テキスト主体

懐中電灯と双眼鏡と写真機を
テキスト主体で語ろうとする
(当然、その他についても、語ったりする)

舞い上がったサル デズモンド・モリス

2013-11-25 23:32:43 | 本、小説、漫画、動画、映画、音楽等
色々と物議を醸した裸のサル(1968)、の著者による、30年後の続編とも云うべき著作で、この本もそれなりに批判、賞賛、話題を呼びました。1996年に新刊で買って、いまだに内容についてよく憶えている、私にとってもそれなりにインパクトのあった本です。例えば、ヒトのオスによる、ヒトのメスのバストへの性向を、直立歩行し、臀部が強調されなくなった事による、臀部への性向の代償行動だと大胆に指摘するあたり、読み手によっては、眉唾に感じるかもしれませんし、アクア説(水棲類人猿説)を簡単な検証で肯定しているあたり、異端とされてもおかしくないのかもしれません。しかし、著者の独特の観察眼と、並でない文章力により、ごく違和感なく読ませ、そのうえ面白く感じさせてくれるのは、素直に認めざるを得ないでしょう。生物学、という硬派な観点では、批判もあるでしょうが、例え、恣意的、こじつけのような論点の進め方であっても、この著者ほど軽やかで辛辣にヒトを論じている人も、他にはあまりないように思います。喩えるなら、軽妙で風刺的な戯曲に登場する三枚目の役柄を、ヒトという種に背負わせて、小粋なオペレッタ、狂言のようにしてしまう、そんな印象です。
もう、17年前の刊行で、既に絶版ですが、図書館、古本屋ではよく見掛けます。
いまさら取り上げたのは、拙ブログのなかで、この本の内容に類似した事柄が、しばしば出てくることに気付いたからです。


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