戸山の日々

東京の大学に勤務する教授の日常を綴る
  うつりゆくよしなしごとを書きつくる
       ブログの文の狂ほしきかな

打ち上げ

2008-01-31 | Weblog
ロシア文学のK先生からお香をいただいた。
お返しに昨日買ってきた「豆源」の福豆枡を、
メールボックスにお入れしておく。

13:30から中央図書館で電子媒体委員会。
1時間ほどで終わる。
正副委員長、事務方のほか、
委員の出席はたったの4名。
なんだよ、これは!
明日も図書館の会議が予定されている。

会議室の隣のデータベース室にM氏を訪ねると、
梅若文書中の囃子方の伝書、
「筋違合方」「違合方」の読み方を尋ねられた。
「すじちがいあわせかた」とでも読むのかなあ。
能がご専門のT教授に聞いてみますと答えておく。

教育学研究科の修士論文の口述試験は
15:30からなので、
少し時間がある。
図書館近くの教育学部の講師室で時間を潰す。
受付のKさんからお菓子をいただいたので、
お返しに東京松屋本店の葛菓子を差し上げた。
来年度もよろしくとご挨拶する。

時間になったのでM教授の研究室に行く。
M教授が主査、H教授と私が副査の修論が2本。
Sさん、それからNさんの順で試問する。
Nさんは私が卒論を指導した学生さんである。
相変わらず少し荒っぽい論だと思った。
Sさんのはユニークで、大変な力作だが、
方法としてどれだけ一般化できるか、
そのあたりが大きな問題であろう。

口述試験が無事終わったので、
自分の研究室にもどる。
最後に残った600人以上受講している科目の、
最終的な成績処理を行った。
もう一度見直し、誤りを修正。
web上で確定して、プリントアウトする。
そうしたらどうしても1人、成績確定できない人が出る。
焦ったが、システム上の問題らしい。
26枚の成績簿に署名・捺印して事務所に持って行く。
これで本年度の成績はすべて処理した。
後は明日の卒論口述試験を残すのみ。

専修室では院生諸君が研究会を行っている。
殊勝、殊勝。
Nさんの論文の添削を始めたが、どうにも文章がおかしい。
本人がいたので、もう少し推敲してから見せてと言い渡す。

18:30から本年度の研究室の打ち上げ。
16階建ビルの15階にあるレストランを予約した。
研究室のお金に少し残りがあることが分かり、
急遽会費を値下げする。
3,000円で飲み放題なら悪くはない。

「追い出し」の対象者は、
修士課程を終えて就職するAさんとYさん。
いずれも大学附属のよい学校に決まった。
Yさんは結婚も決まっている。
皆からいろいろお祝いの品が贈られた。
また2月5日に博士学位が決定する(予定の)N君にも、
古写本断簡を記念品に贈呈する。

研究生のRさんが久しぶりに姿を見せた。
専門学校の専任教員になることができたという。
Rさんは韓国人だが、本当によかった。
あとはお嫁さんをもらうだけか。

打ち上げを立食でワイワイやっていたら、
隣のスペースにフランス文学のS教授、
心理学のN教授(前副学長)が入っていらっしゃった。
それだけではなく、
続いて映画学のI名誉教授、
演劇学のT名誉教授、作家のA氏…
文化推進部関係のお歴々ではないか?
VIPのご接待とのこと。
酔っ払っていたので顰蹙を買う。

早めにチェックすることにした。
こういうことを皆自分でやってしまうのが、
人を育てられない原因なのかもしれない。
院生諸君は2次会に行くのだろうが、
私はさっと消えることにする。

急いで帰宅。
メールチェックすると、
T教授から「筋違合方」は
「すじちがいあいかた」と読むのだろうとのご教示が来ていた。
他流の能に囃子方が合わせる時の調整法を
記した伝書ということらしい。
専門家の見解ほど尊いものはない。
T教授は韓国ご出張とか。
皆、それぞれに忙しい。


【本日の一首】一握の砂
かの時に言ひそびれたる大切の言葉は今も胸に残れど

研究成果物の搬入

2008-01-30 | Weblog
10:00に研究成果物が搬入されるので
受け取りのため大学へ。
台車を押して正門に行くと、
すでにS舎のOさんがお見えである。
印刷会社からのトラックも到着していた。

