三浦俊彦@goo@anthropicworld

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オトイアワセ:
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2006/6/19

2000-02-10 23:29:07 | 映示作品データ
5/22に短編2編を観たヤン・シュワンクマイエルJan Svankmajerから、さらに2編観ました。

■棺の家   Rakvic karna   (1966)

■ジャバウォッキー   Jabberwocky   (1971)

 この二作は、本来は説明の必要はないと思います。なんとなくのストーリーはあるらしいとはいえ、基本的に、視覚的な楽しさを眺めて<体感>すべき作品。
 「棺の家」は、人間の両手が指人形をはめるところから見せており、舞台装置のセッティングも相俟って、演劇的な枠の中で進行する。一種の劇中劇(メタフィクション)である。演技をしないモルモットと、演技をする指人形との合間に、現実と虚構のインターフェイスが広がる。その意味では、これも「ドキュメンタリー」の一種と言えるかもしれない。
 「ジャバウォッキー」は、迷路を抜けるまでの童心を描いたと解釈できるが、人形、リンゴ、ナイフなど、カテゴリーの異なるアイテムが次々に破壊されてゆくのは、成長に伴う童心の消滅を象徴しているのかどうか。シュワンクマイエルのアニメ手法全開の作品。これも、本気で活動しているネコが、ドキュメンタリー的とは言えないまでも、百%作り物の子ども部屋に、何か現実的な緊張感をもたらしている。

 次回から、映像と文学、映像と音楽、映像と美術(とくに絵画)の関係を考えるのに絶好の三作品を観ていきます。フランスの『サン・ソレイユ』(1982)、アメリカの『コヤニスカッツィ』(1983)、そしてロシアの作品(これはクイズにするのでまだタイトルは明かしません)。
 ★どれも長い映画なので、3回とも、12時45分から開始します。★

 なお、文学的映画、音楽的映画、美術的映画をそれぞれ観賞して、それによって映画と他の芸術ジャンルとの関係を考察する手掛かりとするわけですが、では、映画が映画自身に対していかなる関係を持つかを考える手掛かりとなる作品はあるだろうか?
 いわば、「映像的映画」とでも呼ぶべき映画。どんなものか考えてください。
 映像的映画の適例は、これも機会があったらご紹介することにしましょう。