三浦俊彦@goo@anthropicworld

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オトイアワセ:
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サバイバル系1

2005-03-28 21:25:23 | モンスター映画
 ■地球最後の男■ なるほどモノクロが似合ってるよな、このシチュエーション。最初このオッサン一体何やってんの、毎日まいにち同じこと、的意味不明状態から回想場面でやっと説明が追いつくあたり、うまい作りじゃないですか。ひとりじゃきわめて弱っちい吸血ゾンビがやたら大勢スローモーに襲ってくる図は後のゾンビ映画のミナモトだそうだけど、いやほんと、ゆるゆるのアクションのわりには(というか、ゆえに)緊迫感満点でした。しかし三つ巴の戦いになるなんて思わなかったもの。子どもに語りかける半ゾンビ女の最後のスタンスが、妙に複雑でこれ、カルトにふさわしい傑作だと思いましたよ。そこまでして土葬にこだわるか、みたいなツッコミどころも全体に解け込んでて、芸術的な陰鬱映画だったなあ。
 ■人類SOS!■ 肉食植物という希少モンスター。それだけでポイントアップものだが、オープニング流星群のチカチカが! 暗闇でプラズマ画面見てるとマジ目に悪そう、ほんとあのくらい眩しくしとないと説得力出ないしね、あのぶっ飛んだ全盲シチュエーションは。でほぼ高得点スタートなのだけどいくつか不満述べさせてもらうと、林んとこで主人公に担がれたおっさんが結局殺されちゃってたのはなんで? ああいう肝心な瞬間を映像的フォロー無しでやり過ごすってのはちょっと。トリフィドが花粉みたいなのバクッと吐きつけたらしいのは見えたんだけど。それと灯台ん中では男=戦い役、女=立ちつくし悲鳴専門と、なんかこう、いくら63年の映画だからってあそこまでマニュアル的だと唖然呆然。それと電流フェンスぎわで火炎放射浴びせるところ、みんな静止しちゃってるのがどうも。燃えながら蠢いててくれないと絵になんないんで。それとラストで海水ぶっかけると溶けちゃうところね、溶けるプロセスをある程度克明にやってもらわないと。ただ階段にベチョベチョが広がってくってんじゃ。……とまあ、一々見てくと不満点やっぱ百出の、異色系としちゃそこそこヨクやりました系ってとこでしたか。
 ■妖星ゴラス■ 良くできてたなー、南極の作業現場のミニチュア。細部がけっこう行き届いてて、私が勝手に非ゴジラ系東宝三部作として括っている他の2つ『地球防衛軍』『海底軍艦』と比べワンランクぬきんでてます。ただねえ、ゴラスに吸い寄せられたお月様がバイーンと爆発したのはねえ。いくらなんでも。(ちなみに月がなくなると地球の地軸の傾きが滅茶苦茶化して生物圏は壊滅します。)あと冒頭の万歳突撃もちょっと恥かしかったというか。まあ粗探しは措いといて目当ての怪獣ですが、見た目はっきり巨大セイウチなのに「爬虫類」て分析結果がいいし、志村喬が「殺すのは惜しいな」と呟くところに「ゴラス回避の緊急性と科学技術力をもってすれば貴重な古生物といえど簡単に殺せてしまうし、殺さねばならぬ」アンビバレンツな心理が滲んでナイス。で実際レーザー砲で超あっけなく死ぬところがまたリアル。生き物だものな。当然死ぬよね。地球存亡のメインテーマに押されて出番は一瞬でしたが大活躍というべきでしょう。地球の危機ぶりを裏側から引き立ててました。(「マグマ」なんていい加減な名前つけたの誰だい?)