報告書を台車に載せ、
そのまま検収センターに持ち込む。
研究費の不正使用が問題になって以来、
3万円以上の公費支出については
非常に厳しいチェックがかかるのだ。
検収センターのHさんが納入物を確認、
書類を処理してもらい、
そのまま事務所へ上がって手続きをしてしまう。
請書が提出されていなかったため、
Oさんから事務へ直接送ってもらうことにする。
しかし、これで年度内の支払いが保証された。
この研究費の支出書類提出期限は明日なので、
なんとかセーフ。よかった、よかった。

Oさんに出版社保存用として10部をお渡しし、
事務所にも報告用の部数を納入した。
Oさんには大学までわざわざお越しいただいたので、
東京松屋本店の葛菓子も差し上げた。
これは個人的な「気持ち」である。
土曜日には献呈先への発送作業が予定されている。

いったん帰宅して、
成績処理作業を続ける。
600名以上が受講している科目の、
処理が残っている。
締め切りは2月1日厳守だ。
プリントアウトして署名・捺印すればよいところまで、
なんとか作業を進めることができた。

麻布十番のお稽古事は、
今日は適任証試験。
試験官を務めるので、早めに家を出る。
「豆源」からおとぼけ豆を6袋、
箱入りで岡山のKさんに送った。
先日いただいた牡蠣のお返しだ。
ついでに節分の枡豆も買う。
1つK先生に差し上げることにしよう。

18:00に試験開始。
今回の受験者は2名だったが、
いずれも優秀な成績で合格した。

お稽古は歌会始のビデオを見ながら、
中島宝城先生からお話を伺う。
「火」というお題は難しかったようだ。
その後、子ども短歌コンクール表彰式の練習。
私は入試業務で参加できないが、
欠席者の替りに読師をした。
3月にはO社長奉行の歌会が計画されている。
その説明もあったが、残念ながらNY出張で参加できない。
香席と披講を組み合わせた、
とてもユニークな企画になるらしい。

A師匠からお貸ししていた掛軸と短冊を
一括して返却されたので、
これは飲みに行くわけにはいかない。
直帰だなと思ったが、
あまりにお腹が空いたので近くのうどん屋に入る。
ムーミン大学のOさんに付き合ってもらう。

しかし、麻布十番辺はうどんを食べても高いなあ。
「すゞ金」の鰻重の安さは異常である。


【本日の一首】皇后(平成二十年歌会始)
灯火(ひ)を振れば彼方の明かり共に揺れ旅行くひと日夜に入りゆく

*やはり一人だけレベルが違うという感じ。

とびとびの委員会

2008-01-29 | Weblog
N君の博士学位請求論文審査報告のため、
10:05に学位委員会に呼び出されている。
私の前はフランス文学のT教授で、
受理審議の時はK先生だったが、
海外出張のため代理なのだそうだ。
K教授なら長広舌なさるところだが、
T教授の報告は3分で終了、
続いて私が呼び入れられた。

学位委員のお歴々が居並ぶ前で、
N君の論文の内容と審査概要を報告する。
特に質疑はなく、退出を命じられ、
会議室の外で待つこと30秒、
無事承認された旨を事務職員の方に告げられる。
やれやれ、である。
来週の教授会で承認されると、
N君はめでたく「博士(文学)」となるのだ。
お祝いに差し上げる記念品は
既に用意してある。
31日の研究室打ち上げの時に、
前祝いということで渡しちゃうことにしよう。

次の会議は15:30からだ。
教員ロビーの共用PCで成績処理の作業を行う。
合間に「五郎八」で鴨南蛮を食べ、
珈琲とワインを買いに神楽坂へ行く。

15:30からは情報化関連の会議。
教務当局者以外の出席委員はごく僅かだった。
(事務職員の方はたくさん居たけど)
なんじゃこれは。
この問題に関してはトップの考え方が重要だが、
学部長は、まずはご意見をうかがって、とか
頼りないことをおっしやるばかり。
意見も出ないので50分ほどで終了した。


【本日の一首】拾遺集(紀貫之)
思ひかね妹がり行けば冬の夜の川風寒み千鳥鳴くなり

山を越える

2008-01-29 | Weblog
修士論文の口述試験日である。
10:00に開始。
私は主査2本、副査3本を担当する。
1人30分のスケジュールが組まれている。
昔は1時間から1時間半くらいが普通だったが…

J准教授が主査の3本から始める。
主査1人、副査2人で質疑や講評を行う。
そうして評価を決めて行く。
まあ、それぞれ水準はクリアしているし、
中にはたいへんな力作もあった。

