おかえりのすけBOOK

bookbar4のメインキャラクター、おかえりのすけのページ

元祖乙女はハードボイルド

2004-08-31 | 本、雑誌
メダカサン
メダカサン
オホゼイ ヨッテ、
ナン ノ
 サウダン。
ア、ミンナ ガ、
 ワット ニゲテ イッタ。

(小学国語読本 巻一)

この「ア、」の読みかたに、「アッ」「アア」「ア」、三つの読みかたがありますね、それぞれどう違うでしょうねと教えてくれた先生の話に、「ヨミカタ」のおもしろさと「ことば」のふしぎさを強烈に胸に刻んだ藤富康子さんは、その後、この国語教科書を編集した人物に興味を抱き、永年の調査のすえに井上赳を探し当て、その人物像を三冊の本にまとめてきた。
昭和19年、それまで23年間国定教科書の編集に携わってきた井上が辞表を提出、戦後文部省は、サクラ読本、そのあとのアサヒ読本をはじめ、井上に関する資料を一切不明としてきたというから、調査の困難はいかほどであったかと思う。
この夏刊行された三冊目の『サクラ読本の父』では、著者が井上の欧州旅行記片手にその足跡を追う旅の途中で、公園のベンチに立ち上がって声高らかに日記を読み上げるシーンも。「乙女とは、ハードボイルドなのです」(嶽本野ばら)かも。

偶然ですがわたしは、富士山とハイトリグモとニンゲンのあいだで交わされる「あ」「ああ」「あー」を巡る詩を、「あ、ハイトリ」(『gui』72)というタイトルで書きました。楽しい詩ですよー。来年の小学校の国語の教科書にどお?

未確認生物とは「噂」である

2004-08-30 | ギャラリー
川崎市民ミュージアムの「日本の幻獣ー未確認生物出現録」展(9/5まで)へ。ミイラや絵図、瓦版、明治の新聞錦絵などをとおして、河童、天狗、鬼、人魚などから、雷獣、予言する幻獣の代表こと件(くだん)や尼彦、やまびこなど多数紹介。女天狗や男人魚も。別府八幡地獄怪物館のミイラ絵葉書、『姫国山海録』に描かれた日本各地の獣や虫がいい。
ここの学芸員でもある湯本豪一さんは妖怪幻獣についての著著多数。この展のカタログによせた湯本さんのことばから。「幻獣は『生き物』なのである。噂だけで、まだ衆人の目の前に姿を見せなくとも、どこかで生きているのだ。ただ、『生き物』であるから絶滅の危惧も有している。」新聞折本5号/湯本豪一さんをどうぞ。「明治期の新聞の発達とともに地方色の濃い妖怪が姿を消し、妖怪が均一化した」とも。
この展示をみて記憶に残し、いつかどこかで見かけたりして、そんなことが彼らの命を長らえる。自分の姿を描いてひろめろといった尼彦はいっとう頭いい。いわゆる絵心のないひとたちが残したばらばらの尼彦。家にも一個描いて貼っとくか。楽しいです。
写真は「印旗沼出現怪獣」1843。噂によるとこの怪物、掘割工事中に嵐のなか光とともにあらわれて、居合わせた役人など13人を即死させた、とか。恐いねぇ。
次号『怪』でレポートありだそうです。映画『妖怪大戦争』もクランクインした模様。ロケ地はもちろんめらめら水木しげる記念館のある境港。監督は三池崇史、来年夏公開予定。

羽田野麻吏製本工芸展

2004-08-28 | 製本
羽田野麻吏の製本工芸展が、来月17日~27日、東京・高輪の啓祐堂ギャラリーで開かれます。新作、旧作を含めた13点と、羽田野さんのアトリエで撮った製本工程写真を展示。どんな新作が並ぶのやら。うわさによると驚きの豪華逸品が。期日せまってその内容がもれきこえてきたころに、またご案内いたします。

