子育て・私流

子供を三人育て、孫も五人になった。
男親の私がどのように考え、子供や孫に接してきたかを書く。

焦土の東京で 25 富士登山

2007年06月18日 | 焦土の東京で 土方と夜間高校生
昭和23年(1948)私も18才になりました。

夜間高校の友人数人との遊び事です。
  夏の 「海水浴」
  冬の 「スキー」は、前項のNO。24に書きましたので。
  
  今回は「日帰りハイキング」
     「桜の花見」 
     「たまに、一泊での山歩き」です。
焦土の東京も少しづつ復興して来ましたが、まだ何も無い時です。若者の遊び事には制約が多々ありました。

 1 まず、土方(職人)の休みは、月に二回で、一日と十五日です。他の仕事の人も同じ休み方と聞きました。
   一日と十五日では、日曜日になかなか合致しません。 
 2 金は(親父)がすべて握っており、なかなか遊び事というと出して貰えません。
 3 出かけるには、学生服が前提です。
 4 学校の行事でと言って、金と暇を貰い遊び事をごまかす。

日帰りハイキング
 1 高尾山と陣場山・相模湖
 2 奥多摩湖・日原鐘乳洞・御岳神社・青梅梅林
 3 秩父・三峰山・雲取山・武甲山
 4 丹沢山・大山神社
 5 三つ峠(川口湖)

日曜日になると、学友と東京近郊で日帰りできる山に登ることが多くなりました。

まず、下調べは「山と渓谷」と言う山岳雑紙で研究し、学友と此処はどうだろうと相談します。
   大筋で、いいだろうと言うことになったら、時刻表を買ってきて時間調べです。日帰りが可能かが前提ですから。
   この件も学友と合意に達したら、本屋で目的地の山付近の「五万分の一」の地図を買ってきて「当高線」で山の傾斜を調べてます。

こんな、準備仕事が私は好きで、この準備をしているだけで、既に一人で山歩きを楽しんでしまいます。

場合によっては、私鉄の始発駅に時間を調べに行くこともあります。

先の文章の、土方生活でも分かると思いますが、私の性格が「何事にも興味を示す」ことです。特に初めての事には、相当の興味をもっていますので。調べ事は少しもいやでないのです。

まして、初めて登る山で調べた予定通りに進んだときには、「やった」と私は声を出さずに一人喜びの声です。
学友との「ハイキング」は、上記に書いた山をすべて登りました。


《一泊の登山》

山登りも「ハイキング」では物足りなって、今度はもう少し高く違う山をやろうということになりました。
 1 富士登山(計三回登る)
 2 尾瀬登山(計学友と六回・その後も仕事仲間と八回登る。計十四回)
をやろうと言うことになりました。

ハイキングでは、同行する学友が六人いましたが。今度の登山計画では私を含め三人です。

《富士登山》

戦後の昭和23年のことです。富士山に行こうという話が出ました。ハイキング仲間に相談したら、六人の何時もの仲間でいいよ。と言ったのは三人でした。

一人は、  金と暇が無いし、富士登山できる体力も自信もないというのでダメ。
もう一人は、暇が取れないのと、親が高い山はダメと言うことで×。
さらに最後まで返事が無かった一人は、金と暇が無い、金と暇があったら家の仕事をしろ。と親父に叱られたと言う。こちらもダメ。

残る三人で、富士登山に登るということにした。

一人は、  活版印刷屋の長男で親父の仕事の手伝い。
もう一人は、中小企業製造業に勤務している。休みはなんとかなると言う。
もう一人は、私・昼間は親父の仕事の手伝いをしており、いつも土方の力仕事。体力は十分有ると自分では思う。

また、富士登山の調べが始まった。

現在なら富士山五合目までの登山道路が二本東と西にあるが、戦後間もなくのことだ下の駅から歩くしかない。

いろいろ、調べたらこんなことが解った。

先ず日程は、まるまる二日かかるということ。東京を早朝に出て「中央線で大月駅まで行き、そこで富士登山鉄道に乗り換えて富士吉田駅まで電車。

富士吉田駅から歩き出して、富士浅間神社の裏から登山道を辿り登り、富士山の七合目か八合目の山小屋に着いて一泊。

翌朝12時には起きて、富士登山開始し午前4時までには富士の頂上に立たないと「ご来光が拝めない」からね。と言う。
とくに、山小屋から先の登りは「空気圧が低い」ので、簡単には足が進まないからとね言う。

富士登山の経験がない、若者を脅かしているのかと思うが、仲間に相談すると「大丈夫だよ」と言う。

それではと、さらにもう少し詳しく調べることにした。

 ① 電車の時刻。荒川区から出て、新宿までの時間。
   次いで中央線で大月駅までの時刻。新宿駅の何番線から○○時何分に大月に向かう電車が発車するのか。
   大月駅から、富士吉田駅まで何分かかるのか、発車時間は、到着時刻は。
 ② 帰りの電車は。
   仲間と相談したら、帰りは「御殿場駅から国府津に出て東海道線て帰る」と言う。
   なぜかと言うと、富士登山の楽しみの一つに、山頂から下山するときに「砂走り道」と言うのがあって。
   小石交じりの砂道で、一足で5メートルは歩けるのだと言う。この下り道が時間も短縮できて面白いのだよ。
   帰りは、富士山を下山して「御殿場駅」に何時に着けるか解らないので、御殿場駅についてから、
   その場で決めようということになった。
 3 山小屋の予約をすると、お米を一合持参してくださいと言う。
 ④ 服装の話を聞くと、山頂は夏でも相当寒いので冬支度をするつもりでと言われる。
 ⑤ 7月1日が山開きですからねと言われる。
 ⑥ 何か、富士登山に怖じ気つく。
 ⑦ 食料は、自宅から「おにぎり」でも持っていかなければ、食べ損なうぞ。