ミエが皆のアイスクリームを選んでいると、スンジョン姉さんが告白した。
「実は、私見たんだよね」「えっ?何を?」
「前に、ゴミ捨て場に二人でいるとこ」
「!!」
忘れもしない3月1日、あの日の夜に、なんとスンジョン姉さんもゴミ捨て場に居たと言うのだ。
「泣いてんの?!」
ミエは、チョルに言われた”約束”のことを思い出していた。
「・・あの日、ゴミ捨て場で俺を見たこと」
「ただ喋らないでほしい・・そうしてくれるか?」
チョルの家で試験勉強をした時、念を押されていたのに。
どうしたらいいのか分からないミエは、ただただ動揺した。
「あ・・それは・・!あ・・あの・・」
スンジョンはそれも折り込み済みのようで、ミエが言葉を選ぶ前にこう言う。
「別に言ったりしないから、アンタも知らないフリしててよ。
「・・どっちにしろ私も親も、大体分かってるからさ」
そしてスンジョン姉さんは、弟のことをゆっくりと話し出した。
「あの子はこれ以上、波風立てるような話は絶対にしない」
「あのことのせいであの子は黙りがちになったし、変なお願いをしても肯くことしかしなくなった。
私が何か言えば、あの子はもっと黙り込んでしまう」
下を向いて、心を殺して、ずっと何かに耐え続けているような弟を見るのは、
姉としては辛い。
スンジョンはそういった思いを、昔からずっと弟に対して感じて来た——。
「小さい頃からチョルは、
前を向きながらそう話すスンジョン姉さんの横顔を、ミエは目を丸くして見ていた。
その真意を、心のアンテナでキャッチしながら。
スンジョンがミエにこう聞いた。
「・・・・」
考え込んで黙り込むミエを、スンジョンは温かな表情で見守っていた。
視線の先に、家族の中に佇むチョルの後ろ姿が見える。
その背中を、ミエは今までとは少し違う気持ちで見つめている——。
「ねぇ、ミエ」
「一つ教えてあげよっか?」 「? はい!」
スンジョンはそう言って、ミエを自分の方に引き寄せた。
こっちこっち おお?
ヒソ・・
スンジョンはチョルの”秘密”を一つ、ミエに打ち明けた。
「呆れたでしょ?早く行こ。アイス食べよう」
少し憂いを含んで見えるその横顔を、ミエは見つめていた。
皆の前に出ると、いつものスンジョン姉さんに戻っていたけれど。
「はーいデザートですよ〜!」「あたしキャンディーバー!」
「・・・」
右側から見たチョルの横顔。目の下の傷が目立つ。
ミエは先ほど打ち明けられた”秘密”を思いながら、彼の横顔をじっと見ていた——・・。
+)おまけ
「あ〜ったく!」
「ちょっとチョル!
スンジョンがチョルに対して怒鳴ったり苛立たせたりするのは、
姉なりの心配の裏返しだったようだ。
もちろんチョルが置いて来たスニーカーの片割れの行方も、スンジョンは知っていた。
「あ、スニーカーはアンタが処分してね?」
いつまでも返せないスニーカーは、ずっとミエの部屋のタンスの上に置いたままだ。
どこか異質なそれはずっと、ミエの心の隅に引っかかっていた———・・。
第二十六話②でした。
みんなでお昼食べた後のデザートとしてコンビニでアイスを買う、っていうの新鮮ですね・・!
韓国ではあるあるなのでしょうか?(店にはデザートが置いてないってことなのか??)
そしてスンジョン姉さん・・!
いつもチョルをイラッとさせてたのは、姉ゆえの愛だったのですね〜〜!
↑こういうのもきっと、姉の愛(笑)
さてスンジョン姉さんが打ち明けた秘密とは・・!?
第二十六話③に続きます
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