CD+DVD

2004-08-27 | その他
片面CD、もう片面でDVDを再生できる「デュアルディスク(DualDisc)」が、試験販売からもうじき本格的に店頭販売される模様。ワーナー・ミュージック、ソニーBMGミュージック・エンターテインメント、英EMI、ユニバーサル・ミュージックより。価格はほぼ従来のCD並み。厚さが幾分増すらしく、これによって再生時に問題おこす可能性はおよそ1%とか。広報によると「従来のCDを再生する際の問題発生率と実際ほとんど変わらない」そうです。(CDとDVD両面ディスク 音楽業界の“救世主”に (共同通信) - goo ニュース

オリンピックでのふるまい

2004-08-24 | その他
オリンピックがはじまってから、昼ごはんのときなど、周りのテーブルのひとびとの話を聞くのがとても楽しい。

「どうも俺が見るとメダルがとれないんだよね。だから昨日は見なかったんだ」

「こう毎晩見ていると、どうやって眠るんだっけ?って思っちゃうよね」

「選手はだいたい二十歳前後でしょう、80年代生まれだよ。よくぞしっかり育ってくれたと思って、俺はうれしいよ」

「柔道の阿武って試合のときはとんでもない顔してたけど、着替えるときちんとしてんのね」

「やっぱ水泳だな。かず(息子の名前らしい)はスイミングにしよう」

今回わたしは個人競技を楽しくみています。柔道いいね。レスリングもいいね、ルールわかんないけど。でも意外と、試合の前後やメダルと花束をうけとったあとにきちんとあいさつする、そういうふるまいが身についている選手って少ないね。嫌味なくらいに堂々としてもらいたいところです。
そうだテコンドーに個人で出場した岡本依子はどうなっているの? 26日からのようです。日本国際テコンドー協会日本テコンドー協会ともに、今回オリンピックに出ている日本の選手のことにはひとこともふれていない。おっさんたちはいったいなにがしたいんだか。
テコンドーには24の型があるそうです。そのなかで「チュンム(忠武」とは、「 豊臣秀吉の侵略軍を粉砕した李朝の海軍提督、李舜臣(リ・スンシン)将軍の諡号(しごう)」、他にも日本の植民地時代の頃を由来とする型があります。

「COYOTE」森山大道 その路地を右へ

2004-08-21 | 本、雑誌
Switch publishingが今月創刊した「COYOTE」(編集長は新井敏記)。旅をテーマとし、創刊号の特集は「森山大道 その路地を右へ」、表紙には「コヨーテが憧れる、森山大道の放浪。」。ビックネームが並ぶが、手間暇かけて丁寧につくったことが伝わってくる。なかでもいっとう好きなのは、森山大道の文による「西池袋 野犬のはしり」。好きなんだ、森山さんの端的な文体が。引越し先の池袋をめぐるエッセイで、イラストはミヤギユカリ。詳しくは「COYOTE」Day`s of Books, Films & Jazzなどもご参考に。

しかし「コヨーテ」とタイトルした谷川俊太郎の詩だけは、「詩」のジャンルもいれとかなくちゃね、という感じがするのは気のせい? 詩人は意に介すべくもないけれど、酷だ。

愛ちゃんとグーグル

2004-08-19 | その他
昨夜の愛ちゃんの試合は負けて残念だったけどよかった。終わったあと、相手がくったくたで両膝ついてたもんね。なにかこう、気持ちいいのね、愛ちゃんの言動って。
グーグル・アテネは日替わりになっているかも。米グーグルの株式上場は延期の模様

