- 【社説】終わりのない原発納品不正
- 2013年05月29日10時52分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版] - 原子力安全委員会(原安委)の昨日の発表は衝撃的だ。原子炉に試験結果を偽造した部品が使われたことがまた明らかになった。新古里(シンゴリ)1・2・3・4号機と新月城(シンウォルソン)1・2号機だ。性能成績証明書が偽造された制御ケーブルは原発の安全と直結する部品だ。この部品がきちんと機能しなければ、放射性物質の遮断に問題が発生するという。それだけではない。こうした問題の部品は現在稼働・整備・建設中の原子炉を問わず、すべての原発に使われた。がん細胞が全身に広がるように、問題部品が韓国の原発全体に入っているということだ。
さらに大きな問題は、こうした不良品を堂々と合格させたところが、部品の検証を担当する国内試験機関という点だ。泥棒を捕まえろと命じたところ、自分が窃盗をしたのだ。このため昨年力を注いで準備した納品不正防止策も無用となった。4月に内部の情報提供がなかったとすれば、問題にならず通り過ぎていたはずだ。その場合、どういうことが起きたか想像するだけでもぞっとする。再発防止のために厳重な責任追及がなければならない。大統領も報告を受けた後、「責任の所在を明確にし、こういうことが二度と発生しないように措置を取るべき」と注文したという。
原発偽造部品問題は昨今のことではない。昨年は納品会社から数百-数千万ウォンずつ受けて不正を助けた韓国水力原子力(韓水原)の職員が一斉に捕まった。監査院が昨年末、大々的な監査に行い、古里・霊光(ヨングァン)原発に不良部品1555個が使用されたという監査結果を発表した。原安委は過去10年間に561品目、1万3794個の部品が性能証明書を偽造して納品されたと明らかにした。このように原発の安全性が信じられないため、密陽(ミルヤン)の住民も送電塔の建設に反対するのではないだろうか。
国民の不信感をなくすためにも、23基の原発の部品全数調査から急がなければならない。韓水原が事実上独占している部品の納品・検証体系も、外部専門家が参加する開放型に変える必要がある。また弥縫策で済ませれば国民の反発を招く。いつまで原発の安全、夏・冬の電力難を国民が心配しなければならないのか。 - 中央日報 latest news
- “原発マフィア”業界癒着で暑い夏を過ごす韓国国民(1)
- 2013年05月29日14時16分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版] - 原子力発電所の周辺には“独自のリーグ”がある。原発1基を建設するのにかかる費用と部品は約3兆ウォン(約2720億円)に3000万個。原発が韓国国内電力供給に占める比率も30%にのぼる。したがって電力市場で原発産業の影響力は大きい。参入障壁は高い。しかしひとまず障壁を越えれば安定する。他社の参入が難しいからだ。原発分野の関係者の結束力が非常に強い理由でもある。“原発マフィア”と呼ばれるほどだ。
このため不正が次々と生じる。昨年2月には古里原発1号機が12分間完全停電となったが、幹部はこれを隠した。原発は稼働が停止すれば核燃料を冷却できず危険な状況となる。にもかかわらずこうした事実は1カ月後に暴露され、その後も偽造品質保証書で偽物部品の納品を受けるなど各種不正が明らかになった。昨年7月には韓国水力原子力の役職員22人が納品不正で一斉に拘束された。
年初から主務部処の産業通商資源部と韓国水力原子力が改善に乗り出したが、共生・癒着関係が根絶されるとみる人は多くない。「原発業界に賄賂の食物連鎖が形成されているのではないのか」という質問に対し、原発部品会社の関係者は「それを私の口からどうやって話すのか。よく知っているではないか」と答えた。別の会社の関係者は「自分たちの間でやり取りする関係を遮断するのは難しいだろう」と語った。
28日の原子力安全委員会の発表で問題になったケーブルの納品会社も、国内7カ所の試験機関の1カ所に製品の試験を依頼し、ここがカナダ試験機関のテスト結果に手を加えた。業界関係者は「もし依頼した会社が試験内容を変えてほしいと言ったとすれば、原発業界の風土上、会社から手数料を受け取る試験機関が拒否するのは容易でなかったはず」と吐露した。
