受法寺本堂建築誌

伝統木造工法により建築中です

竣工検査

2006年12月14日 | Weblog
ほぼ工事が終わりましたので、上田設計士さん、香長建設、当寺などにより竣工検査が行われました。昨年の8月1日に車庫を利用した現場事務所の設営に始まり、1年5ヶ月を経ています。

工事が本格的に始まってからは、ほぼ2週間に1回のペースで打ち合わせがあり、当方も現場を毎日拝見し、進捗状況を確認していたので、一同に完成した姿に大いに満足していました。

今日は、梅雨時の建具の点検、1年後の点検について話がありました。

工事について検討する際に、堀内世話人会会長が「三方よし」でなければならないと言っていました。

「三方よし」とは、浄土真宗の盛んな地の近江商人の商いの心得で、売り手よし、買い手よし、世間よしと言う意味で、信頼を得ていきました。

売り手について、材を選び手間をかけて造られたので心配する所ですが、買い手である当方は大いに満足しています。

また世間については、環境にやさしく、伝統工法を継承し、地域の文化財産として、後世に永く遺せる本堂を建築できました。

今後、近くは照明器具・建具の調整、火災報知機のテストが残っています。

また、大きな工事では内陣荘厳・山門・塀・庭園整備などがありますが、今ははっきりとした予定はないので、定期的なブログの更新はありません。

何年・何十年かかるか分かりませんが、寺内の整備を続けていきたいと思いますので、今後も宜しくお願いします。

材質

2006年12月14日 | Weblog
本堂工事が進むにつれて改めて驚かされたのは、使われた材木の素晴らしさです。主に県西部産出の年数を重ねた良材が選ばれました。
 
その上に、伝統建築の棟梁や工匠達の身に付けた技術力が充分に発揮されました。山で生きていた木のいのちが、また建物になって生きていくといわれます。大地に根を張って生きていた樹々の息吹きや囁きや、養分の流れや葉の光合成やと、あれこれ思いを巡らせていると、木も人もやはり大自然のいのちの中で生かされているのだと思えてきて感動さえ憶えるのです。

あらゆる人々のいのちの親である阿弥陀さまのまします本堂にふさわしい建材は、木材こそといえるように思います。

建築の準備期に、建築世話人会の協議の中で、費用に関連して鉄骨造りや鉄筋コンクリート造りを躯体とし、集成材や新建材も使うことも検討しました。
 
しかし五百年もの間、門徒の篤い帰依心によって護持されてきた歴史に視点を据え、未来を展望して、材質による耐久性が弱ければ、かえって子孫に残す負担も小さくないという論点に立って、木造を選んだのでした。

「受法寺報 8号」より

※向拝階段板としていましたが、階(きざはし)という名称がありました。

多目的室・厨房・トイレ

2006年12月14日 | Weblog
本堂の後ろには、十四畳ほどの板張りの多目的室を設けました。

初参式や仏前結婚式やお通夜・葬儀の控え室・法事の後のお斎、研修会などに使えます。

また建具を開けると、隣り合う厨房と一室となり広くなります。

トイレは、男子・和式・洋式の水洗トイレです。和式・洋式には、手すりをつけました。

「受法寺報 8号」より

※多目的室は、衆会所(しゅうえしょ)。厨房は、仏飯所(ぶっぱんしょ)と名称変更。

木工事

2006年12月14日 | Weblog
木工事は、本格的な本堂建築の様式に則り、造作されています。

外陣の天井は豪放感のある格(ごう)天井で、照明・空調設備が埋設されています。

内陣は一段と手の込んだ折上(おりあげ)格天井で、仏さまの浄土を現すにふさわしい、気品のある空間です。

「受法寺報 8号」より

左官工事

2006年12月14日 | Weblog
本堂の壁は昔ながらの土佐漆喰塗り。

土壁の芯となるのは竹小舞。職人さんが竹を小さく割り、縦横に編んでいきます。

荒壁・中塗り・漆喰塗りと何度も塗り重ねます。外気の乾湿の変化を肌で感じながら、職人独特の勘を働かせ、七ヵ月もかけて作業を進めました。

土佐漆喰はよく木造建築に調和し、調湿効果があって、有害なガスを放出せず、自然にやさしい材料です。

「受法寺報 8号」より