三浦俊彦@goo@anthropicworld

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ゾンビ・バンパイア・ミュータント系(人間型系)12

2011-04-28 14:15:00 | モンスター映画
 ■スパイダーマン3■ 分類はスパイダーマンに焦点合わせて人間型だけど、ネバネバや砂状が登場してくれて、私は大満足。とはいうもののほとんど記憶に残ってない。どういう話だったかも覚えてない。そういう性質の映画だったんだろう。個々のシーンは記憶にあるはずだが、『1』や『2』のシーンと確信持って識別できてるかというと自信ないので言及控えとこ。ただまあ、観てる最中はいたく大満足だった記憶はあるので、CGもえらく感激した記憶あるので、とにかく高く評価しますってことで。
 ■ハウス・オブ・ブラッド■ 緊張が持続したよねえ。「人体破壊」をひたすらやりたいんだって欲求を正直に表に出した制作姿勢がすがすがしい。囚人らと化け物らの壊しっこって設定、どっちもどっち感がイケてる。ゾンビが襲ってくるたびに真ん中で大奮闘するハゲの囚人、全然強そうじゃないし不細工なおっさんだし動きも緩慢にみえるのに、他の囚人より貫禄で勝って見えてくるのは不思議だゃね。人の印象なんて役割でどうにでもなるってか。ともあれ狭い小屋でゴチャゴチャやり続けるこだわりったら良し。どういう展開でもこれなら絶対飽きることはないしね。こういうのだったらゾンビものでも楽しめるかな。ま、しょせんゾンビものの限界内でだけど。
 ■ディセント2■ ほほう、モンスターの脱糞か。意外と珍しいシーンだよな。姿がほとんど人間なだけになおさらね。せっかく肥溜めに落ちたんだから、排便真ッ最中に下から串刺しにしてやるって手はなかったものかな。たまにはあっていいんじゃないか、そういうの。でもどうしても人間関係にスライドしちゃうんだな、映画の決まりとして。生き残りの女が対面ですかい……、二人の関係がねえ……もう記憶ないのよ……前作からあんまり時間おかずに観なきゃってか。あと何だな、ラストがどうもコンタクト系っぽくなったかな。『ミッドナイト・ミート・トレイン』先取りしてる感じだね。主従関係的なコンタクトをただ仄めかしてるだけのこっちの方が味があるかな。映画としちゃあっちの方がチョイ上かもしんないけどね。
 ■30デイズ・ナイト■ あの展開に30日かかりましたってのは……どうもこれ、緊張感削いでないか。根気強いかくれんぼになっちゃちゃ退屈だよ。間延びだよ。一夜で凝縮してやってくれよ。でもまあ、わかりますよ、最果ての北国のピンチを描くには隣の都市とも連絡つかない1ヶ月使いたいっての。目一杯やりたかったわけね。でも結果的にゆるんじゃっちゃあ意味ないと思うんだけど。しかしあのバンパイアども、なんとまあとてつもない身体能力。動き速すぎ。腕力も車ひっくり返しちゃったり。それにしちゃあ、肝心のとこで主人公らを逃したり、見ててバランス感覚崩されるんだなあ。基本的に建物から建物へ伝ってゆく一行に対し表通りをバンパイアが練り歩きながら捜索、ってな感じですか。地味なんですよねえ、バンパイアのパワーに比べて不釣り合いなほど地味。とくに前半が派手で後半がずーっと地味、ってかなり損な作りじゃないかな。後半の地味さをカバーしようというのかクライマックスで主人公が自らバンパイア化して戦うっての、とってつけたように無駄に英雄的ッツか、無意味に自己犠牲的じゃないかい。だって相手は大勢だよ? ひとりで乗り込んでどうすんの。結局サシで勝てたからいいようなものの、勝つ確証もなければそもそもサシで勝負してくれる保証もなかったんだからさ。口中パンチはマンガチックでおもろかったけど、脚本の御都合主義に頼ったような主人公の自己犠牲はいただけない。どうも雪に閉ざされるまでがスリリングで閉ざされてからはただのかくれんぼって竜頭蛇尾構造がセンス悪いので、☆3つってとこかな。決していいかげんな映画じゃなくA級の域に十分収まっているだけに惜しかった。ほいで結局、最初に逮捕されてあとでズタズタにされた酔っぱらい風警告者って、役割何だったの? つかバンパイア連中、ああいうスパイみたいなの使った小技もありなの? あの身体能力からしてそういうの不要だと思うんだが。だいたいハンティング楽しみたいんでしょ、もっと豪快にいこうよ。あと言い遅れたけど、バンパイアの造形なんとかしてくんないかなぁ。