青リンゴ観察日記

韓国漫画「世紀末青リンゴ学習塾」観察ブログです。
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第二十五話④

2021-07-25 | 第二十五話〜第二十七話

一瞬、何が起こったか分からなかった。

ミエはゆっくりと顔を上げる。

 

目の前に、真剣な顔をしたチョルがいた。

低く、静かな声でこう言った。

「ダメだ」

「何も言うな」

「知らないフリをしろ」

二人の身体が密着する。

ミエの心臓が、まるで一つの生物のように蠢く。

ドクン ドクン

先ほど、スンジョン姉さんから聞いた話を思い出した。

「中三の一年間、問題を起こさずに全校一位になったら、

もう一度あいつの願いを受け入れることになってる。
 
だから静かに勉強ばっかして暮らしてるんだよ」
 
「願い?」
 

「あの子は田舎に戻ろうとしてるんだ」

 

 

スンジョン姉さんの話と、今目の前でチョルが言った言葉が重なった。

この人はその”願い”を叶えるために、じっと息を殺して耐えているのだ・・・。

ドクン ドクン

心臓の音が大きく聞こえる。

再び、スンジョン姉さんの言葉が反響する。

「あの子は田舎に戻ろうとしてるんだ」

 

サアッ

 

 

その言葉で、思い出す風景があった。

「はぁーー・・」

大きなため息をつく、五年前のキム・チョル。

そんな少年チョルを見て、少女ミエはガミガミと声を荒げた。

「ため息つかないで!遊んでくれるって言ったじゃん!」

「はぁぁぁ〜〜〜」

「運動会の時、フォークダンスやったことない?ほら早く手ぇ出して!」

「はい!」

そう言ってミエは手を差し出した。

少年チョルはまごついている。

「何してんの?早く手出してってば!」

早く!と急かすミエ。

やがて観念したように、チョルはしぶしぶミエのそれに手を乗せた。

「お前のせいでありえねーことしてんぞ」

どこまでも続く草原の中で二人は、互いに手を取って向かい合う。

「こうやって手を握って、始まるんだよ〜」

「横に二歩!」

「もう二歩!」

「腰を持ってクルクル〜」
 
 
キャハハ、とミエが笑う。心から楽しそうに。
 
「こんなんナシだろ」 「アリアリ〜」
 
 
小さなカップルは、たどたどしいステップでダンスを踊る。
 
ミエが体を倒した拍子に、ぐらついて倒れそうになる。
 

「もー!ちゃんとつかんでてよ!」

そんな昔の風景を、まるで白昼夢のようにミエは思い出していた。

 

 

そして今、五年ぶりに身体を沿わせた二人はーー・・

 


第二十五話④でした。

おおう・・身長差〜

昔は大して変わらないのに、今のこの身長差いいですね・・!

草原でダンスを踊る少年チョルと少女ミエ、なんと素敵な思い出なのか・・

 

第二十六話①に続きます



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