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【無名なブログ】DwJのDwJによるDwJの適当な世界【注意報2017】

世界的に有名なDWJや、拡張子のDWJや、ジャッキのDWJでもない、気がついたら色々被っているDWJの適当な世界です。

「死線」解説版w

2008-12-02 11:18:59 | 「   」と言う恐怖
どうもどうもどうもw

DWJでおますw

「死線」を読んだ方から(リアルでの知り合いw)こんな質問を受けました。

「あれって、夢だったんですか?」

と言うものである。

ぬうw

実のところオレも解らないのだよw

ただ、そのヒントは、

「主人公が見た世界が本当に夢なのか?」

と言う所にある。

自分でも解らないのだから、電波ってすげえなぁw

ともかく、自分でも改めて読んで気が付いたことを載せておこう。



まず前半。

主人公が現実なのかどうか区別のつかない状態になる。

その結末のほとんどが誰か、もしくは自分の死を見る。

だが、これは後に回を追うごとにパターンが変わってゆく。

階段の上。

階段の下。

そして自分が潰された状態。

階段の上の男。

階段の下の女性。

これら全ては、死を暗示しているものだった。

そこに含まれる重要な要素は、ほかならぬ主人公である。

主人公の行動一つで、それらが全て変化してゆく。

そしてついには、自分がその死の中に組み込まれてしまう。

主人公が確認していた時計は、まさしくトラップ。

電車に乗って15分は、あくまでも主人公の時計での時間であり、

電車の到着時刻などには、ほんの僅かなズレが発生している。

主人公は、そのズレさえも正確に見てしまっていると言える。

そう考えると、

何かの拍子にタイミングがずれた瞬間に、主人公は「悪夢」を見ていると思われる。

と言うことは、そのタイミングから完全にはずれた行動、

つまり、電車が目的地に到着する前に下りた時は、悪夢にならなかったのだ。


中盤。

次の日、同じように行動するはずが、突然電車の中に戻される。

すでに駅を出て、仕事先に進んでいるにもかかわらず。

そして、先に述べたようにパターンの違う悪夢を見る。

主人公は恐れから行動パターンを変更した。

そう。人の流れが終わるまで階段を下りずに待つことにしたのだ。

そして、階段を見上げることなく走り去った。

その行動全てが、主人公を悪夢から避けさせるものになった。

悪夢から開放され、気持ちが楽になり、いつもの生活を取り戻したに見えたが、

また再び悪夢が襲う。

今度は、自分の死を見る。

夢だと思い込む、が、それがあまりにも今の状況に似ていることに気づく。

そのとき、主人公は死線を見てしまうのだ。

ここまでで考えると、これまでの全ての夢と言えるものが、

この時のためだったと解釈できる。

それゆえ、主人公は死を免れたのだ。



後半。

主人公は死線を見る力を得たのか、その線を恐れる。

それゆえ一時引きこもり、自分に迫り来る死線を恐れ、

最後には気が狂いそうになり、その線に飛び込む。

しかし、その結果は生を掴んだ。

まあ、何日も飲み食いせず、身動き一つせずにいれば衰弱して死ぬわなw

そこから飛び出したのなら、まさしく生を掴んだといえる。

それゆえ、主人公は死を恐れなくなる。

どうすれば死なないかを知ったからだ。

が、

その後の悪夢と目覚めは、それまでの事がすべて夢だと思わせた。

いや、この作品を読んでいる人も、どれが夢で現実かわからなくなっている。

それは主人公も同じで、既に解らなくなっている。

見えている赤い線さえも、本当なのか疑わしい。

この後も曖昧。

「・・・・ なんどこれを繰り返しているのだろうか?」

の下りで解る。

ここまでの事を既に何度も繰り返しているようにも見える。

だが、そんなことになれば人間パニックになる。

そして・・・・・



終盤。

主人公は精神的混濁を理由に、精神病院へ送られてしまう。

階段で人を押し倒し、大惨事を招いてしまい、

さらには訳のわからないことをつぶやく。

そうなれば、だれでもおかしいと思う。

そして、数回の自殺未遂が決め手になった。