- · 原子力専門家は、昨年と今年に出てきた問題はまだ一部にすぎないと話す。徐鈞烈(ソ・ギュンヨル)ソウル大教授(原子核工学)は「こういう問題が発生しても誰も責任を取ろうとしないのがより大きな問題だ」と指摘した。徐教授は「納品する会社の立場では、納期を合わせなければ仕事がなくなるため、偽造・変造の誘惑が伴うしかない」とし「韓国も米国や日本のように電力予備率を30-40%台に高めなければ、より大きな問題が発生するおそれがある」と話した。現在のように電力予備率5-10%レベルでは産業全体が共倒れの悪循環に陥るおそれがあるという説明だ。
今回の事態で、この夏は深刻な電力難が避けられなくなった。現在稼働中の原発2基(新古里2号機、新月城1号機)の稼働が停止したことで、この夏100万キロワットほど余裕があるという当初の予想がむしろ200万キロワットの不足に変わった。これは釜山市が1年間使用する電力の80%にのぼる。真夏には「制限送電」も懸念される。
産業部は再発防止対策として、国内すべての原発の特別点検を発表した。しかし根本的な原因が除去されない限り、解決は容易でないという見方が多い。金均ソプ(キム・ギュンソプ)韓水原社長は中央日報との電話で、「時間がもう少しあれば(共生・癒着関係)問題をきれいに解決する」と述べた。
朴槿恵(パク・クネ)大統領は国務会議で、「原発は国民の安全と直結する非常に重要な問題だが、いくつか事故が発生してきた」とし「確実に原因を究明して責任の所在を明確にする必要がある」と強調した。原発業界の不正・癒着の精算が今回はきちんと進むかどうか注目される。
- · 原子力専門家は、昨年と今年に出てきた問題はまだ一部にすぎないと話す。徐鈞烈(ソ・ギュンヨル)ソウル大教授(原子核工学)は「こういう問題が発生しても誰も責任を取ろうとしないのがより大きな問題だ」と指摘した。徐教授は「納品する会社の立場では、納期を合わせなければ仕事がなくなるため、偽造・変造の誘惑が伴うしかない」とし「韓国も米国や日本のように電力予備率を30-40%台に高めなければ、より大きな問題が発生するおそれがある」と話した。現在のように電力予備率5-10%レベルでは産業全体が共倒れの悪循環に陥るおそれがあるという説明だ。
- 中央日報 latest news
- 【社説】電力非常事態を宣言すべき=韓国
- 2013年05月30日14時38分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版] - この夏は類例のない電力難が避けられなくなった。性能試験成績まで偽造し、不良部品が入った原発の稼働が中断されたからだ。電力供給の30%を占める原発23基のうち10基が停止した。これを受け、この夏の電力供給能力は7700万キロワットに落ち、最大電力需要予想値(7900万キロワット)より200万キロワット不足することになった。最悪のブラックアウト(大規模停電)を防ぐには、輪番停電や制限送電が避けられない。
すでに納品の不正は大きな代価を予告している。原発の稼働が9月まで停止する場合、LNG発電が増えて1兆ウォン(約900億円)以上の追加費用が発生し、このために電気料金が上がれば結局、消費者の負担となる。それでも原発納品不正の被害をなぜ社会全体に負担させるのかと問いただしている場合ではない。目の前の現実になった電力難をどのように乗り越えるかが先だ。
政府はできる限り迅速に原発不良部品を取り替え、現在建設中の火力発電所の竣工日程も操り上げることにした。しかしこの程度では不十分だ。すぐに電力非常事態を宣言しても、電力難を無事に乗り越えられるか疑問だ。政府は対策を総動員し、電力供給能力を最大限に確保するのに力を注がなければならないだろう。外国から発電船を借り、全国の非常発電機をすべて稼働することまで積極的に検討する必要がある。
何よりも重要なのは国民説得による需要の管理だ。今回の事態は人災だが、その後遺症は天災地変を越える。すべての社会が「節電が発電」という危機意識で武装する必要がある。冷房の温度を高め、1960年代のように「一戸一消灯」運動をまた行わなければならない。国内電力の半分以上を使う産業界には電力制限措置の強化が求められる。休暇分散による操業日程の調整も欠かせない。品質に支障が生じない範囲で産業用電力の周波数も最大限に調節する必要がある。これと同時に、政府は今回の事態の徹底的な責任追及と再発の防止を約束しなければならない。これは“電力大乱”の国家的危難克服に全国民の参加を呼びかける前の最小限の礼儀でもある。 - 中央日報 latest news