だいたい予定通りに進行し、
私が主査の2本も、
副査の先生方によって
非常に実質のある口述試験を行っていただいた。
指導教授としてもホッと胸を撫で下ろす。
点数をまとめて主任に報告、
保存用論文を助手に渡して終了する。

副査をお願いしたK先生を
「すゞ金」にご案内する。
わざわざお出ましいただいたので、
せめて昼食を差し上げる。
鰻重を肝吸い付きで注文し、
その前に肝焼きと熱燗も2本お願いした。
「すゞ金」としては最高のおもてなしだが、
これで2人で5,000円でおつりがくるのだから、
申し訳ないといえば申し訳ないことである。
(鰻屋として「すゞ金」が異常に安いのだ)
故H先生の思い出話をしながら盃を傾ける。

K先生をお見送りし、
研究室に戻る。
それから事務所に採点簿を出しに行った。
今回からweb上で成績を確定し、
プリントアウトしたものに捺印して、
事務所に提出すればよいことになった。
そうしたらサインもしろと言われたので、
捺印だけでいいじゃないかと、
事務職員の方に押し付けてしまった。
(声を荒げてしまったことを後悔する)
これから600名以上の受講者のある科目を
処理しなければならないが、
そんなのいちいちサインしていたらたまらない、
と思ったからである。

そのまま大学を後にし、額縁屋へ行って、
室町時代の写本の断簡を額装してもらった。
今度博士学位を授与される予定のN君に
記念として差し上げるためである。

それを持って大学に戻ると、
事務所のM氏に呼び止められる。
私の提出した採点簿に不備があったよし。
プリントアウトし直して、
今度はちゃんといちいち署名・捺印して
事務所に持って行き、
職員の方に土下座して謝って提出し直した。
やれやれ、何事も指示通りにするものである。

18:00から、学内学会の理事会。
私は事務局担当理事なのである。
N代表理理事の司会進行でさくさくと議事が進んだ。
最後に「その他」で2件、私から提案と報告を行い、
1時20分ほどで議事を終了する。

帰途、途中までM氏とご一緒した。
彼とは修士課程入学の同期だが、
相変わらず濃い御仁である。
『日本文学』の抜刷をもらった。

原武史『昭和天皇』を読了。
中島宝城先生あたりのご感想を
お伺いしてみたい内容である。


【本日の一首】栄花物語(妍子)
皆人の飽かずのみ見るもみぢ葉を誘ひに誘ふ木枯の風

中世王朝物語『苔の衣』の成立に関連して。

学会、研究会のハシゴ

2008-01-26 | Weblog
13:00から本郷の東大で古記録の研究会。
幹事役に就任したので、
当然早めに会場に行かなければならないし、
前幹事から引き継ぎがしたいとの連絡もあったが、
勤務先の教育学部を会場に開かれる
W比較文学会の例会で、
13:30から研究室の院生Aさんが研究発表するので、
そちらに顔を出すため
古記録のほうは遅参をお願いしておいた。

「志乃原」で蕎麦を掻き込んで、会場に行く。
すると、いま北海道で教員をしているH君がいた。
H君とは修士課程入学の同期である。
N先生の演習で机を並べた仲であり、
処女論文も同じ雑誌に載せてもらった。
勅撰三漢詩集が専門の御仁である。
ほんとうに久しぶり。
ずいぶん太ったが、お互い様だ。

Aさんの発表が始まった。
リハーサルを2度行ったし、
K先生のところでも下発表をしたというから、
落ち着いたものである。
質疑にも堂々と応えていた。
専門的なところで
私には到底指導できないような細かい指摘をいただいた。
収穫の大きな研究発表だったな。
H君も、基本的な調査に関して、
非常に重要なアドバイスをしてくれた。
よかった、よかった。

急いで地下鉄で東大に移動しようと、
所属学部近くを通りかかるとと、
門前で幟や日の丸を立て
スピーカーでアジっている一団がある。
なんだ、なんだとガードマンの詰所に行くと、
右翼のデモなのだそうだ。

東大に着いたのは15:30近くになった。
1人目の報告が終わるところだった。
もう1人の報告を聞き、早めに終了。
いつも入る「チムニー」が、
東大の応援団に占領されていたので、
G先生引率で、本郷三丁目の中華のお店に入る。