精神病院の中、主人公は拘束された状態になる。



まあ、あとがきにもかいたけど、これは満員電車の通勤ラッシュを連想させるw

で、そこで運ばれてくる食事に死線を見る。

その後見るのはまさしく悪夢。

今度は電車から駆け下りて、人を押し倒してしまう場面。

そして、精神病院への繰り返し。

これは行ってしまった罪への後悔から見る夢に思える。



最後の場面。

主人公は生きる気力を失い、電車に飛び込んでしまう。

最後の文章は、主人公の死を意味している。




さってw

ほとんど解説にならないが、まあ、オレもよくわからんのよw

初めに言った、

「主人公が見た世界が本当に夢なのか?」

が、それを全て解決してくれるようだw

まあ、つまりは、それら全てが夢であり、現実であった、と。

どれが現実で、どれが夢か、と考えより、

どれも夢でどれも現実であった、と考えたほうが正解。

主人公が見たものはまさしく現実である。

それはすべて、「起こりうる未来」である。

と言ったところか?

未来を知ることにより変わる未来。

それはすなわちパンドラの箱。

箱には「希望=未来」が残されており、

それが開放されると「絶望=未来」となるらしい。

真の絶望とは、未来を知ってしまうことであると、誰かが言っていた。

人間は明日への希望を持つからこそ生きていけるのであり、

全てを知ってしまえば、生きる力を失ってしまうのである。らしいw

よって、主人公は「先にある未来=絶望」を知ってしまい、

最後には自分で未来を閉じてしまったのである。



まあ、つまりは、未来の可能性の中で、あるポイントを見てしまった。

そして、それを幾度と変えようとするも、その結末は最悪な方向へと進んでゆく。

ならば、そのポイントにたどり着かなければいい、と言う結論に至ったというものだ。



「未来を知ることへの恐怖」

人間のもつ恐怖。

闇への恐怖。

それは「未来がわからない事への希望」が失われたとき、

「未来を知ることへの絶望」と変わる。

最大の恐怖の一つは、まさしく希望も臨みも無い「絶望」である。

主人公の感じた本当の「恐怖」とは、

自分の未来への「絶望」であったのだ。




さあ、次回は何を題材にしようかな?

お楽しみにw

「死線」

2008-11-30 13:24:54 | 「   」と言う恐怖
「死線」




朝の通勤ラッシュ。
私はそれが嫌いだ。
だが、その嫌いなものに触れなければ、私の生活は成り立たない。

妥協。

諦め。

どちらとも言えない感情の中、今日もその中に押し込まれてゆく。
まるで小さく折りたたまれて仕舞われて行く、今をあらわしているようだ。



15分と言う時間をいつも感じる。
どうあがいてもその時間は操れない。
ただ、ひたすら耐えるしかない。
嫌で嫌で堪らないはずだが、それを許してくれない今を、いつも呪う。
どうすればこの現実から逃げ出せるのか考えるが、15分と言う時間で答えを見つけ出すことはできない。耐えるしかない今が一番優先されているからだ。



そして開放された時の喜びと脱力感は、すでにこの先10分歩いて仕事先に行かなければならない足を萎えさせる。
止まってはいられない。時間は過ぎるのだ。階段を下りて、駅を出て、いつものコンビニで朝食を買わなければならない。
満員電車で押しつぶされるのが解っているから、いつも朝食は取らない。
以前、吐いたからだ。
さあ、行こうと、諦めて階段に足を踏み出した。

流されるように階段を下る。
誰もが急いでいる。後ろから押され、前から引っ張られて。
この流れを変える事のできる存在など、ここには存在しない。
社会の縮図だ。
自分を笑った。
その中に自分も含まれているからだ。
思わず笑みがこぼれた。
馬鹿馬鹿しくなったのだ。
だが、そう思った所でなにも変わらない。
急に足が止まった。



気が付けば、前に居た人間たちが、将棋倒しになって倒れていた。
その下からはうめき声が聞こえ、回りからは悲鳴が聞こえてくる。
階段の一番下が赤く染まっていた。
何十人もの重圧で、一番下の人間がつぶれていた。
ぐしゃぐしゃにつぶれていた。
何もかもを撒き散らしていた。
頭から何かが出ていた。
私の喉の奥から、何も食べていない胃から、何かが逆流してきた。



