テキスト主体

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(当然、その他についても、語ったりする)

しのぶサイエンス <物語>シリーズ セカンドシーズン 鬼物語

2013-10-26 11:22:00 | 本、小説、漫画、動画、映画、音楽等


今回は、上の新聞広告の対象である、<物語>シリーズ セカンドシーズン 鬼物語、についてではなく、広告に掲載されている、書き下ろし短編、しのぶサイエンス、について。

サイエンスといっても、話題はアシモフの「われはロボット」(文中では東京創元社版の「わたしはロボット」になってますが、ここでは早川書房版の小尾芙佐氏の名訳に敬意を表して)、などのSF小説から始まっており、忍(しのぶ)とサイエンス?火と水よりも噛み合わないタイトルの印象とは、やや違い、しのぶサイエンスフィクション、という感じです。(まあそれでも、ちぐはぐ感ありありですが)
人形娘で憑喪神(つくもがみ)の斧乃木余接(おののき よつぎ)との会話で進む話ですが、余接の読んだ唯一のSFが「ディアスポラ」であるというのも、捻りが効いてます(恐らくはグレッグ・イーガンのディアスポラでしょうが、同一タイトルの勝谷誠彦の”小説”のほうがGoogleの検索でも先に出ます)。
この前、漫画雑誌に載った「おうぎフォーミュラ」が推理小説に深く傾倒した内容だったのに対し、ラノベ界の第一人者たる西尾維新氏が児戯っぽくSFにもベクトルを振った、とも思えます。
忍のことを「最底辺の都落ち」と揶揄した余接ですが、普段の余接よりもずっとキャラの立った様子(話題を途中で放棄せず結末まで持って行こうとするところなど)は、この憑喪神語りの短編の登場を予感させます。
お話は、支配者たる人類が滅し、残された文明の利器のみが跳梁跋扈することを空想する忍の一人語りで終わるのですが、決めゼリフ、
「―― ぱないの。」(半端ないのぅ)
は、予想通りで、快いのです。

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