おかえりのすけBOOK

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山崎曜の機能

2004-10-31 | 製本
「オーダーメイドの本」手工製本人・山崎曜の機能 展
日時:2004年11月3日(水)~8日(月) 11:00~18:30(最終日は~17:00)
場所:アートスペースK 新宿区神楽坂2-11 電話03-3266-1137 (飯田橋)

 依頼者に応援されて山崎曜が作った本を展示します。
 手作りをすることで生まれた幸福な出会いの数々。
 みなさんにご覧いただきたいと思います。(展覧会DMより)

「手で作る本の教室」を主宰する山崎さんの個展。「BOOK DESIGN」(2号で終了)誌上で、著名人が妄想した夏目漱石本の装丁を手際よく制作したり、東京製本倶楽部のイベントでわかりやすくデモンストレーションされていたことも印象深い。わたしがルリユールの実際に初めて触れて驚きおののいたのが、大家利夫装丁の北園克衛詩集『重い仮説』(故・鳥居昌三による海人舎刊)でした。うかがえば、その頃、山崎さんは指月社の大家利夫さんのところにいらしたとか。それからずっと、依頼を受けて製本する機会を、自らの機能に昇華させてきたのですね。

・日仏会館図書室友の会 1998 より 山崎曜「物としての本──作り手の立場から」の報告 

・神田神保町・玉英堂書店目録より(2004.9.5)
 重い仮説 北園克衛
 限定30部 総革装 函 山本悍右宛鳥居昌三書簡1通付 昭61 海人舎私版
 120,000円

橋本治の手トリ足トリ

2004-10-30 | その他
寒くなるとがぜん編み物がしたくなります。去年編み残した毛糸を探して続きを編みます。なにができるのでしょう。クッションカバーか。年賀状用の編みぐるみもそろそろ考えねば。来年は酉ね鳥、鶏。編み棒は木製が一番です。伝統工芸士考案、すべり抜群!プロも驚き!軽くて握りやすい、手になじむ形状の高級縞黒檀かぎ針が気になる。府中家具工業協同組合編木材図鑑によると、黒檀はまれに真っ黒なものもあり、それを本黒檀又はマグロと称す、のだそう。ってことはうちのお箸はあれマグロ?

先々週、ニットアウトとかいってわざわざ六本木まで行って外で大勢で編み物したひとの日記をみると「アメリカ発祥のイベント」とわざわざ記したものが多いのがおもしろいです。「ニットアウト TOKYO2004」のサイトを見ると、あ広瀬王子が。ファッションショーみたなものもあったようだが編み物はやはり小物やインテリア向き。おんなこどもでは数足らず、クローバーさんやパピーさんやダイヤさんらがおことどもへもアプローチ!橋本治さんはいまも編み物お楽しみなのか。復刊ドットコムの『男の編物 橋本治の 手トリ 足トリ』は今日のところ3/100ですフレフレ。

デジオ+写真

2004-10-26 | その他
CDプレイヤーが壊れているので、パソコンで「デジオ+写真」。スピーカーをつけていないので人の声くらいがいいのです。
今日は小林さんが通勤する電車のなかでみかけた女の子の話から。「おうち、バイバイ」「電柱、バイバイ」とゆきすぎるものに手を振ってたって。そこからヘレン・レヴィットの写真の話へ。小林さんの日記で参照されている写真を見たり、笑ったり、リンクたどったり、仕事したり、ウィンドウをいくつも開いて楽しむ。窓に向かった大きな机で話しているんだろうか、「では、さようなら」のあとに折よく表の通りを行き過ぎる車の音が。風景音がそのままBGMとなりみごとなフェードアウト。

西脇描く小千谷

2004-10-25 | 
いまもなお余震続く新潟中越地震。ニュースではじめて聞く集落の美しい響きを持つ地名の数々に、この地の豊かさと厳しさを思います。小千谷に生まれた西脇順三郎の記念室が小千谷市立図書館にある。朝倉響子作・西脇像の左後ろにみえるのは、1950~1960年に描かれた油絵「小千谷 信濃川」。青くすべらかな風景、川岸に立つこの木はいったいなんの木だろうか。1982年3月に同館で開かれた「西脇順三郎先生米寿展」でこのブロンズ像の除幕式がおこなわれ、同年6月に西脇さんは亡くなったんだそうです。写真は清水節治さんのサイト「カメラ紀行―名作のふるさと」より。どうかもうお静まりくださるように。