「次は新宿~ 山手線ご利用のお客様は・・・」
そこは電車の中だった。
池袋を通り過ぎていた。
「・・・・・う・・・・」
口の中には、あの酸っぱい匂いが僅かに残っていた。
周りの人間は下がり、オレを見ていた。



新宿に着くと、すぐにトイレに駆け込んだ。
服が汚れていたから、それをなんとかしたかった。
だが、すぐ後に人が入ってきたため、個室便所に逃げ込んだ。
そのとき、また吐き気がして、私は周りを気にせず便器に胃液を吐き出した。


一刻も早く家に帰りたい。
服をなんとかして、帰りの電車に乗り込みたかった。
適当な服を買うとトイレに戻り、着ていた服を処分して、買った服を来た。
もう、あの服屋には二度と行けないだろう。

新しい服は、さっきまでの気持ちまでも新しくはしてくれない。
鮮明に記憶に残ったあの映像を打ち消す事もできず、吐き気を抑えながらホームへの階段を上る。
無論、階段下を見ることなんてできない。
電車から降りて階段を降りるときに、思い出してしまい吐いた記憶があるからだ。

電車に乗り込むと、胸をなでおろした。
そこに通勤ラッシュはなく、人もまばらで、椅子に座ることもできたからだ。
また20分待たなければならないが、それでもましだった。



自分の住んでいる町の駅に着く。
そこからはバスに10分乗れば家に着く。
家に着いたら眠ろう。今日のことは忘れて、明日はいつものように仕事へ行こう。
急に、通勤ラッシュが恋しくなった。

駅の階段を下る。
下は見ない。
ゆっくりと、視線は壁を見つめながら降りる。
もうその先に階段は無いと解ったとき、安堵感が体を包んだ。
さあ、駅の出口へ向かおう。明日はこの階段を上り、仕事へ行くのだ。



階段の上を見上げたとき、目の前が暗くなった。
それはすぐさま自分の視線から消えた。
そしてすぐに、何かがつぶれる嫌な音がした。
「・・・・・・・・・・・」
叫び声を上げることもできず、ただ目の前のものを見つめた。
それは、あの時見た映像を、今度は階段の下から見つめたものだった。
すぐ隣の女性が悲鳴を上げた。
何事かと人が集まった。
私はすぐその場から逃げ出したかったが、足が動かない。
目線も動かすことができず、ただ、震える以外すべが無かった。
そしてすぐに、吐き気がして、喉の奥から何かがせりあがって来るのを感じた。



「次は王子~・・・」
そこは電車の中だった。
赤羽を通り過ぎていた。
「・・・・・う・・・・」
口の中には、あの酸っぱい匂いが僅かに残っていた。
周りの人間は汚いものを見るように私を見てながら、隣の車両に逃げていった。



階段を上ることも降りることもできなかった。
ただ無気力のまま、服も代えずにベンチに座り込んでいた。
駅員が声をかけて来て、駅長室まで案内された。

何があったか聞かれたが、自分にも解らない。
話したところで意味が無い。
思い出せばまた吐き気がする。
駅員はただの二日酔いだと言い、私を慰めた。

赤羽で降りて家に帰ることを伝えて、駅員に連れられてタクシー乗り場に着いた。
服は駅員が貸してくれた。
降りた駅が階段が無かったお陰で助かった。
ひどく疲れていたため、行き先を行った後すぐに眠ってしまった。



急に息苦しくなり、身をよじった。
しかし体は動かない。
それどころか左右に振られ、押しつぶされそうになった。
目を開けて前を見ると、誰かの後頭部があった。
そこはあの満員電車の中だった。
「・・・・・・・夢?」
服は、家を出たときのままで、汚れても居ない。
駅は池袋にも着いていない。
時計を見ると、電車に乗ってから5分も経っていない。
「・・・・・・」
僅かに口の中に酸っぱい味があったが、気持ち悪さは無い。
夢だったのか・・・
なんて悪夢だ。


