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おかえりのすけBOOK

bookbar4のメインキャラクター、おかえりのすけのページ

『無意味の原像』

2005-05-28 | 
奥成達氏の新詩集『無意味の原像』が出ました。表紙挿画は合田佐和子氏、発行はジョン・ソルト氏のhighmoonoon社、製作はbookbar4、くわしくは奥成達資料室からご覧下さい。

 虹の
 梱包を
 解
 くと
 跳ね
 る
 想
 いが
 身
 を
 よじ
 ら
 せ
 る暗

 い
 緑
 の
 魚
 の
 群れ
 の
 覆われ
 て
 いた
 泡
 を吹く
 風
 の味

 「風味」より一部抜粋

都市で青いウンコ

2005-05-27 | 
「都市」創刊号(1969 ) 田村隆一編集 詩を中心とする文学・芸術季刊誌

吉本隆明、金子国義、種村季弘、西脇順三郎、飯島耕一、加藤郁乎、吉岡実、入沢康夫、中村稔、吉増剛造、金子美恵子、高橋睦郎、萩原葉子、塚本邦雄、唐十郎ほか。詩作品の多くには自他注釈がほどこされている。堀内誠一の構成によるアジェやブレッソンらの写真、「底」と題された吉岡康弘によるお尻写真も。巻末には原稿募集のよびかけが。テーマは、汚物としての人間、または、何よりもだめな日本。

表紙:絵=野中ユリ、構成=神田昭夫
編集:田村隆一、守谷耀子
製作:矢牧一宏(矢牧一宏年譜/ふくろう叢書/皓星社参照)
発行所:株式会社都市出版社
グラビア・オフセット印刷:麹町美術印刷
活版印刷:光明社
製本:栄久堂製本

吉岡実の詩の世界の吉岡実詩集《神秘的な時代の詩》評釈1969年の項によると、同年、田村隆一の命名により都市出版社開業、「都市」創刊するも本号四冊と別冊一冊で廃刊。このころ田村は思潮社より第三詩集『緑の思想』を刊行しているが、その数カ月前吉岡に「おれは今度『青いウンコ』という詩集を出す」と言ったそうです。

人間学研究所/田村隆一詩集『緑の思想』

サッちゃん元気ですか

2005-05-07 | 
「サッちゃん」の作詞でも知られる阪田寛夫さんが亡くなりましたが、「サッちゃん」は好きだったなぁ。《ちっちゃいか~ら》のところがほんとうにちっちゃいから~らしょうがないよみたいなメロディでね。《犬の~おまわりさ~ん、こまってしまってわんわんわわーん》的に。それで遠くにいっちゃったサッちゃんは元気でいるのかと思っているひとは多いだろう。だってなにもかも思い当たる。こんな作詞こそ魅力的。

「サッちゃん」 阪田寛夫作詞・大中恩作曲

サッちゃんはね サチコっていうんだほんとはね だけどちっちゃいから じぶんのことサッちゃんって呼ぶんだよ おかしいな サッちゃん

サッちゃんはね バナナが大好きほんとだよ だけどちっちゃいから バナナをはんぶんしかたべられないの かわいそうね サッちゃん

サッちゃんがね 遠くへ行っちゃうってほんとかな だけどちっちゃいからぼくのことわすれてしまうだろ さびしいな サッちゃん

「gui」74 南川優子と田口哲也

2005-03-26 | 
「gui」74号、出ました。表紙は高橋昭八郎、事務用の紐付き袋の裏面と背面写真を素材とした新シリーズの一回目。背表紙グラフィックが特にいいです、中になにをいれて撮ったんでしょう。困ったひとだ。
今号では南川優子の〈オンディーヌ〉が好きです。涙に溺れかけたらわたしなら平泳ぎするであろうと思いながら、そのゆくさきが玄関でも窓でもなくお風呂場であることに近しさを覚えます。それと、田口哲也の〈ロンドン日記〉。ケン・ローチが描いたあたりの街角で、酔っぱらい女のスカートに「謝絶」という文字をみ、輪島のようにふんばり、「調音」の授業を思い出し、差し出すことのないジャケットを羽織ったまま、短くなった葉巻きを火がついたまま運河に投げ入れ、部屋に戻ってバスローブのまま、だらしなく眠りこける過去の自分の姿に唾を吐きかけ、どこでもない世界へ飛び出してゆく田口哲也!!念のため言っときますが『イン・ザ・プール』の田口哲也(オダギリジョー)ではなくほんものの田口哲也先生です。
 四釜は印刷の詩を描きました。赤い顔料という名前の選手のルポルタージュですが、ちょっといまひとつだ。だいじなテーマなのでまた描きます。