高橋昭八郎展は水森亜土展ではないです

2004-10-23 | 
「~翼ある詩~高橋昭八郎展」オープニングへ。トーク後中休みを経て、昭八郎さんが「音」と描かれた紙を破りながら、音と描かれた紙を破る音です、という詩を読む。紙を破いてその音をマイクでひろってるだけです現状を述べれば。じぃとマイクに向かって紙をやぶります、ささやきながらやぶります。その間はわたしはなんだかなーと思ってみています。昭八郎さんがひとしきり満足のいくまで破り、それでこの作品は終わります。終わって昭八郎さんの表情がとたんに変わります、その瞬間変化に触れることがわたしにとっての昭八郎ライブの極意です。明日もあります、行けるかな、無理だよなー、白石かずこさんのリーディングもあるのにー、困った、最善の努力をこれから。

展示は、今日のトークで昭八郎さんや石田瑞穂さんが引用していた、金澤一志さんによる高橋昭八郎作品集『第一語の暗箱』に載っている作品の八割がたは出ているんじゃないだろうか。さらに、作品制作の過程にある版下、パーツ、試作品もたくさん出ていて、これがとにかくすばらしい。なかでも、ポエムアニメーション5『あ・いの国』は黄と白に墨で刷ったものの折り合わせと思っていたら、前回の高輪・書肆啓祐堂での個展で赤にも刷っていたことを知り、さらに今回の展示で、トレペにも試していたこと、それから青焼きの展示もありました、それらすべての過程がなにより楽しかった。会場はワタリウムの地下ですが、階段の途中にある踊り場的ガラスケースのなかの展示物もお見逃しなく。「VOU」中心に「gui」などもあります。

なおこの展のメインは、観客参加型のプラスチック・ネイチャーという作品を仕上げることで、山、川、草、木、空、という文字で抜かれた透明塩ビボードに、参加者が各自なにかしらラインと名前を描いていくのだけれど、みな指示に違って水森亜土ちゃんよろしくお絵書きしてるよわたしも。すみません。どうか以降ご参加の皆様が主旨をご理解くださって、わたしらの不手際を収拾つけてくださいますように。

会場でコミミしましたが次はアップリンクですか? 未確認情報です、フォロー乞う。

高橋昭八郎って誰かわかんないんだけど作品みて驚いた、というひとは、金澤一志篇・高橋昭八郎年譜をご参照のうえ、『第一語の暗箱』をどうぞ。右上の図版は、高橋昭八郎 の「無」 初出『δ』12号 1999

紀伊国屋書店で絶版文庫

2004-10-22 | 本屋
絶版文庫専門店ふるほん文庫やさんと紀伊国屋書店が提携、来月中旬をめどに紀伊国屋書店店頭及びBookWebから検索注文できるようにするそうです。今日からBookWebでは先行して特選フェア「第1回ベストセレクション500」を開催。 ITmediaライフスタイル:「新書店は太陽、古本屋は月」ー紀伊国屋、Webと店鋪で絶版文庫を取り扱い(2004/10/21)より

ふるほん文庫やさんはこれまで、神保町の東京堂書店ほかの店頭で棚を置いて販売していましたが、今年5月にすべての店頭販売を中止している。右は、谷口雅男『ふるほん文庫やさんの奇跡』

~翼ある詩~高橋昭八郎展

2004-10-21 | 
今年の夏、高輪の啓祐堂ギャラリーで開かれた「高橋昭八郎 反記述による詩 展」の興奮もさめやらぬこの秋に、表記個展が今日からワタリウム美術館地下オン・サンデーズでスタート。明日18時よりオープニング・レセプションで城戸朱理さん石田瑞穂さんとのトーク及び昭八郎さんのリーディング、明後日夕方は記念シンポジウムで建畠晢さんの講演+昭八郎さんと白石かずこさんのリーディング他(こっちは有料)あり。会期は11/7まで。昭八郎ファンとしてはどうぞ多くのかたに足をお運びいただきたい。くわしくはワタリウム公式サイトでどうぞ。

この展のちらしもあるんですが、あまりにもかっこ悪いので出せません。昭八郎さんは仕上がりを見ていないんだろうか。なんでだろう、ひじょうに残念。

明石海峡大橋のおせっかい

2004-10-20 | ぶらり
出先であいた時間に淡路島縦断しました。ベネッセアートサイト直島をなぜかずっとベネッセアートサイト淡路島と思い込んでおり、あいた時間にふらっとでかけようと思っていたらとんでもないことでした。
それはナシとしてももちろん淡路島は魅力的なことで、なにしろ地図でみる輪郭を辿るのが大好きですからこの橋をながむる舞子泊となれば目の前の橋は渡らねばならないが、もし車で渡るならだいぶ町中に戻らねばならず、つまり舞子からみると明石海峡大橋は八階建て、通勤通学客はみなこれを行き来しています。実情は知りませんがどうなんでしょう。いつか観光客とジモティの比率に対する見方が急に変わって、即廃止もありうるか。それもよしと思います。なんか快適高速バスで居眠り通学ってどうなの。便利は常に先代がつくるおせっかい、歩いてでも学校行くだろうしな。