そして池袋に着いた。
電車から吐き出されるように人間があふれ出し、その中に流されながら電車を降りた。
丁度15分が過ぎた。いつものことだ。階段を降りて、駅を出て、仕事先に向かう。
いつものことだ。



だが、階段を降りきる事はできなかった。
自分の目の前の人間の後頭部が消えた。
前倒しになり、階段を滑り落ちてゆく。
人々が前倒しになり、また、あの嫌な音が聞こえた。
そして、喉の奥からまた、何かが湧き上がってきた。

トイレに駆け込み、着替え、電話をし、帰りの電車に乗った。

そして赤羽で階段を降りた。

また同じ光景を見た。

また電車の中にいた。

電車を降りて、駅員に声をかけられ、タクシーに乗った。

そして息苦しさに目を覚ました。



「・・・・・!!」
また同じ夢を見た。
だが、今までよりも鮮明に見えた。
そしてまた満員電車の中に居た。
時計を見ると、10分が過ぎていた。

すぐに着いた駅で降りた。
悪夢だ。
疲れているんだ。
だから見たんだ。
そう自分にいい聞かせると、すぐに駅を出てタクシーに乗り、家路に着いた。
電話する気力も無い。
眠る事もできない。
震えながらタクシーを降りると、家に飛び込んだ。


布団をかぶった。だが眠らない。
また夢を見るからだ。
本当に夢だったのか?
テレビをつけて、階段で将棋倒しになって、死者が出たというニュースを探した。
ニュースサイトもあさって見たが、時間的に載っていないのはおかしい。
あれから一時間は経っている。


「夢だ。」
自分に言い聞かせるようにつぶやいた。
その直後、すぐに眠気が襲ってきた。


目が覚めた。
どれだけ時間が経ったか解らない。
気にもしたくない。
空腹だった。
家を出て、コンビニで何か買って食べよう。


近くのコンビニに入り、食べ物を物色する。
空腹であるにもかかわらず、どれも食べる気がしなかった。
手を伸ばしては迷う、そんな事を繰り返した。
どれでもいいと手を伸ばし、飲み物と掴んだおにぎりをもってレジへ行った。


味は解らなかったが、空腹は収まった。
喉も潤い、一息ついた。
夢だったのだから気にしないように考えたが、どうしても忘れることができない。
だが、明日は休めない。仕事先で休んだことを謝り、いつもの日常に戻らなければならないからだ。

すぐに朝が来た。
あれからすぐ眠ってしまった。
起きては眠り、眠っては起きてを繰り返すうちに朝となった。

いつものように着替え、いつものように靴を履き、いつものように家を出た。
そしていつものようにバスに乗って、いつものように駅に入った。
もう夢なのだからと決め、階段を上った。
そして満員電車に押し込まれ、池袋まで着いた。
そして階段を下りて、駅を出て、コンビニで朝食を買い、歩いて仕事先に向かった。



はずだった。
気が付けば満員電車の中だった。
時計を見ると15分経っていた。
池袋についた。
「・・・・夢・・・?」
疑問が頭を過ぎるが、考える暇も無く電車から吐き出された。
「・・・・疲れているんだな・・・」
しかし夢は夢だ。
そんなことは理由にできない。
さっさと階段を下りて、駅を出て、朝食を買って、仕事先に向かわなければならない。
だが、階段をいざ下りようとしても、足が動かない。
「なにやってんだよ・・・」
後ろに居た男が私を押しのけて階段を下りていった。
だが、バランスを崩し、つまづき、空に手を伸ばした。
「あ・・・」
その瞬間、前に居た女性の後頭部が消えた。
「・・・・・・・・・!!!!」


気が付くと私は電車の外に居た。
時計を見ると16分経っていた。
階段は目の前だ。後ろから押されて階段に進まされる。
足が進まない。
後ろから男の声が聞こえた。
「なにやってんだよ・・・」
はっとした時、目の前の女性の後頭部が消えた。