 ……
 バスローブを投げつけるグーテン、飛び散るスパンコール。
 転がる転がる転がるってなぜ。透明の球体、中央に赤い玉、
 安定した動きは美しいシルエットを描く、確実な着地、溜
 めの効いたフィニッシュ、まっすにに伸びた両腕はここで
 生涯一度の乾燥期を迎えるための合図。しっとり肉体が干
 涸びる瞬間にマットに囁く。(赤きたましいの住処に!)
 体操は終わりマットはベットに。壁や紙や、木材や。
 ……  四釜裕子〈選手〉より


「gui」vol.27 no.74 April 2005 もくじより

王者の末裔 ウィリアム・カーロス・ウィリアムズ  飯田隆昭訳
レオン=ポオル・フォルグの詩(3)  秋元幸人
紫月 萩原健次郎
オンディーヌ 南川優子
ラセン セ 宗清友宏
ハプニング または レギオン 香川紘子
カード 國峰照子
歳末がやってきた  大園由美子
夜色の友人 山本テオ
壊れるプロセス 賀陽亜希子
遊び 小野原教子
魚竜昔話 山中真知子
崩れなく漏れる 遠藤志野
選手 四釜裕子
新明解常識辞典[其の二](まるの項) 藤富保男
宙吊りの家  関富士子
UNTITLED  JOHN SOLT
諸悪の華 藤澤辻堂
東山の5尾の狸、またはアルコール性セクハラ恐怖症 読人知らず
ロンドン日記(11)  田口哲也
気まぐれ読書ノート(8)  岩田和彦
深川日誌 平成16年秋ー冬  山口眞理子
タンゴ・口には出せず(15)  遠藤瓔子
ぐるっとまわしてベジタリアン  岡村昭和
大空  濱條智里
薄暮から(2) 奥成繁
ふりむく犬  高橋肇
千駄ヶ谷  吉田仁
丘の上  森千春
なぞなぞ(8)  殿岡秀秋
壺  中津川洋
北園克衛『郷土詩論』を読む(38)  奥成達
gui 2004

contens gui no.74 April 2005 表紙・高橋昭八郎
gui・発行所 田村デザイン事務所

前号

ミモザ、スギ、耳たぶ

2005-03-19 | 
あたたかい朝です。ミモザが枯れたので、お礼をのべて捨てました。窓をあけると涙目です。掃除しながら詩をふたつ。

 大量発生したナルトが
 脳と咽にぺたぺた貼り付いている感じがする 
 それらナルトの無限増殖によって俺は死ぬかもしれない
 ……
  松本圭二〈スギトトホ〉より(「ユリイカ」2005.3掲載)

スギトホホ。


 ……
 家の扉を閉じて 
 じゅうたんの日なたで綿ぼこりが息を吹き返す
 掃除機をかけて床が削られると
 意識が明るみにさらされ 活力が鈍い形を取る
 贈られてから一度も試したことのない お菓子の本
 ボールに小麦粉をふるい入れ 牛乳を加える
 「耳たぶより少し堅めの状態になったら、」
 という 不意の説明
 耳の形は熟知しているつもりだが
 耳たぶの柔らかさについての記憶はない
 誰もが同じ耳たぶを持つとは 考えにくいし
 指で確かめても ボールに指を戻すと感覚を忘れる
 ……
  南川優子〈ロータリー〉より(『レインコートになりなさい』開扇堂 2004)

菓子作りに耳たぶ感は必須ですが、耳たぶは薄いので指でにぎにぎしてもその柔らかさがよくわからなかった。それは、低反発クッションの多くが、座ってしまうと自分の重みでそのよさがちっともわからなくなるのに似ている。

南川さんのウェブサイト「そふと」で〈ポフウェル氏の生活〉も復活!

『まぎれ野へ』

2005-01-23 | 
水牛主催、木村迪夫『まぎれ野へ』出版記念朗読会へ(GALLERY OBJECTIVE CORRELATIVE)。木村迪夫、藤井貞和、小泉英政による詩の朗読、富山妙子・高橋悠治 『けろけろ ころろ』、岡崎乾二郎・ぱくきょんみ『れろれろくん』の2冊の絵本をもとにした映像と朗読。加えて当日ゲストで巻上公一パフォーマンス。けろけろれろれろあえいうえおあお、声色にあふれた楽しいイベント。

