今日は潜水艦の『潜』です。
第一印象は、点だらけ、、、
横にして見ると、したたる水滴のようです、、、
しかもその全てに変化をつけて、見るものを飽きさせないどころか、深海に誘っているようにも感じさせます。
深く静かに潜行していくバチスカーフのようです、、、。
全ての点画が、潤沢な墨量によってしたたるように書かれています。
図形的な考察をしやすいように、補助線を赤線で引きました。
少し歪んだ正方形と言えますし、横向きの台形と言えるかもしれません。
大切なのは、『氵』の三画とも直線上にその起筆があるという事です。
そして、『旁』の部分、右肩あがりの規則性は維持。
『氵』の一画目と二画目も同じ角度で上がっているのを見落としてはいけません。
右肩あがりの規則性から外れているのは、二つの左払いと、『氵』の三画目だけです。
四画目の入り方、縦方向から入って変化をつけているように思います。
※書いた後に墨がたれたんじゃないことを願う(^○^)
旁の三画目の左払いは、空いた空間を意識させないように少し太めで長く書いています。
眺めているうちに、象の鼻に見えてきました!
ね!
右側の同じ払いは対照的な冷たい鋭さがあります。
同様にこの旁の上部は、同じ点画なのに、全く違うように書いているのです。
このバランス感覚こそ、一級の書家の証しでもあるのです。
高橋鵞翠は一級以上、特級の書家なのです!
さて、『日』の横幅に悩んでいる方も多いでしょう。
旁だけでも文字としてのバランスをとるためには、土台である『日』はしっかりしていなければ上部が重くてふらつきそうになります。
ここはしっかりとした線と結体で書いていただきたいと思います。
問題は『日』の二画目でしょうか。
ここは必然性を感じるまで書き込む必要がある部分です。
『空間の筆意』を、つまり楷書であっても筆を止めることなく一文字毎に書いていけば、『日』の一画目からの二画目のこの軽く波打つ線は、必然であることが分かるはずです。
そして『日』二画目の転折後の縦画のトメは、縦画線内でしっかりと、斜めにしなりながらとめることが肝要です。
『日』の一画目のトメも同様なトメですが、二画目のトメとは異なる軽いトメです。
そして『日』の三画目と四画目の横画も、似ていますが入角と出角を微妙に違えて書いています。
三画目の角度は、全体の右肩上がりの角度からすれば、異端の急角度ですが、全体のバランスを崩さほどではありません。
目立ちすぎないプローチのようなアクセントの役割りを担っているのです。
赤い羽根のような、目立つ角度で書いたらアウトです(笑)
『潜』全体として、早く書いているところは一箇所もありません。
ゆっくり書いて、滴り感を墨量と意図的な遅筆によって表しています。
特に『日』の直上の横画は、歪めて書かれています。
これは水面から水中を除いた時の、揺らぎにも似た感じに見えてきませんか?
すっごいですねぇ〰
この『潜』だけで、ご飯三杯いけちゃいます!
ご馳走さまでした〰(^∇^)
次回は『心』
これがまた、難関でありますよね〰
お楽しみに〰