「・・・・・・・・!!!」
声も出ない叫び声で目が覚めた。
そこは家だった。
また夢を見たのだ。
「・・・・・」
どっと汗をかいていた。全身がぐっしょり濡れて気持ちが悪かった。
朝だった。今日だった。まだ今日が終わってはいなかった。
無意識のように服を着ると、そのまま家を出た。
バスに乗り、電車に乗った。
そしてあの階段の前に立った。
「・・・・・・・・」
人の流れから抜け出し、階段を見下ろす様に覗き込んだ。
なにも見えない。
これが夢なのかもわからないが、このまま階段を下りられるのか迷った。
何かが起こる気がした。
だが、なにも起きずに人の流れは過ぎていった。
「・・・」
ゆっくりと階段を下りた。
注意深く、慎重に、周りに何も無いか確認して。
そして降りきった瞬間、後ろを見ずに一気に走り去った。

後ろからは、駅員のアナウンスが聞こえるだけだった。



次の日も、その次の日も同じようにした。
そうすることで、あの悪夢は見なくなった。



そしていつしか夢のことを忘れ、人の流れのまま階段を下りていた。
もう、あれはただの夢だと気づいたからだ。
あれから悪夢を見ていない。
ようやく、すがすがしい気持ちで、仕事に向かうことができた。


いつものように階段を降り、いつものように階段を上った。
いつもの生活で、いつものように満員電車を嫌った。
いつののように諦め、妥協した。
時計を見た。

まだ5分も経っていない。

だが5分過ぎた。

まだ10分も経っていない。

だが10分過ぎた。

駅に着いた。

15分経った。

流れのまま階段に足を踏み出そうとした。

だが、なぜか足が動かない。

後ろから男の声がする。

「なにやってんだよ・・・」

「あ、すみません。」

前に歩き出し、階段を下りた。

階段を降り切って、駅の出口へと向かった。

いつものことだ。

「いつもの事だ・・・・」





女性の悲鳴が響き渡った。
何事かと振り返った先には、あの時と同じような映像が見えた。
「ああ・・・またあの夢なのか・・・」
そう思い、もう夢だと慣れてしまった私は、その現場へと足を進めた。
そこには、つぶれた人間が血を流していた。
「・・・もう見ないと思ったんだけどな・・・」
つぶやき声はだれにも聞こえず、周りに人だかりができる。
女性はその光景から目をそむけ、悲鳴を上げてしゃがみこんだ。
「夢の続きか・・・」
すぐに駅員が走り寄ると、その光景に驚きながらも別の駅員に警察を呼ぶように叫び、人だかりを現場から遠ざけた。
私はその駅員に気を留められることはなかった。
「私の夢だからか・・・」
つぶれた人間を覗き込む。
すでに誰かわからないほどになっていた。
「こんな夢を見るなんて、よっぽど疲れているんだろうな・・・」
諦めと共に、慣れてしまった自分を笑った。

ふと、足元に財布が落ちているのに気が付いた。
改札口で定期券を出すために、ポケットから出していた最中だったのだろう。
「・・・・・」
それを拾い上げ、ついていた血をふき取りながら、名前を見た。
「・・・・・・・・・」
絶句した。
そこに書かれていた名前は、間違いなく自分のものだった。
「なんてことだ・・・・・自分が死ぬ夢を見るなんて・・・・」
そう思った瞬間、目が覚めた。



そこは階段の前だった。
また夢を見たのだ。
夢だ。
そう考えながら、流されるがまま階段を下りた。
目の前には女性の後頭部がある。
見覚えがあるきがした。
そうだ。夢の中で悲鳴を上げて、しゃがみこんでいた女性だ。
ぞっとした。
このまま階段を下りたら、まさしく夢のとおりだ。
そして、後ろから男の声が聞こえた。
「なにやってんだよ・・・」
気が動転した。
このままでは夢の通りだ。
自分が死ぬ絵が頭に浮かんだ。
血を吐き出し、頭から脳しょうをまきちらした自分の姿だ。
戻ることはできない。
急いで階段を下りようとし、足元を確認したそのときだった。
「!!」
その一歩先には、赤い線が一本走っていた。
この階段をいつも使っているが、そんな線があることには気づかなかった。
それどころか、その線は宙に浮いていて、とてもそれが誰かの意図的なものとは思えなかった。
横一線の赤い線を、周りの人間たちは、気にも留めずに通り過ぎていった。
自分にしか見えない線が目の前にある。
そして、それを越えてはならないと、頭の奥から命令が聞こえる。
そのとたん力が抜け、後ろに倒れこみながら座り込んでしまった。