夜光虫が泳ぐ音

2004-08-16 | その他
一週間の夏休みあけの、メリとハリのきいた友の話の抜群は、瀬戸内海の島で夜光虫にまみれた夜中の海水浴であった。しかも発案者が伯母さん。「日中ははずかしいけど夜なら泳げるから行ってみない?」
わふーんと海水が波打つたびに、紫のちいさなちいさな光がいくつもまとまり、わふーんとその波を光り彩るのだそうだ。あぁなんといふ。
夜光虫の異常発生、その死骸が日中みられる赤潮、赤は悪そう、くらいの認識なので、全く根拠なくして悪いやつと思っていてすみません。生夜光虫にまみれたことなくて。きちんと知ろうと思う。
写真はこちらのものです。
夜光虫検索したらこんなものが。キャノンで2001年賞とったの? なに? 誰? 楽しいです。けどやはり音の処理がネックです。どこまでも、期待あるいは予測に乗じて鬱陶しい。場面変換用のほっぺた叩くようなパシッっていう音だけが心地よい。

水撒きじじばば

2004-08-15 | 
ソフィア・コッポラは東京のホテルの一室を、シャルロットをして花柳社中や商店街御用達の桜枝でいっぱいにしました(昨日の写真のとおり)が、私は葉っぱで部屋を埋めたい。窓際に20センチ幅でよい、ぐるりと植物域をつくれないものか。庭のなかに在らずして、木々の葉裏をかすめた風がそよぎ来ずして、日々の暮らしなどあり得るか。
しかし観葉植物をせっせと鉢で買って並べて栄養剤入れるのも、なかなかわびしい。楽しいし、今となっては不可欠なのだけれど、思わず話しかけたりして、ペットとの関係に近くなってきてどうもむずかゆくなるのだな。
「庭」を辞書でひくと、いにしえにあってはそれは手付かずの草地や海原、広く平らな地のことであったようです。囲うことが庭ではないのだろうけれど、境界をせめて地球の庭につなげておきたいという単純で強い欲望があふれた街角の、やみくもな家の周り鉢だらけの景色が好き。
打ち水大作戦は応援してますけど、年に一度の「エコ」イベントとして年々盛んになるのは異様である。そもそも住まいの周りに植物があれば水を捲きたくなるのであって、街に住まう早起き水撒きじじぃばばぁとなじみになって、夕方にはホースつぶして道行くひとにあーごめんなさいとか言って水ぶっかける楽しさを知ることのほうがずっとぐっと習慣化すると思うんだけどそれではだめなの?

ロスト・イン・トランスレーション

2004-08-14 | 映画
2003 ソフィア・コッポラ 米
Lost In Translation
冒頭うす桃色の柔らかい素材のショーツから透けて見えるお尻。うす水色のタンクトップ、真っ白なシーツ。
その後はしばしお笑いの連打。慇懃無礼なパークハイアットホテルで巻きおこる数々。その後CM撮影現場でのかいつまみ通訳。こんな具合に。ハリウッド俳優ボブは、日本のCMディレクターの身ぶり手ぶりのようすから訳される言葉以上のものを感じているが、逐一正確に知る必要はこの際ない。なんとなく知らんぷり、なんとなく化かしあい。仕事ならこれくらいが良い加減。初対面なら気のきいた遊びになるが、夫婦間だと気まずくなるか。異国の病院ではさすがに困るだろうと思いきやまぁそれもほどほどでなんとか。そもそもひとりずつの頭と身体で知らんぷりや化かしあいをしてるからな。
母親に電話したあと嗚咽している横顔、それから最後にボブに抱きしめられて眉間に寄せた皺、シャルロットの表情がいい。

サントラは「ヴァージン・スーサイズ」と同じくブライアン・レイツェルが担当。コーネリアス推薦の日本の曲のなかから、はっぴぃえんどの「風をあつめて」をピックアップ。途中カラオケのシーンでアイゴンが熱唱。他にもHIROMIXや藤原ヒロシらがカメオ出演。藤井隆、林文浩、田所豊はそれぞれぴったりの役どころ。イケスカナサを満身にたたえた通訳女は、元・夢の遊眠社の竹下明子さんというひとだそうです、みごと。
公式サイトで「最後にボブ・ハリスは何を囁いたか?」ごっこしてました。「生まれ変わったら一緒になろう(神奈川県・男性)」がいいんじゃないですか。

