戸山の日々

東京の大学に勤務する教授の日常を綴る
  うつりゆくよしなしごとを書きつくる
       ブログの文の狂ほしきかな

至福の時間

2007-12-07 | Weblog
図書館の特別資料担当のM前調査役が
職位停年を迎えられたので、
現副館長、前副館長、元副館長(私)の
三代の資料担当副課長揃い踏みで、
慰労の一席を設けた。
他に紅一点図書館職員のHさんも加わり、
総勢5名で19:00「石ばし」前集合とする。

予約を入れた段階では座敷は一杯で、
テーブル席で19:00からなら用意できると言われた。
ところが宴会がキャンセルになったとかで、
座敷に上げてもらうことができた。ラッキー!

白焼きと鰻重はあらかじめ注文しておいたが、
串もあるというのでお願いする。
お酒は、山口の「獺祭」に燗をつけてもらう。
図書館関係者に「獺祭」とは、なんとつきづきしいことか。
子規ならぬ「獺祭書屋」で日ごろ仕事をしている我々一同に、
これほど相応しい銘酒はあるまいて。

この燗酒が大正解。
「獺祭」は、今は無き「鷹ばん」で
何度か冷やで飲んだことはあるが、
燗酒がこんなに旨いとは知らなんだ。

今日は私が幹事役なので、
主賓には持参の河井寛次郎作ぐいのみを
使っていただいた。
これは老母が昔、
河井寛次郎自身から直接もらった逸品なのである。

道具はご馳走の重要な要素だ。
お店に食べ物は持ち込めないが、
こういう趣向は気が利いている、と思う。
テーブル席だと粗相があるといけないので
出さないつもりだったが、
(別のぐいのみを用意していたけれど)
幸いにも座敷に上げてもらえたので、
奥の手を使うことができた。

さて、職位停年というのは何かといえば、
大学の職員で役職についている人は、
60歳以後はその職位に留まれなくなるのである。
つまり××部長などという職位の人は、
60歳を過ぎるとヒラの職員となり
定年の65歳まで勤め続けることは可能となっている。
しかし退職金等の条件がよいので、
職位停年を迎えた職員の方は、
たいていそのまま退職してしまう。

ところがM前調査役は、
現在進められている図書館のデータベース構築作業に
なくてはならない人なので、
停年後もしばらくは特任職として残ることになった。
なにしろ20万点ある特別資料を
隅々まで知り尽くしている人は他になく、
文字通り「余人をもって替え難い」人材。
大学で図書館学の講義も担当している。
立教大学のYK教授と大学同期入学らしい。
ということは、K先生も還暦か…。

M前調査役はとにかく鰻が大好きで、
一緒に磐田市で開かれた図書館の展示の
開会セレモニーに出張し、
名代の鰻屋に飛び込んだことがなつかしい。
京都へも寄贈資料を受け取りに二人で行った。
ところが「石ばし」は初めてだという。

前副館長のS教授は写真部の会長なので、
ライカのレンズを着けたデジカメを取り出して
パチパチやりはじめた。

21:00近くまでたっぷり時間をかけて
鰻を堪能した。
M前調査役も満足してくださったようだ。