人の流れが過ぎていった。
通り過ぎる人間は皆、邪魔なものを見るような目で私をみていた。
流れが終わり、あらためて線をさがすと、それは何処にも無かった。



それ以来、その赤い線を見ることができるようになった。
道を歩いているとき、赤い線が目の前に有る時があった。
あの夢の映像と共に恐怖がよみがえり、足を踏み出せなかった。
それは日増しに増えて行き、ついには自分の家の前まで押し寄せていた。
家から出ることもできない生活が続いた。
たまにドアを開けると、さらに何本もの線が折り重なって家の前に走っていた。
ベランダから外を見ると、そこらじゅうに赤い線が走っている。
そしてそれは次の日にはベランダに。
次の日には玄関に。
台所に。
トイレに。
居間に。
自分の周囲にまで及んだ。
あまりの恐ろしさに、身動き一つできなかった。
僅かでも体を動かせば、その線からはみ出る。

それはすなわち、死ぬと言うことだ。

頭から布団を被り、暗闇の中に逃げ込んだ。
目をつぶれば線は見えない。
このまま動かなければ、いつか線が消えて、いつもの日常に戻れるはずだ。
明日になれば、消えるはずだ。
明日になれば・・・


暗闇の世界に、赤い線が一本走った。

それは線ではなく、面になっていった。

いくつもの線が折り重なって、面になった。

目を閉じたその先に、死線がせまっていた。

恐怖が体を包み込む。

気がおかしくなってゆく。

もういやだ。

逃げ出したい。

こんな事なら、死んだほうがましだ。



私はその赤い世界に飛び出した。

死が待っているはずなのに、むしろ開放された気がした。

もう、恐怖は無いのだ。






今日も赤い線を見た。それを私は越えた。だが、私は死ぬことは無かった。
あの線を越えたときに気づいたのだ。
その赤い線はたしかに死線だった。私を囲っている死線だったのだ。
その中に居たら私は死んでしまう。そう言う意味だったのだ。
それを理解した私は、その線を越えることに喜びを感じた。
その線さえ越えれば、私は生きていられるのだ。
もう、怖い物は無い。

私は死なないのだ。



そして、

いつものように朝が来て、

いつものように仕事先へ向かった。

今日も赤い線を越えながら。

いつもよりも気持ちのいい日々だった。電車に乗ると面白いことが解った。
電車に乗りながら、私は死線を越えているのだ。迫り来る線は誰の気にも留められず通り過ぎてゆく。
この電車に乗っている人間は、少なくとも生きていられるのだ。
死線の外側に逃げ出せているのだ。


そして、階段に差し掛かった。赤い線がいつものようにあり、私はそれを超えた。
だが、その線はいつもと違った。線を越えると、それは線ではなく、囲いだったのだ。

私はその瞬間、その死線に囲まれていた。

これは中なのか?外なのか?
前には見たことのある女性の後頭部があった。
後ろから男の声が聞こえた。
「なにやってんだよ・・・」
あの時の夢だ。
迷った。
この線は内側なのか、外側なのか。
全身に汗が噴出した。
この内側に居たら、このままでは押しつぶされ、あの夢のシーンが再現される。
周囲を見回したが、他に線は見当たらない。

この線は、死線の内側だ。

ここに居たら、死ぬ。




・・・・・・

なんどこれを繰り返しているのだろうか?私は解らなくなっていた。
気が付けば、また、満員電車の中だった。赤い線が見えた。
それが内側なのか、外側なのかわからない。時計を見た。