- “原発マフィア”根絶に向け特別捜査団設置=韓国
- 2013年05月31日11時30分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版] - 検察が原発関連不正の徹底調査に乗り出した。朴槿恵(パク・クネ)大統領が原発事故と関連し、徹底的な原因究明とともに責任の所在確認を指示した2日後だ。このため30日、原子力部品試験成績書偽造事件を捜査中の釜山(プサン)地検東部支庁(支庁長キム・ギドン)に「原発不正捜査団」を設置した。原発不正と関連し、検察に初めて設置された特別捜査タスクフォース(TF)だ。原発不正捜査の経験がある検事7人と捜査官数十人が投入される。今回の問題はもちろん、原発関連の不正を完全になくすということだ。
最高検察庁の関係者は「国民が非常に不安を感じていて、単なる一つの事件の捜査で終えてはならないという判断」とし「少なくとも2、3カ月間ほど捜査を行い、類似の不正をすべて洗い出す」と述べた。
原発不正捜査団は釜山東部支庁の検事5人に、蔚山(ウルサン)地検と光州(クァンジュ)地検から原発関連捜査経験のある検事が1人ずつ派遣されて構成された。ソウル中央地検捜査第1部長を務めたキム・ギドン支庁長が捜査団長となり、チェ・ソンファン刑事第3部長が実務を指揮する計画だ。
釜山地検東部支庁刑事第3部はこの日、原発部品書類偽造事件と関連し、原発制御ケーブル製造会社である忠清南道天安(チョンアン)のJS電線と試験機関である京畿道安山(アンサン)のセハンTEPと役員の自宅など4カ所を家宅捜索した。28日に原子力安全委員会が「新古里(シンゴリ)1-4号機、新月城(シンウォルソン)1・2号機の原発部品性能を評価する試験機関が書類を偽造した」という公式発表をしてから2日後だ。
検察はこの日午前9時、検事と捜査官およそ40人をJS電線とセハンTEPに送り、制御ケーブルの試験成績書偽造関連書類とコンピューターファイル、会計帳簿などを確保した。また検察は韓国水力原子力(韓水原)の関係者を告発代理人の資格で呼んで調べた。
今回の事件は原子力安全委員会のホームページの不正申告コーナーに入った情報提供で始まった。韓水原によると、問題のケーブルは原発事故が発生した際に安全系統に動作信号を伝える装備。原発事故時、高温・高圧という極限状況に耐えられなければならないが、国内には性能を試験できるところがない。ケーブル分野の性能検査を引き受けたセハンTEPはこれをカナダの試験機関に依頼したが、12個のサンプルのうち3個だけが合格したという結果が出た。しかし不合格のサンプルを除いて「3個のサンプルうち2個が検査を通過した」と成績表を偽造したのだ。このように納品された製品が新古里1-4号機と新月城1・2号機に入った。
1カ月前に情報提供を受けた原子力安全委はその間、カナダの試験機関から原本成績表を確保するなど、基礎調査を終えた状態だ。最高検察庁の関係者は「後ほどロビー活動など他の容疑が出てくる可能性があるが、告訴されたもの自体は複雑でない事件」と述べた。捜査団を主導する釜山東部支庁は2011年と昨年、古里原発などの納品不正を捜査し、7人を拘束、起訴している。蔚山地検は昨年、韓水原の職員の金品授受を、光州地検は年初の霊光原発納品不正を捜査した。
捜査団は外国で性能テストを受けた部品のうち、安全系統に入った部品を全数調査する計画だ。今回の新古里・新月城原発に投入されたケーブルと類似の事例を探すためだ。他の原発でも似た事例があったかどうか確認する方針だ。これとともに内幕を知る人からの情報提供が重要だと判断し、通報専用電話(051ー742ー1130)と電子メールアカウント(lawjins21@spo.go.kr)も開設した。
一方、韓水原はこの日、問題になった制御ケーブルを納品したJS電線が新ハンウル(旧新蔚珍)1・2号機用のケーブルも納品する契約をした状態だと明らかにした。この部品は非安全等級37品目で、まだ納品されていないという。
韓水原の関係者は「11日に原子力安全委の報告書を受けて初めて知り、その後、他の部品を確認した結果、特別な異常はないことが確認された」とし「私たちも被害者の立場で告発した事件であるだけに、検察の捜査で早く真実が明らかになることを望む」と述べた。
【社説】不信感を助長する青瓦台・政府の原発メッセージ=韓国
2013年06月01日08時07分[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
