異形の幻視力『小山田二郎展』5.28-7.3 東京ステーションギャラリー
小山田が大日本印刷勤務時代に休み時間などにかきためたスケッチもあり。水彩画は77点。自らの水彩画について「タワゴト」と題して『美術手帖』にこう記す。「……水彩画は、オートマチズムといってしまえばそれまでだが……しみや線は形らしきものに変わり、スペースの限定は逆に個々の形の支配を始めだす時である。みじめな悔恨が敗北感を伴って私を沈黙させるのである。ここで私は筆をおくのである。」
油彩画は38点。1960年代に描かれたいくつかの《鳥女》が展示された部屋で、圧倒されて足がすくんでしまう。
図録は、本文紙三方をミシン目で切ったようにしたり、テキストページにほんのわずか色柄のついた図版をひいたり、凝ってはいるが好みではない、なにより、写真の再現とテキストの内容がいまひとつで購入にいたらず。
小山田が妻・チカエさんとタケミヤ画廊で出会ったころの話を、岡崎武志さんが書いています(洲之内徹さんの生前を知るチカエさんへのインタビューsumus special 「小山田チカエさんに聞く」)。小山田はある日失踪してしまうが、その朝の会話は「どこ行くの?」「ラーメン食いに」だったそうです。タバコの包み紙に描かれた絵は、チカエさんの手元にまだあるのだろうか。
小山田が大日本印刷勤務時代に休み時間などにかきためたスケッチもあり。水彩画は77点。自らの水彩画について「タワゴト」と題して『美術手帖』にこう記す。「……水彩画は、オートマチズムといってしまえばそれまでだが……しみや線は形らしきものに変わり、スペースの限定は逆に個々の形の支配を始めだす時である。みじめな悔恨が敗北感を伴って私を沈黙させるのである。ここで私は筆をおくのである。」
油彩画は38点。1960年代に描かれたいくつかの《鳥女》が展示された部屋で、圧倒されて足がすくんでしまう。
図録は、本文紙三方をミシン目で切ったようにしたり、テキストページにほんのわずか色柄のついた図版をひいたり、凝ってはいるが好みではない、なにより、写真の再現とテキストの内容がいまひとつで購入にいたらず。
小山田が妻・チカエさんとタケミヤ画廊で出会ったころの話を、岡崎武志さんが書いています(洲之内徹さんの生前を知るチカエさんへのインタビューsumus special 「小山田チカエさんに聞く」)。小山田はある日失踪してしまうが、その朝の会話は「どこ行くの?」「ラーメン食いに」だったそうです。タバコの包み紙に描かれた絵は、チカエさんの手元にまだあるのだろうか。