「gui」74号、出ました。表紙は高橋昭八郎、事務用の紐付き袋の裏面と背面写真を素材とした新シリーズの一回目。背表紙グラフィックが特にいいです、中になにをいれて撮ったんでしょう。困ったひとだ。
今号では
南川優子の〈オンディーヌ〉が好きです。涙に溺れかけたらわたしなら平泳ぎするであろうと思いながら、そのゆくさきが玄関でも窓でもなくお風呂場であることに近しさを覚えます。それと、田口哲也の〈ロンドン日記〉。ケン・ローチが描いたあたりの街角で、酔っぱらい女のスカートに「謝絶」という文字をみ、輪島のようにふんばり、「調音」の授業を思い出し、差し出すことのないジャケットを羽織ったまま、短くなった葉巻きを火がついたまま運河に投げ入れ、部屋に戻ってバスローブのまま、だらしなく眠りこける過去の自分の姿に唾を吐きかけ、どこでもない世界へ飛び出してゆく田口哲也!!念のため言っときますが
『イン・ザ・プール』の田口哲也(オダギリジョー)ではなく
ほんものの田口哲也先生です。
四釜は印刷の詩を描きました。赤い顔料という名前の選手のルポルタージュですが、ちょっといまひとつだ。だいじなテーマなのでまた描きます。
……
バスローブを投げつけるグーテン、飛び散るスパンコール。
転がる転がる転がるってなぜ。透明の球体、中央に赤い玉、
安定した動きは美しいシルエットを描く、確実な着地、溜
めの効いたフィニッシュ、まっすにに伸びた両腕はここで
生涯一度の乾燥期を迎えるための合図。しっとり肉体が干
涸びる瞬間にマットに囁く。(赤きたましいの住処に!)
体操は終わりマットはベットに。壁や紙や、木材や。
…… 四釜裕子〈選手〉より
「gui」vol.27 no.74 April 2005 もくじより
王者の末裔 ウィリアム・カーロス・ウィリアムズ 飯田隆昭訳
レオン=ポオル・フォルグの詩(3) 秋元幸人
紫月 萩原健次郎
オンディーヌ 南川優子
ラセン セ 宗清友宏
ハプニング または レギオン 香川紘子
カード 國峰照子
歳末がやってきた 大園由美子
夜色の友人 山本テオ
壊れるプロセス 賀陽亜希子
遊び 小野原教子
魚竜昔話 山中真知子
崩れなく漏れる 遠藤志野
選手 四釜裕子
新明解常識辞典[其の二](まるの項) 藤富保男
宙吊りの家 関富士子
UNTITLED JOHN SOLT
諸悪の華 藤澤辻堂
東山の5尾の狸、またはアルコール性セクハラ恐怖症 読人知らず
ロンドン日記(11) 田口哲也
気まぐれ読書ノート(8) 岩田和彦
深川日誌 平成16年秋ー冬 山口眞理子
タンゴ・口には出せず(15) 遠藤瓔子
ぐるっとまわしてベジタリアン 岡村昭和
大空 濱條智里
薄暮から(2) 奥成繁
ふりむく犬 高橋肇
千駄ヶ谷 吉田仁
丘の上 森千春
なぞなぞ(8) 殿岡秀秋
壺 中津川洋
北園克衛『郷土詩論』を読む(38) 奥成達
gui 2004
contens gui no.74 April 2005 表紙・高橋昭八郎
gui・発行所 田村デザイン事務所
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