今回のぶらりは、高速バスで明石海峡大橋を渡って鳴門海峡際まで、さらに近くの福良港まで行き、うまい魚ご飯食べてまた一路舞子へ。福良港は小さいながら張りのある街で、小道や川に沿ってある商店街の、店構えも看板も楽しい。途中料亭風の小さい店があって、裏側の開いた窓からきれいに始末された食材が見えたので今夜はここにする?と暖簾をくぐるが、コース料理のみであること、なにより本日の刺身はさざえと女将が言うので断念する。でその女将が、地元の刺身中心で食べたいんだったらと紹介してくれた店に行くと、タローみたいな犬がワクワク客を待つ居酒屋で、メニューはいろいろあるがまぁそれはいいとしておまかせでねと言うとアニキがいいのつくってくれて、刺身は鮹やあわびや白身がとくにうまく、煮つけはウマヅラだが身の筋肉具合が三浦ものより歯ごたえて別物のような感じ、石焼きの鯛とさざえも小振りだがよろしくて、天ぷらには鮹天も、汁はここいら白味噌でワカメがうまくたんといただく。ベストはやはり鮹か。身の締まった味の濃い鮹はボイルされてこその刺身、昨今スーパーでちまっとした鮹にはうんざり、それよりもベロベロの水鮹を生で買ってあぶったり炒めたりして食べるのがだんぜん良し、しかし濃い鮹はちょっと茹でるがいっとううまい。
都心で暮らすと日々の食事は悲惨、食べ物を物々交換できたころがヒトの最進化期でありましょうか。いまおぎなうのは金とクチペラだもんなごくろう。

参照:明石海峡大橋を歩いたひとの話はまだより
   神戸観光壁紙

ほっとけ植生

2004-10-15 | ぶらり
久々の晴れで気持ちいい朝。せっかく咲いた花もおおかた散ってしまったデュランタ、夏のあいだこれでもかこれでもかと茎を伸ばしたがここ数日で茶色くなったパピルスらをベランダに出す。なんとまぁわたしたちは強引に身の回りに草花をはべらし、だましだまし生き延びてくれとやさしい気分を満喫しながら、それぞれの植生の混濁にはしゃぐ。
今日は秩父の山々の美しいシルエットを見た。植生の違う会話をほどよくしながら電車で移動するわたしたちを、この山々はどう見ているのかと想像して可笑しい。ほっとけ植生。丸はどこでもひけるものなぁ。

梶井照陰『NAMI』

2004-10-14 | 本、雑誌
リトル・モア主宰の第1回『FOIL AWARD』 のグランプリを受賞した梶井照陰氏の写真集『NAMI』。最終審査までノミネートされた作品を掲載した『FOIL vol.6』の表紙はその一部で、波打つ水面の風景、それはコップのなかあるいはプールかもしれない、しかしまさかほんものの波間にまみれて撮ったとは考えもせず、でもその力強さに圧倒されて魅入った。それが中島英樹氏のデザインで写真集に。絶妙なページネーションと判型、なにより値段を抑えたすばらしい一冊と思うが、店頭で何度見ても、なぜか買えない。
朝日新聞10/13夕刊「ようこそ」欄に梶井照陰氏。「集中して読経していると、お経と一体になる一歩手前まで行くときがあります。風邪で声が出なかった時、その集中する感覚を視覚化できないかな、と考えるうちに、波に行き着きました」
それで今日も本屋に寄って『NAMI』をめくった。子どもの頃からみてきた波もまだみぬ波も、ざんぶざんぶとみな頭に入ってきた。いい写真集だと思った。ほんとうにそう思った。梶井さんのその言葉に触れるために在るのだと思った。

参照:梶井照陰オフィシャルサイト

大家さん問題

2004-10-13 | その他
賃貸住宅愛好家のみなさん、あなたの大家さんはいいひとですか。
|||||||||| はい/いいえ/コメントできない ||||||||||||||
壁に落書きしたのに敷金を全額返してくれた素敵な大家さんのところから引越した「らんちゅうらんち」さんちから、これまた素敵な金魚部員がいらっしゃいましたよ~。右のイラストは部員ではないが「らんちゅうらんち」さんちの金魚。