隣に座ったTさんに、
お香を焚きしめているの?と尋ねられた。
塗香(ずこう)なんですよと答える。
Tさんは仏教儀礼に詳しい方なので、
ご興味があるらしい。
どこで買えるの?と
重ねて尋ねられた。

帰宅すると、荊妻はとっくに帰っていた。
清泉女子大で開かれた表記研究会に行ったら、
O茶大のA氏が来ていたけど、
全然感じが変わっていた、としきりに言う。
A氏とは学会で毎月会うけど、
ボクは気がつかないなあ、
国立大学の先生は大変なんじゃない?
と答えておく。
女の直感、何かあるのかも知れません。


【本日の一首】貞明皇后御歌集
閨の戸の隙漏る風の冷たさに暁起きの耐へがたき頃

塗香

2008-01-25 | Weblog
最近、これはいいなあと思って
使っているのが塗香(ずこう)。
要するに粉末状のお香である。

PCで仕事をする時に、
あらかじめ手首に少し塗っておくと、
ほんのりと香りが立つ。

実に気分がよい。
仕事も大いにはかどる。
騙されたと思って
一度使ってみてください。

手術を受けた家人が抜糸を受けに行った。
最近は糸ではなくて
ホッチキスみたいなもので縫ってあるらしい。
それをどんどん抜いてもらったとのこと。
無事に抜糸できたそうだ。

娘が成人式でいただいたお祝いの
お返しを買いに行くというので、
運転手をさせられる。
本屋に立寄って、藝術新潮の2月号を購入。

源氏物語千年紀の特集で、
三田村雅子さんが源氏物語絵巻について語っている。
私は三田村さんが研究室の助手をなさっていた時に
副手(まあ現在のTAみたいなものですな)として仕えた。
学部生時代には
三田村さんが指導する
源氏物語の研究会にも参加した。
昨年は夫君の三谷邦明さんが逝去されたが、
平安朝文学の研究者を代表する存在として、
ますます大きな輝きを放っていらっしゃる
と思う。

博士課程の試験に落ちて、
副手を退任する時に、
三田村さんからいただいた銀製のネクタイピンは、
今でも時々使ってる。
私の宝物の一つである。


【本日の一首】雪玉集(三条西実隆)
夜を寒み柴焚きすさむ袖の香や思ふともなき名残とむらん

A教授と飲む

2008-01-24 | Weblog
荊妻の御飯茶碗が割れてしまった。
そこで「うつわや釉」に立ち寄り、
茶碗を買うことにする。
女主人は店の前で掃除をしていらっしゃった、
かくかくしかじかで、
御飯茶碗を1つくださいとお願いする。

ここのご主人は本当に変わっている。
お客が連れ立って入ってくるのがいやなのだそうだ。
私が支払いをしていると、
ご婦人二人連れが入ってこようとした。
そうしたら、11:30からですといって、
断ってしまった。

すみません、開店前だったんですね、と謝ったら、
いいんです、知り合いなら、とのお返事。
商売っ気のないお店である。

大学に行く。
その前に「五郎八」できざみ鴨せいろを食す。
事務所に向かい、
明日締め切りの基礎演習の成績を提出する。
ウェッブ上に入力・確定したものを、
プリントアウトし捺印のうえ提出しなければならない。
事務所ではレポート処理のため誰もいない。
仕方ないので事務長に文書をお渡しした。

博士課程の研究指導は、
N氏の研究報告を聴く。
N氏は博士論文を提出し、
もう公開審査会も終わって
現在は学位委員会、教授会での審議を待つ身だが、
公開審査の時にT先生から指摘された問題に、
早速取り組んだ発表をしてくれた。
日々精進、ということである。

修士の演習は、N君が後期の総括的な発表をしてくれた。
鴨長明における数寄の問題。
方丈記、無名抄、発心集を結び付ける、
キーワードということができる。

事務所のMさんにつかまり、
ウェブでの成績処理について説明を受ける。
う~ん、難しいぞ。
思わぬ時間がかかったが、
研究室に戻って、Aさんの学会下発表を聴く。
土曜日が本番。細かな点をチェックする。
続いてNYのシンポジウムの勉強会。
EさんとNさんが資料にもとづく発表をしてくれた。

19:00になったので、
博士課程の諸君と「かわうち」に行く。
英文学のA先生にお声を掛けると、
来てくださるとのこと。
ウチのメンバーには
Sさん、Hさんとアメリカ人が2人いるので
ちょうどいい。

