両手に花、ならぬ前後にイケメン。
後ろにいるキム・チョルは、咄嗟のこととはいえこうなってしまったことに固まっている。
あ・・?
同じく目を丸くして固まっているミエを見て、
じわじわと今の状態がよろしくないことに気がつく。
はっ・・!
ミエもまた気がついた。
目の前にいるのは、またこの人なのだ。
「・・・・?」
あまりにも不自然な表情の二人を前にして、モ・ジンソプは疑問符を浮かべる・・。
<もうちょっと自然にしたら?>
「んー・・」
「またこの組み合わせ?」
そう言われ瞬時にパッと離れるチョルとミエ。
モ・ジンソプは二人を見てこう続ける。
「なんだ・・マジで二人知り合い・・」
「うっわー!転ぶとこだったぁー!二人とも掴んでくれてサンキューッ!」
「あ・・ウン・・」
モ・ジンソプの言葉に被せるように、大声でミエはお礼を言った。
けれどそんな簡単には誤魔化し切れないようだ。
「てかさっき「おいお前!」って叫ばなかった?」
ギクッと固まる二人。なんとか誤魔化し続けようとする。
「誰かこけそうになってたから・・」
なんとも微妙な誤魔化し方に、チョルは口を噤んでただ前を見ていた。
そんなチョルを見て、ミエは挙動不審な動きである。
モ・ジンソプは、ミエの後ろから彼女に向かって手を伸ばす。
「あ」
「何でそんな顔してんの〜?この子ビックリしちゃってるじゃん〜。
「え?いや私は別に・・」
僅かに引っかかる言い方に、チョルの表情は少し曇った。
「・・・・」
「あ、そうだ。この子に話があったんだった!そんじゃ先行くね?」
「あ?何・・」
反射的にそう返したチョルに、モ・ジンソプが振り返る。
ミエも目を丸くしている。
「?」
二人のリアクションを目の前にしたチョルは、あっ、と続く言葉を飲み込んだ。
ミエが身振り手振りでチョルに指示を出す。
「何か用?」と聞くモ・ジンソプに、チョルはそれ以上は口出ししなかった。
「・・いや」
「じゃーね!また会お!」「あっ!あのっ!アンタ・・」
「支えてくれて本当にありがとおーー!瞬発力の勝利ーーっ!」
改めてチョルにお礼を言うミエ。
固まる二人・・。
チョルは返事せず、そのまま背を向けて歩いて行った。
ミエはもう一度モ・ジンソプにもお礼を言う。
ミエは、隣にいるモジンソプに聞いてみた。
「ところで話って何・・」
「あ!!」
「!・・・・」
ミエは結構怒っていたはずなのだが、モ・ジンソプから放たれるオーラに、その意気は萎んだようだった。
「んーいやまぁ・・バタバタで約束したから?そういうこともあるよね!大丈夫だよ!」
「うん、ごめんね」
「ピアス預かってくれて本当にありがとう」「え?今は持ってないよ?家に置いて来た」
「あ、そう?じゃあー・・」
「明日うちのクラスに来て・・」「明日取りに来てよ!」
間髪入れずにそう言われたモ・ジンソプは、一瞬固まってしまった。
え?俺が行くの?
ミエはニコニコと笑っている。
「いつがいい?」
正直、モ・ジンソプの周りにはいつも彼に尽くす女の子で溢れていて、
こんな風に自分からアクションを起こせと言われることは珍しいのだ。
「んー・・ミヨンちゃんポケベルか携帯持ってる?」
「ミヨンちゃん、ごめんけど持って来てくれないかな?ちゃんとお礼は・・」
「あっ!そうだ!私早く行かないと!」
「それじゃ明日ねー!」
さっ
・・・・・
「え・・何あれ・・」
「え・・?ありえなく・・ね・・?」
そう呟くモ・ジンソプの姿を、路地の横でキム・チョルが一人窺っていた。
プッ・・
思わず小さく吹き出すチョル。
ファン・ミエの天然本領発揮に、学校一のイケメンさえも振り回される———・・。
第二十七話①でした。
モ・ジンソプを手玉に取る女、ミエ・・恐ろしい子・・!
気にしてチョルが見守ってるのがいいですね〜〜^^
しかしモジンソプは本当に王様なんですね・・モテる男ってこうなのか・・
第二十七話②に続きます
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