 ■デイ・アフター・トゥモロー■ なぜにこれが「モンスター映画」かと申しますと。だってねえ、過適応した凶暴オオカミグループの襲撃があるって付加価値を別にしても、そもそもスーパーフリーズとやらがスレスレで追いすがってくるだなんてねえ。しかも人間の走力に合わせて、おやじさんチームと息子チームと二組まとめて面倒見てくれる律儀さときた。だいたいですね、衛星から肉眼で見えるほどのグローバル災害があんな短期間で始まっては引いてゆく、これエイリアンの仕業か怪獣しかありえんでしょう。て以前にまあ、氷河期という概念を勘違いしまくってる(わざとしまくってみせている)制作側のノケゾリモードは決して悪くないわけで。竜巻や稲妻や津波ったら怪獣そのものだったしね(個人的には、スーパーストームvsバルンガの戦いが切実に見たかったり)。しかるにまあ、おやじがはるばる息子を迎えに出向くであるとか(どうやって助けるつもりだったんでしょう)、息子は息子でクスリを探しに外へ出てくであるとか、パニック映画お決まりの人間ドラマを無理して貼り付けてるあたりどーにも痛々しい。ビジュアルだけで勝負すりゃ満点たりえたのに。うむ。ビジュアルはですね、冒頭、南極の亀裂CGがまずかったので心配したわりに、全体十分楽しめる出来でした。というか即本番に入ってタタターっと飛ばしてくれる前半は申し分なしでしたよ。音楽がウザくてドラマめいた後半が足引っ張っちゃいましたが。
 ■タイムマシン■ 婚約者を死から救えるか的一心不乱テーマで引っ張る前半と、数学教授がなぜかマッチョ化、超アバウトな活劇繰り広げる80万年後とのあまりの無関係さに酷評が多いようですが。だからそういう観方しちゃいけねえんですって。映画はビジュアル第一と割り切らなきゃ。タイムマシンの造形(昔のミドリの宇宙戦車のプラモデル思い出すなあ)、トラベル中の外界変化(婚約者のペンダントが腐蝕する場面って新たな恋への布石になっててなかなかじゃん)、ホログラフィ人間事典(?)の表情(目ぇでっかい黒人だねぇー)、壊れた月(『妖星ゴラス』でも言いましたけどああなっちゃうと地球ホントやばいんですけど……)、最後の意味不明の大爆発(ありゃーどーみても走って間一髪逃げられるスケールじゃなかったよォ)等々、いいじゃない、見た目楽しけりゃ。ただねえ。地下から飛び出すハンター、動きの機敏さのわりにサシで数学者に勝てないってのはどうも。女を助けるために単身乗り込み大アクション、てお決まりパターンもわざわざタイムトラベルものでやる意味なかったような。もっと目ぇ回るようなタイムパラドクス畳み掛けてくれてもよかったよね。ま、以上、精一杯褒めようと努力はしてみたものの、大の付く駄作ってことに変わりありませんゃな。私ゃ嫌いじゃないけどサこういう映画。
 ■地球最後の男 オメガマン■ オリジナルとの落差が激しいせいか、よけい駄作に見えるなあ。ゾンビどもの動きが人間と変わらないのが拍子抜け、なによりも全編の音楽はどういうことだろう。わざわざ品格を落としまくるBGMを選んだ理由は。リメイクなんだからもうちょっと綿密にやってほしかったよ。ヘナチョコ投げ槍に胸貫かれ、とってつけたような磔ポーズ死を迎えるところ、とてもあの『ベン・ハー』で熱演したヒーローと同一人物とは思えませんでした。
 ■吸血鬼ゴケミドロ■ 陰鬱ホラー系2参照。
 ■さよならジュピター■ コンタクト系3参照。
 ■地球で最後の男■ 冒頭の3分間だけチョイ期待させやがって。アンブローズ・ビアス以来使い古されたネタなんぞでどーしてこう引っ張るかね。そもそもそのネタ途中で百%割れてるし。表現意欲も内容もないのを無理して一本仕上げたって感じかな(『呪怨』っぽい思わせぶりな映像の連打にも閉口)。自殺者の走馬燈と狂人の妄想が混線してたんでしたー、とでも言いたげなラストかい? だから何なの? いずれにしてもあの天使だかなんだか、マスクを取って神父が顔出しちゃったんじゃ、愚作の上にモンスター映画ですらなくなっちまうでしょと。コスプレ映画ですかと。あと流産して死んだ奥さんにわざわざあんなドブス起用しなくても。他に見せ場あるならともかく。