駅正面の風景/高崎編

2004-10-12 | ぶらり
駅を出て真正面の風景を見る機会は少ない。すぐ目的地に向かったり、場所がわからなければ地図を探したり。高崎はどういう街づくりをしてきたのか知らないけれど、なかなかいたい駅前であった。西口を出て駅近くの美術館経由で観音山方面に向かって烏川まで、そこから市役所はじめ公共施設が立ち並ぶ高崎城址あたりをまわって渋川方面へ、中央銀座アーケード街をとおって駅前に戻ったが、あとで地図をみると駅西口をぐるりと回ったことになる。その日夕方、駅に戻って改めて正面を見るとそこには、両側のビルのあいだの空間を上手に埋める21階建ての市役所庁舎(1998)が。高崎市が一望できるのだそうです。右写真は横からみたもの。この薄さ。悪趣味。
一観光客が言ってもしょうがないけど、この市庁舎の立ち位置は最悪である。物理的にもそれ以外でも。すぐ近くにはかの群馬音楽センターや群馬シンフォニーホールが静かにあったり、群馬交響楽団創始者で、ブルーノ・タウトの庇護者でもあった井上房一郎邸(設計:アントニン・レーモンド。高崎市都市景観重要建築物指定)があったり、旧市庁舎は谷口吉郎氏によるものだったというが現在は「ふれあい広場」になり、映画祭も盛んで「シネマテークたかさき」設立といううれしい知らせも伝え聞くのになぜ。
街を歩くと新旧開業医が異常に多く、それはたぶん健康に対するこだわりの資質によるものではないかと思うのは、エステや鍼灸・リフレクソロジーなどが目立つから。いっぽうアーケードはみるも無惨、そうでなくても整理の苦手なひとが多いのかなと思うような暮らしぶりが覗き見られる。駅前はもちろん賑わっているのだけれど、その近くで立ちしょんする男や、つえをつくお婆さんを呼び止めてエステの勧誘する女などにたまたま遭遇してしまい、なかなか辛いことである。
ここ数年でレコ屋はおおかた様変わりし、古本屋はあいかわらずだが「うさぎの本棚」に白カーテンが。今みたらたまたまお休みだった模様。サイト「うさぎの本棚」とは全く別ですね。


児童の足あとはRFIDで

2004-10-12 | その他
小学生がみんなランドセルに防犯ベルをつけるようになったな、と思っていたら、東京の立教小学校でRFIDチップをくっつける実験がはじまっているようです。校門を出入りするときに識別されて、その時間が家族に電子メールで連絡される。「going my way」7/14に和歌山でもこの秋実験というエントリーありましたが、しくみは異なるとのこと(「結城浩の日記9/28」)。
自分がその学校の児童であれば最新メカ搭載気取りでパパママ帰るよ~ぴぴぴで楽しそう。これがどう危険なのか、まだ実感できないけれど、もし親だったらあら安心だわさすがリッキョウと思ってしまうに違いない、そのことがひじょうに危険な気はする。

清宮質文のまなざし

2004-10-11 | ギャラリー
高崎市美術館「せいみやなおぶみのまなざし」展(~10/31)。清宮(1917-1991)の、淡い色合いながら輪郭を描く線がくっきりと浮かぶ木版画が好き。版木の展示もあって、凹版で構図と輪郭を摺り、凸版で色を入れていく方法がよくわかった。ラインをはっきり出すためにずいぶん力が必要だったようで、毎日腕立て伏せを欠かさず、アトリエには鉄アレイが残されていたとのこと。
描かれるものは蝶やガラス、小さい動物、ランプ、月、トンネル、屋根、塀……。とくに好きなのは、水面から海坊主のような顔を出す《泳ぐ人》の水面下の手足のライン、の~の~鳥の兄貴のような《夕日のとり》、それから《さまよう蝶》など。右上図版は《夏の終り》。
雑記帳、と称されてあった大小の帳面は、すべて作家自らが洋紙や和紙、ノートを断裁したものなどを揃えて綴じたという。制作についてのメモのほか、囲碁、料理、スポーツメモも。アトリエの本棚には、昭文社の、日本と世界のミニミニ地図帳があった。
図録は1500円。編集:住田常生(同美術館) 寄稿:新井昭彦、三浦誠 翻訳:森元ルミ子、住田常生 制作:立川潔(空想図鑑)。作品資料はくわしくまとめられているが、「内省する魂の版画家 清宮質文展」(2000、小田急美術館)の図版と比べると、作品の色合いや質感がよく出ていなくて残念。(参考:ギャラリーときの忘れもの通販ショップ
清宮作品は本の装丁にもよく用いられている。堀江敏幸『雪沼とその周辺』の表紙カバー挿画に《野の果てに》、原田康子『蝋涙』カバー挿画に《キリコ》、扉に《コップの中の蝶》、吉田健一『新編 酒に呑まれた頭』ちくま文庫カバー挿画に《壜の中の魚》など。