三浦俊彦@goo@anthropicworld

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2006/12/18

2000-02-23 02:27:35 | 映示作品データ
■『ワンダー・アンダー・ウォーター 原色の海』Impressionen unter Wasser
 2002年、ドイツ
監督 Leni Riefenstahl レニ・リーフェンシュタール
撮影 Horst Kettner ホルスト・ケットナー
音楽 Giorgio Moroder ジョルジオ・モロダー
Daniel Walker ダニエル・ウォーカー

■『アトランティス』Atlantis
 1991年、フランス
監督 Luc Besson リュック・ベッソン
撮影 Christian Petron クリスチャン・ペトロン
音楽 Eric Serra エリック・セラ

 10月に3回に分けて観た『レニ』の終盤に、『ワンダー・アンダー・ウォーター 原色の海』の制作シーンが入っていたのを覚えているだろう。90歳を過ぎたレニが海に潜って撮影しては、パートナーのホルストといっしょにモニター見ながら熱心に編集作業していた。ホルストが動画撮影、レニはスチル写真撮影担当で、写真集が先に出版された。(『レニ』のときはまだ映画は出来ておらず、完成する予定もなかった)。
 代表的な海洋ドキュメンタリー『アトランティス』と比べると、同じような深さの海を撮っていながら、まったく印象の異なる映画になっている。『ワンダー・アンダー・ウォーター』は、広いアングルで撮らずに、あえて細部を注視している。その結果、構図は捨てられて色彩に集中することとなった。
 『アトランティス』のほうは、ダイナミックな構図と動きで、生物よりも海という環境を表現対象としている。色彩はブルー主体で、色が捨象されたことでコンポジションとダイナミズムが抽象された結果になっている。

 両作品とも、オープニングに説教じみたナレーションが入るのがあまり感心しない。メッセージも表現も通俗で陳腐であるため、本編の説明抜きの芸術的な仕上がりとの間にズレを感じてしまうところがある。
 とはいえ、この2作を観比べるのは、映像芸術の「美的否定」手法の可能性を測定するのにふさわしい鑑賞法であろう。
 『ディープ・ブルー』(2003年、イギリス、ドイツ)や『エイリアンズ・オブ・ザ・ディープ』(2005年、アメリカ)といった他の海洋ドキュメンタリーを比較項に入れていくとまた否定手法の拡がりが見えてくるだろう。