全員ただの人間でしょうが、表情気持ち悪いだけで。この映画に対する私の厳しすぎる評価は、間延びだのバランス感覚だの御都合主義だの言ってきたけど、本当の理由はバンパイアがモンスターっぽい格好してないことっ! 一体くらい怪物怪物したの出してほしかったなあ。せめて『フロム・ダスク・ティル・ドーン』のバンパイア程度の異形をさ。俺はてっきり、赤外線だか紫外線だか照射したあのシーンね、女吸血鬼がズダボロ断末魔の異形モンスターに変身しながら死ぬのをリアルタイムで切に期待したんだが。あるいは主人公が日光に当たって死ぬプロセスにモンスター化が起こるとか。ラストはセンチメンタルに行かないとダメだと制作陣は思ったんだろうけど、だからって伝統的な黒炭化ですませるのはあんまりだよ。全員人間型のままで終わっちゃったのがこの映画の敗因だな。
 ■ゾンビランド■ 俺やっぱゾンビはダメだな。萌えない。この映画はゾンビものん中じゃ評価高いみたいなんだよ。しかしねえ……う~ん……、ゾンビってモンスター度低いぶん初期設定からしてハンディしょってるのね俺的に。なるほどちゃんと作ってあることはわかるよ。ギャル姉妹に振り回される主人公一行、つかず離れずの平行線ってのも見方によっちゃアイディア賞というか。でもねえ、二対二で別れちゃぁ追いつき別れちゃあ追いつきの構造がど~にも緊張感なくて。途中で雑貨屋を4人で思いついたようにブチコワシ始めるのも、そんなスローモーションにしてまで見せるくらいのシーンかい? それと何、あれ『ゴーストバスターズ』に出てた俳優なのかい? 本人ってことだよね。んなこたど~でもよくて、あいつが悪ふざけの結果客人に殺されちまうなんてこたこっちは当然予想してる、いや予想させられてるんだから、もっと意外なスカシ方ってなかったのかよ。ただ殺されてんじゃん。そこ全然スプラッターでもなかったし。あと絶叫マシーンどうせ使うんだったら、一人一人にああやってちまちま対応するんじゃなくてゾンビども十人もまとめて振り飛ばすくらいのビジュアルがほしかったよなっ。こだわりの「ルール」ももっと笑かしてくれんのかと思いきやほとんど紹介されずじまいだったし、相当のコメディ感漂わせて始まってくれたわりにほとほと尻すぼみ版でしたよ。遊園地に雪崩れ込んでおきながら意外と楽しくならなかったのはなんか切ないねえ……、
 ■ON AIR オンエア 脳・内・感・染■ ジャケに書いてあるコンセプトからして異色作だもんで期待したんだが、駄作だったわい。いや、前半の雰囲気作りが大変よいので駄作は撤回するにしても凡作以下であることは間違いなしだな。とにかくあの〈言語遊戯のつもり的〉掛け合いは空振り。あまりにレベル低すぎ。ただ関係薄そうな単語を交互に言い合ってるだけで、尻取りの域にすら達してない。「言葉によってゾンビウイルスが伝染する」っての、いいアイディアだと思ったのかもしれんけど、医師の説明も深刻な表情に反してとってつけた以前のいいかげんさだし、だいたい英語じゃなきゃ大丈夫なんてどうしてそんな結論に達したのかさっぱり不明だし、途中から男女がフランス語で喋り始めるのもうざったいし、勝手に始めといて途中から「ええい、面倒だ」的に英語に戻しちゃうのも投げやりすぎるし。そういう中途半端展開のせいで前半のチョイ味のあったDJとプロデューサーの駆け引きもグダグダ化した印象で記憶されることになっちゃった。ほんと損な作りだよ。あれだったらゾンビそのものは画面内に見せずにリポートと放送局内の反応だけで全編通してくれた方がずっとよかったな。ビジュアルでは誰も死ななくていいよ、言葉だけで。でも登場しちゃうんだよな、ゾンビども。いつもながらゾンビってモンスターフリークにとっちゃほんと有難迷惑なんだけど。よさげなシーンといったら美形娘の噴水吐血の瞬間だけだったかな。ちなみにあの子、序盤で銀歯のチラリズムがあります。ハッキリは見えないけどたぶんあれは銀歯。左上の五番。あれくらいでしょ見どころは。聞きどころもナシ。勝負球めかしたナンセンス言語ネタがあれほど徹底して空振りじゃこの映画の存在意義は潰えたね。もいちど言わせてもらうと単語のキャッチボールじゃダメなんですよ、せめて文単位で見せなきゃ。指示だけじゃなく論理のセンスとナンセンスを絡めなきゃ。意味とか理解とか尤もらしく論じてたけど、ッタクこんな極低レベルで「意味」「理解」云々しようなんて情けないやら恥ずかしいやら。こういう駄凡作公開してる暇あったら俺様の『蜜林レース』映画化する根性みせてみろや。
