テキスト主体

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(当然、その他についても、語ったりする)

アームストロング

2012-10-28 22:59:18 | 脱線して底抜け
サッチモことルイ・アームストロング、月に降り立ったニール・アームストロング、のおかげで、耳慣れた姓ですが、今回話題にするのは、ランス・アームストロングというアスリートのこと。
自転車競技、特にロードレースは、非常に人気が高いスポーツの一つで、欧州では日本に於けるマラソンや駅伝以上に、コース周辺を一大イベントの舞台に祭り上げる伝統ある競技です。競技史上最も偉大なエディ・メルクス、スペインの太陽王ミゲル・インデュライン、そして女の子のような細い足で、急坂をグイグイよじ登ったマルコ・パンターニなど、数多くのヒーローがいて、ランス・アームストロングも史上初のツールドフランス7連覇を達成したヒーローとして名を馳せていました。個人的には、パンターニの戦い方、が非常に好きで、彼がジロディイタリア、ツールドフランス、を制した1998年は、ことさらにチェレステ(青空)と呼ばれるビアンキブルーが鮮やかに冴える色に見えたモノでした。

アームストロングの戦い方は、自転車競技では欧州に後塵を拝しているのを一気に挽回するような、スポーツ大国アメリカの純正チームらしい物量作戦に思え、特にショートクランクをとてつもないケイデンス(クランクペダルの回転数)でぶん回すスタイルは、鉄壁のサポートメンバーとともに、欧州ロードレース界を圧倒したものの、面白くない勝ち方でした。また、数多くの山岳でのヒーローを産んだジロディイタリアには注力しなかった姿勢も、コマーシャリズム重視の勝利追究の証左に感じ、彼以前のロードレーサーのヒーロー達とは明確に違う物でした。

先日、そのアームストロングと彼のサポートのチームメンバーのドーピングに対し、7連覇含むほぼ全ての記録剥奪と、自転車競技からの永久追放が報じられました。彼自身、ガンからの奇跡のカムバックを果たしたアスリートとして活躍していたのですが、その影で、数々の強化薬剤、ドーピング検査に対するカウンター薬剤を駆使、チームメイトにも強要することで、競技に勝っていたという裁定です。思えば、時期的に連続するジロを捨て、ツールに絞っていたこと、脚力でなく、心肺能力に支えられたケイデンスなどなど、ドーピングの効果を最も生かすかのようなスタイルだったのかもしれません。

ジロやツールに参加する選手は、一週間くらい前から、カーボンチャージといって普段タンパク質主体のアスリートらしい食事から炭水化物主体(主にパンやパスタ)に変え、筋肉中にグリコーゲンを蓄え、エネルギー源とします。レース中は、高い心肺機能によって豊富な酸素を供給してグリコーゲンをエネルギーに変えていきます、心肺機能や水分補給が充分でないと、エネルギー変換効率が悪くなるだけでなく、分解が不十分で乳酸がたまり、筋肉そのものが疲労していきます。レーサーは練習中はもとより、本番においても、ケイデンスメーターとハートレート(心拍)モニターに留意して、長時間に亘る走行を行います。彼らのドーピングは、エネルギーの製造過程を直接、間接にブーストするため、常識を越えたパワーとスタミナを発揮します。実際、アームストロング以外にもロードレーサーにはドープ疑惑のある人が沢山います。かのパンターニにもその噂や告発はあり、いくつかの再検証や果ては裁判でやっと”無実”となりましたが、そのいざこざが心を蝕み、結局彼は麻薬に溺れるようにして亡くなってしまいました。

古くは、ジョイナーの心疾患による若すぎる死もドーピングの副作用だったと云われていますが、スポーツにからむものが名誉だけでなく、多額のお金が加わることによって、よりドーピング浸食が加速しているかのような風潮を感じます。私の嫌う、拝金主義の影響だとも、思っています。

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1 コメント

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きょうのサザエさんはグー (NSU)
2012-10-29 06:38:23
まけました
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