木村さんが朗読するときに手にしていたのは『まぎれ野へ』のために八巻さんが製本した冊子版。木村さんのおおきな左手のひらにしっとりとひらかれ、綴じた糸の先のビーズがゆらめいて空(くう)を叩く。<降るでもなく/襲うでもなく/昼も夜も音たてて寄り来る/冷気>、それを追いはらうこれもひとつの木村さんの<どんどこ>ときく。
*< >は「冷気(害)・」より

・高橋悠治 1月の詩 (水牛ウェブサイト2004.1書庫より)~『まぎれ野へ』朗読収録の冬のこと
「おはんのうた」NHKアーカイブス/1975放映~木村さんの詩をもとにつくられたドキュメンタリー作品
・マギノ村へ(三栄町路地裏だより 40)~木村さんと小川プロダクションの出会いのことなど
小川紳介監督『クリーンセンター訪問記』
書肆犀~木村迪夫詩集『えれじい』1987.8他を刊行している上山市の出版工房

リーフ・ブック 刺繍刑 vol.4

2005-01-16 | 
到着からちょっと時間が経ってのご紹介となりますが「刺繍刑」vol.4は今号も満載。

・戒律の園 第四葉 弔ひの花束
・a story of the shoe 4
・ビーダーマイヤーの棚 第四集 眠りの誘い
・ビリチスの歌 第四話 夜中の囁やき
・a melody of the moon 
・Salome 第四夜 歓待

「眠りの誘い」とお揃いの蔵書票も六枚ついています、と、みるとその中の一枚には " This friend belongs to" 。さてどうつかわせていただこうか。同vol.3はbookbar5内のこちらからもご覧になれます。

 発行日:2004.12.5
 発行人:ミストレス・ノール
 発行所:club noohl

なおミストレス・ノールさんは飛鳥新社刊の雑誌『エスカルゴスキン』で詩とコラージュによる「小譚詩」という連載開始、こちらも合わせて、是非。

高橋昭八郎リアクションポエム2004

2004-12-25 | 
今夏、啓祐堂ギャラリーでおこなわれた「高橋昭八郎展 反記述による詩」でのリアクションポエムのプリント版が届きました。会場で詩人が用意した18×11個のコトバ(ガラス瓶にかかれている)に、観客がモノを入れ、その全景写真と参加者の名前をプリントし、全参加者に送付する、というもの(展の公式サイト/リアクションポエムのこと)。
おさめられたモノは、この展のために参加者が前もって用意した作品然としたものから、撮り終えたフィルム、新聞紙、ポケットに入っていたガム、タバコ、どうみてもゴミ、などさまざま。コトバやモノが気紛れに等しくされたり隣合ったりふいに眺められたり忘れられたり。一枚の紙にプリントされ淡々と並び在る参加者のナマエ、それすらも。昭八郎さんの「ふとした戯れ」に誘われて、あのくそ暑い夏の日に汗だくになってでかけニヤニヤしながらこんなものを瓶にいれて喜んだひとたち。
この作品は日本現代詩歌文学館に永久所蔵、いつか足を運ぶだろう、その場その時の<詩>に立ち会いに。

  ……その場、その時にょって、たとえばスコアのように読みとかれる、こともなく、
  映し移しあう反歴史、反記述としての<詩>。
 (添付された書面、高橋昭八郎「ふとした戯れから」より)



『手をふる 手をふる』

2004-12-17 | 
五時になったら子どもは魔道をつかって意地でもおうちに帰ったほうがいい《わが町》は、目にモノ、歯にキヌ、手に職つけてくれるいたれりつくせりな町で、捨て犬《チェロキー》はうずくまる。ランブータンではなく《サンラータン》、ロクデナシではなく《ロキデナシ》、キュレーターとかクレーター、らりるれろのれとろの間に《ある》あれはなんだ? 宇宙の知らない大きな何かののりしろのような骨が突き出た《耳の後ろをまも》りながら、人生にラメが入ってきたころやばいと言って骨壺に《しま》われたい。そしてわたしは《パーティ》会場である天国ホテル行きのリムジンの窓から斉藤さんに手をふりたい。素敵な詩集をいただいて、あのとき(それは今なのだけれど)ほんとにほんとに楽しくうれしかったことを伝えたい。

斉藤さんの blog 手をふる 手をふる 

発行日:2004.10.10
著者:斉藤倫
装幀:名久井直子
プリンティング・ディレクター:落合崇
発行所:あざみ書房
定価:1,714円+税

本の倉庫、米国か日本国か

2004-11-17 | 
highmoonoon発行、bookbar4制作の第二弾詩集の制作が進行中。今日bookbar4の手を離れ、仕上がりを一方的にわくわく待つ一瞬の楽しい時間。
highmoonoonサイトでは今年からカード決済もOKに。米国倉庫蔵の『心配の速度』や『回転ツアー』はこちらから、日本国倉庫蔵の『回転ツアー』はこちら(源氏ダイレクト)から、それぞれお好みの空気をまとって出荷いたしマス。