 ■ボトム・プレデター■ あら。単に人間が薬打たれてネズミ喰って変身しただけかい……。背中がトゲっぽく盛り上がるだけかい。もうちょい異形を期待したんだがなあ、残念。それにしてもゴミ回収業者ら、わざわざ現場にとどまって戦う必要あったの? 逃げようと思えば逃げられたシチュエーションでしょ。素人なんだから逃げようよ。ま、素人だからこそよってたかって銃だの電ノコだの棒だのいっぺんにぶち込んでモンスターを倒すとこは見てて面白かったけどね。モンスターは造形があの程度ってのは変身ものじゃ仕方なかったかもだけど、動きをもう少し。たとえば鉄のドアぶち破るとこ、体当たりっぽいあれじゃなくて、もっと怪物らしい破り方はなかったものかなあ。あれじゃ人間丸出し、着ぐるみ感全開だもんね。ところであのやたら威張ってたねえさんが殺されるとこ。ハイライトのはずなんだけど、わかりにくかったなあ。下顎をバキッと引っこ抜かれたようにも見えたけど、ちゃんと見してくんないかな。あそこで思いっきり悲惨な死に方披露するのがあの女の役目だと思ったんだけど。モンスター造形的には『ネズラ』に似た、内容的にはあれをかなりレベルアップしたような、それでも標準作には届きませんでした系ってとこかな。
 ■ザ・リグ 深海からの覚醒■ 少しずつ殺し方が派手になってくのかな、と期待させてくれたんだが。あの黒人の料理人ぶっ殺すとこで力尽きちゃったか。あいつんとこがピークでそれ以上はついに出来ませんでしたと。やれやれ……。
 ■鬼殻村■ そもそも村じゃないじゃん。村の跡って設定だろうけど。人体破壊シーン、というより人体破壊跡だな、ひとつひとつ気合いが入ってて、これをやりたかったって熱意は伝わってきます。しかしいかんせん全体の大根演技と音質の悪さで大駄作の域から這い上がれず。ただ、ラストの(というかエンディング後の特典映像っぽい部分だね)教授の語りも含めて評価すると、これ、なにげな傑作かもしんない。傑作は大袈裟だけど、ああ、こういう作りもありなのか、って。全滅した一行の健在な段階へ話が戻って、なんら劇的でもなければ種明かしでもないシーンで締める、ってのが意外と効果発揮してるじゃないか。しかもあんだけダメな演技してたやつらがここでは(たぶんこの語り場面は収録予定されてなかったんじゃないか)教授の語りに自然な反応をみせてて、本編とこの語りパートと合わせると、全体が夢物語のような、奇妙な浮遊感を味わえました。
 ■腐女子■ しっかし音質悪いねえ。『鬼殻村』もそうだったけど、どうしてこの俳優(最初と最後で語り手になってる上司のオッサンね)が出てくる作品って音が悪いの? 俳優のせいじゃなかろうけどさ。で、占い師が若すぎるでしょ。ああいう役回りなら老婆にしてほしかったところ。そう、自分が何人も子ども生んだ経験あって、曾孫までいそうなね。あの占い師、顔隠してるけど下手すると十代じゃないか。いろいろグチャグチャ展開してたけど、妻(『心霊音 The Movie』で銀歯披露してくれたぶんむくれアイドルね)の発狂ぶりは予想内でもまあこの展開じゃ当然だろうけど、上司の語りのラスとの展開がああも予想通りじゃダメなんじゃないか。だってああいうオチのためにわざわざ若い社員が聞き手に配置されてたんだって人為的な空気がぷんぷんだもの。まあいいや、工夫の跡の見える努力賞。あとはもいちど言うけど音質なんとかしてくれだね。ホワイトノイズに音割れに、まったくもう。
 ■スカイ・クロラ■ あのですねえ。こういうの観ると、俺がアニメ嫌いである理由がよーくわかるな。その意味では教訓的な作品でした。そう。アニメってのは演劇なんだな。様式的。ことさら無気力な台詞に気取った台詞、徹頭徹尾カッコつけすぎなんですわ。しかもです。そもそもなぜにアニメの質そのものがこうも悪い? キャラの歩行シーンではやたら地上をすべってるし。ミツヤの長台詞のとき全然身体が動いてないし。泣いたら人間の身体ってものは全体に泣きが伝わって、こう、肩が震えるとかするでしょ。動きと声が全然マッチしとらん。あとタバコ吸うシーンがやたら多いのはなんか狙いあったの? 子どもだけど子どもじゃないよって布石のつもり? 要りませんて。物欲しげな布石は自信のない証拠よ。戦闘シーンの迫力だけはまぁまぁ認めるにしても、総じて大駄作だと断固認定させていただきます。押井守は俺好きなんだけど、ダメなものはダメだなあ。