朴槿恵(パク・クネ)政権が連日、原発不正に対する根本的な解決を強調している。朴大統領は28日、「二度とこういうことがないよう最善を尽くしてほしい」と述べ、検察が原発不正捜査団を設置して本格的な捜査に入ったのに続き、鄭ホン原(チョン・ホンウォン)首相も昨日、「天人共怒する重大な犯罪」として徹底的な捜査を促した。
この際、原発管理システムを浄化するという政府全体レベルの決起であり、当然のことだ。国民に事故の恐怖を背負わせてはならないからだ。
しかしこの過程で見せたメッセージの混乱は懸念される。青瓦台(チョンワデ、大統領府)の数人の関係者は昨日午前、「監査院が過去の政府の原発不正を監査してもこれを公開しなかった」と述べた。「監査院が入札不正にばかり焦点を合わせた」とも話した。李明博(イ・ミョンバク)政権が不良部品不正を隠したというニュアンスを漂わせた。
すると、午後になって監査院と原子力安全委が「事実無根」と反発した。実際、監査院は昨年末、古里(コリ)輪・霊光(ヨングァン)原発に試験成績書偽造部品1555個が使用されたという監査結果を発表した。原子力安全委も過去10年間に561品目、1万3794個の部品が成績を偽造して納品されたと明らかにした。
青瓦台と監査院・原子力安全委が異なる発言をしたため、結論的にどちらか一方が嘘をついている格好となった。青瓦台が本当の話をしたのなら、監査院・原子力安全委が当時に縮小発表したということだ。逆の場合は、青瓦台が公然と責任転嫁したということだ。波紋が広がると、青瓦台が一歩遅れて「過去の政府の責任ではない」と収拾に乗り出した。
混乱はまだあった。鄭ホン原首相が対国民談話を発表すると述べたが、予定時間の11時間前の30日午後11時に突然キャンセルした。不正清算捜査が先に行われるべきだという青瓦台と総理室の共感のためというのは表面的な理由だ。鄭首相が談話を予告したのが29日で、2日間いかなる話もなかったが、夜中に突然キャンセルした“本当”の理由が気になる。
原子力問題は不安を越えて恐怖を誘発する問題にもなる。実際以上に誇張されて危険性が認識されるからだ。政府のメッセージが慎重でなければならない理由だ。にもかかわらず、むしろ不信感を助長するとはあきてしまう。
この際、原発管理システムを浄化するという政府全体レベルの決起であり、当然のことだ。国民に事故の恐怖を背負わせてはならないからだ。
しかしこの過程で見せたメッセージの混乱は懸念される。青瓦台(チョンワデ、大統領府)の数人の関係者は昨日午前、「監査院が過去の政府の原発不正を監査してもこれを公開しなかった」と述べた。「監査院が入札不正にばかり焦点を合わせた」とも話した。李明博(イ・ミョンバク)政権が不良部品不正を隠したというニュアンスを漂わせた。
すると、午後になって監査院と原子力安全委が「事実無根」と反発した。実際、監査院は昨年末、古里(コリ)輪・霊光(ヨングァン)原発に試験成績書偽造部品1555個が使用されたという監査結果を発表した。原子力安全委も過去10年間に561品目、1万3794個の部品が成績を偽造して納品されたと明らかにした。
青瓦台と監査院・原子力安全委が異なる発言をしたため、結論的にどちらか一方が嘘をついている格好となった。青瓦台が本当の話をしたのなら、監査院・原子力安全委が当時に縮小発表したということだ。逆の場合は、青瓦台が公然と責任転嫁したということだ。波紋が広がると、青瓦台が一歩遅れて「過去の政府の責任ではない」と収拾に乗り出した。
混乱はまだあった。鄭ホン原首相が対国民談話を発表すると述べたが、予定時間の11時間前の30日午後11時に突然キャンセルした。不正清算捜査が先に行われるべきだという青瓦台と総理室の共感のためというのは表面的な理由だ。鄭首相が談話を予告したのが29日で、2日間いかなる話もなかったが、夜中に突然キャンセルした“本当”の理由が気になる。
原子力問題は不安を越えて恐怖を誘発する問題にもなる。実際以上に誇張されて危険性が認識されるからだ。政府のメッセージが慎重でなければならない理由だ。にもかかわらず、むしろ不信感を助長するとはあきてしまう。
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1.韓国は原発を生産・稼働する資格はない。
2.韓国原発を輸入する国は自殺するにも等しい。
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