10分。

電車は駅で止まっている。身をよじって外へ出た。
今日、あの階段にあの時間に行ってはならない気がした。



その後、階段で人が将棋倒しになり、何人かが死亡したというニュースを見た。

自分は助かった。だが、それは間違いだった。

パニックになった私は、階段で人を押しのけて降りていった。そのとき、前の女性の後頭部が消えたのだ。
警察に事情聴取されながら、私は答えた。

「死線が見えるんです。でも、それが内側か外側かわからないんです。」

精神的におかしい。そう判断された私は、その日拘置場に入れられ、後日改めて専門家の立会いで取り調べられることになった。




目の前に赤い線がある。それを越えれば死ねるのか、死なないのか、解らない。

ただ一つ言えることは、私がその線の内側でも外側でも、死のうとしても助かってしまうことだ。

何度かめの自殺も全て失敗に終わり、精神病院で動けないように拘束されている。




だがある日、その線がゆっくりと動いていることに気が付いた。
その線はドアの向こうにゆっくりと消えていった。

「・・・さん・・・お食事ですよ・・・」

看護士がドアを開けて入ってくる。その手には、私の食事があった。
寝たままでも食べやすいように、やわらかいゼリーのようなものだった。

「さあ・・・どうぞ・・・」

赤い線と共に、スプーンに載せられたゼリーが迫ってきた。
ああ、これで死ねるんだと思い、ゆっくりとそのゼリーを飲み込む。
赤い線は、私の喉を通り過ぎ、胃へと運ばれて行った。

だが、私は咳き込み、それを吐き出してしまった。

赤い線は、ゼリーが床に落ちると共に消えていった。







私は相変わらず、窮屈な満員電車の中に居た。そして、あの階段を駆け降り、あの光景を見た。
立ち尽くす中、警官につれて行かれた。
精神病院に送られ、看護婦が食事を持ってきた。
そこには必ず赤い線があり、目の前まで迫るのに、
私は咳き込んで吐き出してしまう。

そしてまた、満員電車の中にいる。

だが、私は解っていたのだ。
その全てが夢であると。
赤い線など存在せず、
私はその先にも後にも進んでいないと。
恐怖と言う感覚は無くなり、ただ無気力となった。




またあの朝が来た。

駅のホームに立つと、聞きなれたアナウンスが入る。

私は黄色い線の外側に立つと、電車が来たところに飛び込んだ。





そのとき、自分の足元に赤い線が見えた。

それは内側なのか、外側なのかわからない。

ただ、その結末を見ることもできず、

私は夢を見なくなった。









あとがき:

まあ、一作目ですから、こんなもんでしょう。
しかし最大の問題は、ほんとうに「  」の中を埋められた内容なのかがわからないのですよw

まあ、それはさておき・・・

ここでは、日々ある「身近にある死」を「死線」としています。
だれにでも死ぬ機会がありますが、それを無意識に回避しているのでしょう。
電車に飛び込むなんて、まさしく死線を越える行動ですが、
人間は電車に飛び込めば死ぬことを理解しているので、
意識しなくとも覚悟しなければ飛び込めません。
むしろ死ぬ気なんて無いので、そんな気すら起こさないのです。
この主人公は、その死線が内側か外側か解らないようになってしまい、
最後には確実に死ぬ死線を自ら越えてしまったのですなw

書いているうちによく解らなくなって来たのですが、
改めて読み直すと、満員電車の窮屈感と拘束着の窮屈感が似ているような気が。
そして、それは日常の窮屈感で、そこから抜け出したいと思う主人公が、
見えもしない死線を越えることで開放された気になったのでしょう。
そして、死線に囲まれたときにそれが内か外か解らなくなってしまった・・・

でも、実際そんなものは存在せず、また、それら全ては夢であった。
そして、そこから逃げ出すために、本当に死線を越えてしまった。
死ぬことを恐れ、死ぬことを望み、それが叶わず死ぬことを選んだ。
死と言う恐怖に打ち勝ったつもりが、すでにその恐怖の中に沈みこんでしまっていて、
死と言う恐怖から逃げるために死を選んでしまった。
最悪のループですなw

つまり・・・

最悪の恐怖とは、死によって逃れたくなるほどの恐怖、であった、と。

おいおい電波w

ちっと一作目から飛ばしすぎだぜw

お陰で絵を載せる余裕がなくなっちまったよw

ま、それは、タイトルにしておけばいいかw


では、もし面白かったら、次回もお楽しみにw

楽しめるのかwこれw

オレは楽しいがなw

ああw駅とかの設定は夢と言うことでorz