きょうは第91回メーデーです。今年は1920年に日本で第1回メーデー集会が開かれてから100年の節目にあたります。新型コロナウイルスの感染拡大で中央メーデー集会は中止となり、中央式典がインターネットを通じ全国に配信される異例の形の開催です。
今こそ労働組合の出番
賃金の大幅減で苦しんでいる。解雇・雇い止めにあった。フリーランスで仕事が無くなり生活の見通しがない―。コロナ危機の中で多くの人が苦境に立たされています。医療や交通をはじめ社会・生活インフラを守るため、感染リスクも抱えながら懸命に働いている人が多くいます。世界の労働者の団結と連帯の場・メーデーの意義はいっそう重要になっています。
安倍晋三政権のコロナ対策は後手に回り、国民の命と健康、雇用と営業、暮らしと文化を守る姿勢を欠く政治に、国民から疑念と異論が相次いでいます。集会やデモが困難であっても、ネットを活用した創意ある取り組みでさまざまな活動ができます。対象者を狭く絞った「1世帯30万円給付金」に対し、「直ちに1人一律10万円給付を」の世論が広がり、安倍政権は補正予算案を組み替える前代未聞の事態に追い込まれました。
声を上げてたたかえば道は開けます。引き続き「自粛・休業と補償は一体で」「医療現場への本格的支援を」と政府に迫りましょう。
今こそ組織された力を持つ労働組合の出番です。全労連や連合、多くの労働組合は電話相談を開設するとともに、政府に緊急対策を求めています。日本医労連は必死に奮闘する現場の声を集め、対応を迫る活動を強めています。自交総連は、コロナを口実としたタクシー会社での退職強要を連合労組と共同して撤回させました。首都圏青年ユニオンは、勤務シフトが減少した組合員の賃金を雇用調整助成金の活用で100%保障させました。郵政ユニオンは、非正規社員のコロナ対応は年次有給休暇を基本としていたのを有給の特別休暇に改めさせました。
コロナ危機は「新自由主義」「利潤第一主義」による日本社会のゆがみも浮き彫りにしました。疲弊する保健所や病院からの悲鳴は、医療・社会保障削減がもたらした深刻な弊害によるものです。マスメディアの中にも、「『公務員』を切り捨て続けてきた日本のツケ」などの論評が出始めています。
国民の生活防衛という緊急の課題とともに、「こんな社会でいいのか」という問いかけが各分野で始まっています。政治を身近に思えなかった人たちが、いま政治の役割をひしひしと感じています。
本来なら今年は第101回のメーデーとなるはずでした。10年のブランクには、1936年から45年まで日本軍国主義に禁止を強いられた痛苦の歴史が刻み込まれています。しかし、敗戦後の46年の東京メーデーは50万人の参加で見事によみがえり「民主人民政府の即時樹立」などを決議しました。
よりよい世界の復興へ
今は活動に制約はあっても沈黙を強いられることはありません。知恵と工夫で団結と連帯を強め、「コロナ後の世界をかつてより良い状態に復興する」(グテレス国連事務総長)ため、全力をあげようではありませんか。メーデー100年の歴史を踏まえ、希望の明日へ新たな出発を誓い合いましょう。
きょうメーデー コロナ禍 雇用守れ
― ロイヤル社の退職強要撤回させる
自交総連・目黒自交労組
日本初のメーデーから100年、新型コロナウイルス感染拡大から「雇用・営業を守るメーデー」を掲げた今年、自交総連・目黒自動車交通労働組合は、タクシー会社ロイヤルリムジングループによるコロナ禍を口実とした600人への退職強要を撤回させ、雇用を守ってメーデーを迎えました。
政府が「緊急事態宣言」を出した7日、会社が突然、「事業休止」を発表し、メディアが「全員解雇」と報じました。実態は、「退職合意書」にサインさせ、賃金30日分の解雇予告手当すら支払わず、自主退職に追い込む脱法的なものでした。
11日の会社説明会で組合は、雇用調整助成金やタクシー休車を支援する「期間限定特例休車」を活用して雇用を守れと要求。金子健作社長から「運行継続が総意であれば、そっちの方向に切り替える」との回答を引き出し、出勤闘争を続けて雇用の継続をアピールしました。
日本共産党の宮本徹、高橋千鶴子両衆院議員が10日に国会質問し、赤羽一嘉国交相が「雇用を切ってとか、偽装的なところは感心しない」(国土交通委員会)と答弁。国交省が13日、タクシー事業者に異例の事務連絡を出し、解雇を正当化する同社長発言を「正しくない」と指摘し、会社側は追い詰められました。
24日の団体交渉で金子社長は、退職強要を撤回すると約束。27日、休業補償を実施して雇用を維持し、出された「退職合意書」の撤回にも応じる確認書を組合と締結しました。
「私たちが要求してきた方向にすすんでいます。退職に応じず、一致団結してきた成果です」と話す梶山洋一さん(48)は、たたかいのなかで新たに書記長に就任しました。「休業補償などの計画を労使で協議し、協定を結ぶことがこれからの課題です。コロナ禍を乗り切り、公共交通としてタクシーの役割を果たしていきたい」