Our World in Data 2022年1月21日
南アで発見されたオミクロン株が世界中で猛威をふるっている。しかし、その特徴をよく見ると、一筋の光明が見えてくる。それは、他の変異株と比べて、感染が爆発的に急激拡大するが、そのピークも早く訪れることである。
上のグラフは、南部アフリカ諸国と最も関係が深く、その人的交流からアフリカ以外では最も早く感染が拡大した英国と、その後に感染拡大した主要国の100万人あたりの7日間移動平均感染確認数である。
始めにオミクロン株が発見された南アは、11月中旬から感染爆発し、12月16日前後にピークを迎え、その後は現在に至るまで感染確認数は減少を続けている。
英国は、12月15日前後に感染爆発し、1月7日前後にピークを迎え、南ア同様に減少を続けている。英国に続いてその後に感染が拡がった、アメリカ、カナダ、フランス、イタリア、スペインなどは、12月20日前後に感染爆発し、既にピークを迎えていることが、グラフ上で、直近で線が下降していることから分かる。但し、フランスは、パリを含むイルドフランス地域圏から感染爆発したので、その地域はピーク過ぎている(フランス保健省)が、地方に拡がっているので、グラフ上では、下降線になっていない。
そこから言えることは、感染爆発からピークまでは概ね1か月以内ということである。
12月20日前後に感染拡大した国が、既にピークを過ぎ、減少傾向になったことは、英国、フランス政府がそれまでの行動規制の緩和措置予定を発表したことでも裏付けられる。英国ジョンソン首相は「全国的にピークを過ぎたようだ 」と19日に発言したし、フランスでは、2月2日から段階的に、イベント人数制限、在宅勤務や、屋外でのマスク着用の義務 が撤廃される。
日本では
沖縄の感染確認数 折れ線は7日間移動平均(NHK 2022年1月21日)
ピークまでは概ね1か月以内ということは、米軍基地からオミクロン株が流出した思われる、本土より早く感染拡大した沖縄でも同様である。沖縄では、グラフでは1月1日前後に(正月休みの関係で、実際には年末に感染爆発したものが、正月明けに確認されている)拡大し、1月18日(折れ線グラフ最高到達点)にピークを迎えている。およそ1か月以内でピークを迎えているのである。(但し、今後東京、大阪などの大都市住民が観光で感染流出させた場合は再度感染は拡大する。)このことは、オミクロン株が、その国の行動規制や医療体制その他に関係なく、急激な拡大の後、およそ1月でピークに達し、その後は減少傾向に至るということを示している。
日本では、1月5日前後に全国に爆発的感染拡大が起きたので、上記の仮説でいけば2月上旬にピークを迎えることになる。そして1日の感染確認数は、上記の先に感染爆発した国では、過去の最多確認数の3~5倍になっていることから、日本全体で8月20日の最高値26000人の3~5倍、約8万人から13万人程度になると思われる。なぜなら、コロナウィルスの変異株毎の感染力はどこの国でも大きな違いはないからである。欧米で、オミクロン株がデルタ株の感染力より3~5倍あれば、日本でも同様に3~5倍あるのである。
東京では、「専門家」が1月24日の週で、1万8千人程度になると予測しているが、恐らくその後も上昇し、2月5日頃には、過去最高値約6000人の3~5倍、1万8千人から3万人の上の方の値である3万人に近づくだろう。
コロナウィルスはの感染拡大は、すべての国で何度も波を繰り返す。その波は、その国の生活習慣(人と人との物理的接触習慣やマスクに対する好悪)、ワクチン接種、医療体制、検査体制、行動規制の強弱によって、大きさが異なる。日本を含め、アジア人は、欧米人ほど人人とは物理的に接触しない(親愛の情を示すためのキス、ハグ等のこと)し、マスクに対する嫌悪感も小さい。そのことが、アジアでは、欧米ほどの感染者数を出していないことの要因と思われる。だから、日本では、その数字は欧米の3分の1以下である。しかし、日本のオミクロン株第6波による被害の大きさも、欧米の3分の1以下になるとは限らない。何よりも、日本中ではワクチン3回目接種率が、OECD38ヶ国中最も低い1.5%程度で、50%前後の欧米と同様とは考えられないからである。
日本の第6波は、2月初旬にピークを迎え、その後は減少していくだろう。しかし、その間の人的社会的被害は、甚大なものになる恐れは十二分にあるのである。