A教授とは昔、よく一緒に飲みに行った。
彼は昼の学部、私は夜の学部の教務主任だったので、
しょっちゅう打ち合わせをしていたのである。
その後断酒なさったので、
久しく酒席をともにしなかったが、
本当に何年かぶりで盃を傾けた次第。

さすがに英文学の教授である。
Hさんに英語で話しかけている。
しかしHさんは日本語で答える。
Hさんは今日も
カバンから篳篥を出して見せてくれた。

答申確定

2008-01-22 | Weblog
10:30から私が委員長を務める委員会。
教授会に対する答申の文面を
最終的に確定する。
これで一件落着だから、
委員長交替を提案したら、
それは次回に協議することとなった。

私は委員長を罷めてヒラ委員となり、
他の人が委員長になって、
新たな検討課題に着手するのがよいと思う。
任期も1年余あることだし。
A教授とかO教授とか、
適任者がたくさんいらっしゃる。
学部長は横で嫌そうな顔をしていたが、
学部長の言いなりになる筋合いはない。

委員会は予定時刻の10分前に終了した。
私の取り得は会議時間が短いことか。
すぐに答申の最終版を作って、
確認のため全委員に送付してもらう。

「五郎八」で「鴨せいろ」を食べ、
「出光美術館」に行く。
「王朝の恋―描かれた伊勢物語」展を観る。
近世のものが中心で、私的にはいまいちだったが。
神楽坂で買い物をして、大学に戻る。
神楽坂の路地に、紅梅の華が咲いていた。

時間潰しに「Cafe Goto」でコーヒーを飲む。
K先生のブログに
「びっくりするほど美味しかった」と書かれていた
「りんごとさつまいものタルト」も注文してしまった。

トイレの扉の脇の
奥まった席に座らされたのだが、
隣がねーちゃんの4人組で、
煙草をすぱすぱ吹かしながら、
きわどい話で盛り上がっている。
うざいことこの上もなし。
昨日「あゆみブックス」で購入した、
澁谷由里の本を2章読んで店を出た。

研究室に戻り、
修士論文2本の講評をまとめる。
そうこうしているうちに
19:20となった。

実は昨日実施した夜学の教場試験を、
勤務の都合で受けられないという学生さんがいて、
今日追試を行うことになっていたのだ。
勤労学生の都合は
最大限尊重しなければならない。
約束より10分早くやってきたので、
早速試験を始める。
さっさと答案を仕上げてくれた、ありがたや。
「ラ・カーブ・イデアル」でもとめた
微発泡のロゼワインをカバンに入れて帰宅する。

途中、澁谷由里『「漢奸」と英雄の満洲』(講談社選書メチエ)を読了。
『馬賊で見る「満洲」』も面白かったが、
今回の本では、張作霖と張学良、張景恵と張紹紀、
王永江と王賢湋、袁金鎧と袁慶清、于冲漢と于静遠という、
5組の親子を軸に満洲の歴史を描いている。

圧巻は于冲漢が関東軍司令官本庄繁に示した
8条件の解説であろう。
また、二世の問題にからめて、
日本人の家系・血筋観を論じているところも面白かった。
中国とのつきあい方をも示唆した、実によい本である。
推奨いたします。

ロゼワインは荊妻と空けてしまった。
あまり美味しくはなかった。


【本日の一首】古今和歌集(紀友則)
君ならで誰にか見せむ梅の花色をも香をも知る人ぞ知る

年明け最初の月曜の授業

2008-01-21 | Weblog
年明け1月8日が授業開始日で、
先週は成人の日のため、
月曜の授業は新年最初となる。
ずいぶん長く間が空いたものだ。
こんなことなら
1月7日から授業開始にすればよかったのに。

出勤のために乗った電車の運転士は、
妙に優しい、たらたらした運転をしていた。
沿線で手を振っている子どもに、
手を振って応えたり…
運転士側の乗客も、皆手を振っていたけど。
都電ならではの情景である。

早めに家を出たので、
授業の前に昼食を摂ることにした。
終点の1つ前で下車し、
いけないと思いつつ「いもや」の暖簾をくぐる。

教育学部の講師控室に到着したのは、
授業の30分前だった。
今日は教員の数が異常に少ない。
学部の授業は今週までのはず。
大学院は2月4日まで授業をしなければいけないのだが。

