン」などなど色々な物が作られる。
この工事現場は、30日くらいの予定だという。
B職人のダジャレ
B職人が、最初の現場では盛んに「私に向けた・ダジャレ」や「嫌味」を言ったが、そうは「ダジャレの種」が続かないと見えて、ここの現場では秀逸なものは出てこなくなった。
手作業の知恵を二つ
① 3-4-5 の法則。(板を三枚使つて。90度を測る。)
② 馬鹿棒 の使い方。(中心点を測る。長さを測る。材木だ。)
終戦直後のこの時代、「計量機」や「巻き尺」「水平器」など何も有りません。
すべて、手作業です。今度の工事では「目見当」はまずい。
では、《どのようにしたのでしようか。》次回までに考えてね。