ボブとシャルロットが最初に会ったエレベーターの中にいた女の子はトイレを我慢していたのか。隣の母親の着物が左前なのはおかしいと配給元に文句言ったひとは何人いるの?/病院でボブに話しかけてきたおっさんは素人ではないだろう/しゃぶしゃぶ店、あんなに無口な店員はいまどきいないと思うけど/サントリーと虎やの関係/ボブの部屋に一度だけ直接ファクスが入ったのはなぜ/窓辺に体育座りのシャルロット。眼下に拡がる関東平野/ゲーセンで夢中少年たちの異様、その隣でうっとり見つめるカノジョのもっと異様/京都ロケは必要だったのか/水色の襟巻きはあれで完成?スカーレット・ヨハンソンが少女役を演じた『真珠の耳飾りの少女』は別名「青いターバンの少女」。水色の似合う女優だ。


チェルノブイリでニンジャ、アテネでビョーク

2004-08-13 | ぶらり
チェルノブイリ原発の廃墟をカワサキの「ニンジャ」に乗って旅し、その記録を写真日記サイトにしているウクライナ人女性のことが四月にhotwiredに載っていたけれど、その後いかがでしょう。日本語訳はこちら
「付近一帯は今でも被曝の恐れがある危険地帯だが、それにもかかわらず年間3000人以上の観光客がこの地を訪れ、そのうちの何百人かは危険地帯にある廃村まで踏み込んでいるそうだwww.masahiko.org」だそうです。ガイドは客1人あたり200ドル程度の報酬とか。おととし福島第一原発4号機を見学しました、東京でんこツアーで。ここの1号機は美浜原発1号機同様、運転開始から30年を過ぎている。
きょうはこれからアテネでオリンピックの開会式がはじまります。ビョークだ

名づけられることを拒否しながら在るために

2004-08-11 | 
気づいたら今日は11日、明日で高橋昭八郎展が終わってしまう。
同展に合わせて刊行された『第一語の暗箱』(2004.7.29発行/限定900部/発行:高橋昭八郎/構成:金澤一志/制作協力:伊藤元之/編集・造本:高木伸哉+石田貴子 フリックスタジオ/印刷:光野英行 コンフォートシステムランナーズ なお書肆啓祐堂にある同書には、昭八郎さんのサイン入り、しかもカバーは、同展実行委員会有志による手折り!)から、昭八郎さんの言葉をここにひきましょう。

「……名づけられることを執拗に拒否しながら、なお、そこにひとつの形であろうとする存在、=ものの可変性と非連続的な連続性の波動をあらわにする空間の構造化作用=の装置であり、その生成と否定のダイナミクスとしての問いかけでもあった。

……新たな詩がめざすべき突破口は、何気なく周辺に見え隠れしながら、まだまだ手つかずのままにあるように思われる。 
高橋昭八郎」

美浜で減肉

2004-08-11 | その他
関西電力美浜原発3号機の蒸気噴出事故。驚きである。28年ものあいだ一度も検査されていない金属部位が、原発施設のなかにあるとは。
経済産業省原子力安全・保安院のひとが、「配管内壁がすり減る『減肉』が原因ではないか」と言ってましたけど、金属って変化するものでしょう。つくったひとがそれを予測したり防いだり補ったりしてあげない限り、そりゃぁ金属さんは痩せてゆくでしょう。

個々の内部の迷いで時は過ぎ、それが幾重にも重なって最悪の事態はおこる。傷ましい。昼過ぎに編集室に行くと、なんと冷房が故障中。窓がほとんど開かないので、最悪である。管理会社に電話して、ぶーぶー文句を言う。夜、きんきんに冷えた部屋で、だから原発はだめなんだ、と私は言っている。