@東京・千代田
コロナ禍に仕事を失うなど、生活に困っている人を支援する「年越し大人(おとな)食堂」が3日、東京都千代田区の聖イグナチオ教会で開かれました。新型コロナ災害緊急アクションや反貧困ネットワークなどの複数の団体が主催し、12月30日に続いて2回目の開催。406人が訪れました。来訪者は前回や昨年5月より増加したといいます。
大人食堂では、手作りの弁当や食品の詰め合わせ、生理用品や紙おむつも用意。医療・生活相談も受け付けていました。厳しい寒さにもかかわらず行列は約100メートルにもなっていました。
「カイロももらえて助かるし、ミカンもうれしい」と笑顔で話すのは新宿区から歩いてきた女性(72)。夫が2年前に亡くなってから、昼はデパートで野菜の加工、夜はホテルで清掃のダブルワークをしています。コロナの影響で昨年11月以降、ホテルの仕事はほとんどなくなりました。
「とにかく生活を切り詰めた。一番は光熱費」と声を落とし、「昼の仕事だけで生活できるように国には対策を取ってほしい」と話しました。
両手に食品の袋と幼児用紙おむつ、大きなリュックサックを背負った男性(52)=新宿区=は、失業して1年。「すごくありがたい」と話す男性は妻と1歳半の娘、小学5年生の息子の4人家族です。IT系の会社に勤めていましたが、コロナの影響で倒産。男性は「なんとか自分の力で立ち上がりたい」と話しました。
主催団体の一つ「つくろい東京ファンド」の佐々木大志郎(だいしろう)さんは「中高年の相談者は相変わらず多いが、子ども連れの女性や若者など相談者の若返りが顕著」とコロナ禍の特徴を指摘します。
学生や国会議員、NPO職員らがボランティアに参加しました。
はり灸の支援も
@池袋
路上生活者らの生活全般を支援するNPO法人「TENOHASI(てのはし)」は、新年を迎えた2日も、東京都豊島区の東池袋中央公園で生活・医療相談や寝袋、食料配布、はり・灸(きゅう)などの活動に取り組みました。
寝袋を受け取りにきた女性(77)は「部屋はせまく、自分の布団しかない。誰かを泊めてあげたくても、ふとんがなく、それができなかった」といいます。「年金はわずかな国民年金しかない」といい、「年末年始は、あちこちの炊き出し場所を回って過ごしている」と話しました。
同じく寝袋を求め、訪ねてきた新宿区の男性(74)は「部屋が古く、すきま風がひどい。毛布を3枚掛けても寒い。だから、寝袋が必要」と語ります。年末年始は友人宅に泊めてもらったといい、「もう少しまともな部屋に住みたいが、生活保護を受けている中、それも難しい」と語りました。
はりと灸を受けた江東区の女性(61)は「遺族年金を受けているが、受給金額の関係で生活保護は利用できない。結果として医療費がかかっている。歯が悪く歯医者にかかりたいが、そこまでお金が出せない。制度のはざまで困っている人もいる」と訴えます。はりと灸を受け「手術した手にしびれがあったが、それがかなりおさまった。もっとこういう機会がほしい」と話しました。
はり・灸のボランティアスタッフの男性(72)は「コロナ禍以降は、若い人も医療が受けられず、はり、灸を受けています。以前はなかったことです。制度のはざまにある人をちゃんと守る制度も必要です」と語りました。
1人でも多くに届け
青年ユニオン 労働相談・食料支援
札幌
![]() (写真)相談に応じるメンバーら=12月31日、札幌市 |
働く若者の権利や労働環境を良くしたいと活動する「さっぽろ青年ユニオン」は12月31日夜、「大みそか労働相談+食料支援」を札幌市で開きました。
3年連続の開催。「温まって」とカップ麺を配り、訪れた青年たちとお茶やコーヒーを飲みながら交流しました。
「ツイッターを見て来ました」という介護士は、賃金が低く労働環境も劣悪な現状を話し、斎藤耕弁護士とスタッフが応対しました。
根底にある最低賃金の低さや、ケア労働への待遇改善の必要性を示し、「手当が正当に支払われているかなどを見て、気軽に札幌青年ユニオンを頼ってください」と伝え、ツイッターやLINE(ライン)、ホームページにつなぐQRコードを記載したビラを手渡しました。
「毎年手伝いに来ています」という参加者は「食料支援や子ども食堂は民間の工夫や努力で行われ、政治や行政が『共助』と言って民間任せにするのは間違っている」とぴしゃり。「食べるに困る人たちを生み出さないことが政治や行政の仕事のはずなのに、恥ずかしくないのかと言いたい。必要としている人に1人でも多く情報が届いてほしい」と、取り組みを案内する告知を発信していました。
— しんぶん赤旗より —