西脇描く小千谷

2004-10-25 | 
いまもなお余震続く新潟中越地震。ニュースではじめて聞く集落の美しい響きを持つ地名の数々に、この地の豊かさと厳しさを思います。小千谷に生まれた西脇順三郎の記念室が小千谷市立図書館にある。朝倉響子作・西脇像の左後ろにみえるのは、1950~1960年に描かれた油絵「小千谷 信濃川」。青くすべらかな風景、川岸に立つこの木はいったいなんの木だろうか。1982年3月に同館で開かれた「西脇順三郎先生米寿展」でこのブロンズ像の除幕式がおこなわれ、同年6月に西脇さんは亡くなったんだそうです。写真は清水節治さんのサイト「カメラ紀行―名作のふるさと」より。どうかもうお静まりくださるように。

高橋昭八郎展は水森亜土展ではないです

2004-10-23 | 
「~翼ある詩~高橋昭八郎展」オープニングへ。トーク後中休みを経て、昭八郎さんが「音」と描かれた紙を破りながら、音と描かれた紙を破る音です、という詩を読む。紙を破いてその音をマイクでひろってるだけです現状を述べれば。じぃとマイクに向かって紙をやぶります、ささやきながらやぶります。その間はわたしはなんだかなーと思ってみています。昭八郎さんがひとしきり満足のいくまで破り、それでこの作品は終わります。終わって昭八郎さんの表情がとたんに変わります、その瞬間変化に触れることがわたしにとっての昭八郎ライブの極意です。明日もあります、行けるかな、無理だよなー、白石かずこさんのリーディングもあるのにー、困った、最善の努力をこれから。

展示は、今日のトークで昭八郎さんや石田瑞穂さんが引用していた、金澤一志さんによる高橋昭八郎作品集『第一語の暗箱』に載っている作品の八割がたは出ているんじゃないだろうか。さらに、作品制作の過程にある版下、パーツ、試作品もたくさん出ていて、これがとにかくすばらしい。なかでも、ポエムアニメーション5『あ・いの国』は黄と白に墨で刷ったものの折り合わせと思っていたら、前回の高輪・書肆啓祐堂での個展で赤にも刷っていたことを知り、さらに今回の展示で、トレペにも試していたこと、それから青焼きの展示もありました、それらすべての過程がなにより楽しかった。会場はワタリウムの地下ですが、階段の途中にある踊り場的ガラスケースのなかの展示物もお見逃しなく。「VOU」中心に「gui」などもあります。

なおこの展のメインは、観客参加型のプラスチック・ネイチャーという作品を仕上げることで、山、川、草、木、空、という文字で抜かれた透明塩ビボードに、参加者が各自なにかしらラインと名前を描いていくのだけれど、みな指示に違って水森亜土ちゃんよろしくお絵書きしてるよわたしも。すみません。どうか以降ご参加の皆様が主旨をご理解くださって、わたしらの不手際を収拾つけてくださいますように。

会場でコミミしましたが次はアップリンクですか? 未確認情報です、フォロー乞う。

高橋昭八郎って誰かわかんないんだけど作品みて驚いた、というひとは、金澤一志篇・高橋昭八郎年譜をご参照のうえ、『第一語の暗箱』をどうぞ。右上の図版は、高橋昭八郎 の「無」 初出『δ』12号 1999

~翼ある詩~高橋昭八郎展

2004-10-21 | 
今年の夏、高輪の啓祐堂ギャラリーで開かれた「高橋昭八郎 反記述による詩 展」の興奮もさめやらぬこの秋に、表記個展が今日からワタリウム美術館地下オン・サンデーズでスタート。明日18時よりオープニング・レセプションで城戸朱理さん石田瑞穂さんとのトーク及び昭八郎さんのリーディング、明後日夕方は記念シンポジウムで建畠晢さんの講演+昭八郎さんと白石かずこさんのリーディング他(こっちは有料)あり。会期は11/7まで。昭八郎ファンとしてはどうぞ多くのかたに足をお運びいただきたい。くわしくはワタリウム公式サイトでどうぞ。

この展のちらしもあるんですが、あまりにもかっこ悪いので出せません。昭八郎さんは仕上がりを見ていないんだろうか。なんでだろう、ひじょうに残念。