講師控室の受付は、
一緒に助手をしていた故Kさんの
未亡人が務めていらっしゃる。
故Kさんはロシア文学がご専門で、
仲良しだったが、
残念なことに早く亡くなってしまった。
ご挨拶をしたら、栗饅頭をくださった。
来年度もお世話になります。

N君の向かいに座って話し込んだ。
U先生の1周忌のお参りにいったそうだ。
もう1年になるのか。
先週の現代GP現職研修の評判についても話題にした。
なかなか好評だったようだ。

教育学研究科の講義は、
Aさんに発表をしてもらった。
子どもの死を主題にした和歌の系譜ということでは、
なるほど土左日記というのは特異な存在である。
妻の死を悼むというのは、漢詩の受容だけど。
中世になると、為家が娘の死を悼んで詠んだ秋思歌がある。
秋思歌は土左日記の末裔なのかもしれない。

自分の学部に行き、研究室に荷物を置く。
T教授から修士論文の点数を付けるよう
メールボックスに依頼が入っていた。
博士後期課程の受験者で、
他の研究科出身の受験者は、
修士論文を提出して査読を受けなければならない。
しまった、私のところにも1件あったんだ。
T教授依頼の修士論文を神速で読み、
点数を付けてお返ししておく。

それからオアゾの丸善に赴き、
ウチの研究室の就職する諸君にさしあげる
お祝いの品を選ぶ。
3月はまるまる校務出張なので、
卒業式=学位授与式には出られない。
そこで1月末に研究室の打ち上げを行うが、
その時にお祝いを渡してしまうつもりである。
教員になる諸君への餞は、
去年と同様、質実なものにした。

夜学の講義は教場試験。
60分の試験時間で、
今回はちょっといじわるな問題の作り方をした。
講義の内容をちゃんと聴いていないと書けないような、
やや重箱の隅的な問題をならべてみた。
別にレ、レポートを出させてください!
とかおっしゃる受講生が何人かあったが、
知らないよ、そんなの。

夕食を摂りそびれた。
いくら昼は「いもや」の定食に、
穴子200円也を付けたからといって、
21:00を過ぎれば腹が減る。

帰宅して荊妻に告げたら、
神速で食事を作ってくれた。
茄子の肉炒め、鯖の煮付け(解凍)、
椎茸のバター炒め、ローカロ雑炊、
それと赤ワインをコップ1杯。
おいおい、おかずはみんな茶色いぞ。
文句を言ったら、
「ちりとてちん」のお母さんが作る料理と一緒だと、
妙な言い訳をされました。


【本日の一首】後撰和歌集(藤原兼輔)
人の親の心は闇にあらねども子を思ふ道にまどひぬるかな

大学院の授業は続く

2008-01-17 | Weblog
研究室受付のメールボックス、
K先生の箱に「なんきん豆」、
W先生の箱に用例を調べた一覧をお入れする。
火曜日、蕎麦屋で隣に座ったW先生から、
「生き甲斐」という言葉を詠んだ歌について尋ねられたので、
調べたものである。
古歌では、「生ける甲斐」「生けるしるし」という語句が
それに相当することになる。

博士課程の研究指導は、
1月26日に学会発表するAさんのリハーサル。
ずいぶん短くまとめたものだが、
どこを肉付けすればよいか処理はしやすい。
Aさんは修論を出したばかりで、
その口頭試問前に急遽学会発表してもらうことになった。
学会の会場がウチの大学のため、
誰か会場校から出さなければということで、
やってもらうことになった次第。
研究がほとんど無いに等しいテクストが対象なので、
何をやっても最新の研究成果だ。

修士の演習は、
う~ん、私の頭の中ではうまく話がかみ合わなかったのだが、
まあいいことにした。

17:00からNYの勉強会。
今日は私が発表担当。S君は逃げちゃった。おいおい。
終わって、「塩豆」をつまみに研究室にある日本酒を全部空け、
K助手、Nさん、Eさん、Aさんを引き連れ、「AMA」へ行く。
昨晩はカレーだったので、
サラダと肴のみで白ワインを飲む。

帰宅すると、荊妻はもっと遅かった。
今日は学部長選挙があったよし。
投票した人は選出されなかったとぼやく。
話が長くてくどい御仁が選出されたらしい。
それはお気の毒さまである。
しかし、学部長やりたい人なんかいるのかなあ?
バカじゃないだろうか、と思う。


【本日の一首】万葉集(犬養宿祢岡麿)
御民吾(みたみわれ)生ける験(しるし)あり天地の栄ゆる時にあへらく思へば