北野進の活動日記

志賀原発の廃炉に向けた取り組みや珠洲の情報、ときにはうちの庭の様子も紹介。

鉱物脈法で審査進展するも、課題も次々と 

2020-07-10 | 志賀原発


志賀2号機の新規制基準適合を審査する原子力規制委員会の審査会合が午後1時30分から開催された。
コロナ感染防止対策でテレビ会議システムでの開催である。



こちらは石渡原子力規制委員はじめ原子力規制庁の審査官ら。



こちらは北陸電力の小田土木建築部長ら。

今回の審査会合は、昨年10月25日の審査会合に続いての敷地陸域6本の評価対象断層の活動性を評価するとともに、敷地(海岸部)の3本の断層の活動性もはじめて議論の俎上にあげられた。

前回の審査会合(会議映像や議事録、会議資料はこちらから 私のブログはこちらから)では北電の説明や提出資料に対して石渡委員や規制庁審査官らからかなり厳しいコメントが相次いだ。
あれから約9カ月、さすがに北電も今日の審査会合に向けて準備を重ねたようで、今日の審査会合の最後には石渡委員から次のようなコメントが加えられた。
「鉱物脈法によって新しいデータがいくつか提出された。一部の断層については、鉱物脈法によって破砕帯の最新面を鉱物脈が切っている。あるいは鉱物脈ができて以降動いていないという証拠がいくつか出されてきたというのは大きな進展と評価する。有識者会合の評価書には今後の課題として鉱物脈等の検討が必要と書いたが、御社が一生懸命調査しこの記述が生きてきた。ご努力には敬意を払いたい。」
北電にとっては泣いて喜ぶようなコメントである。

とはいえ、これでゴールが見えてきたかと言えばそんな甘い話ではない。
石渡委員のコメントにあるように「一部の断層について」ようやく証拠が出されてきたということである。
まず、この証拠の妥当性についてはこれから厳密に審査がおこなわれることになる。ようやくスタートである。
北電はこれまでは証拠も出さずに「活断層ではない」と結論だけを主張してきたということだ。

また「一部の断層」以外の断層についてはこれからだということにもなる。評価対象断層は陸域・海岸部合わせて9本が確定しているが、3月13日の審査会合では、規制庁側は海岸部について追加を求め、今日の審査会合では北電も追加する方針を明らかにした。つまり9本+1本(以上?)の断層について、それぞれ活動性を否定する明確な証拠を示さなければならないのである。

今日の審査会合ではいくつかの課題も示されている。
今回新たにオパールCTやフィリプサイトという変質鉱物を用いて評価がなされてるが、これをそのまま適用できるかは「慎重に確認する必要ある」とのコメントもあった。北電はさらにフィールドを広げてのデータ拡充が求められている。
また、顕微鏡で鉱物脈の薄片を観察しているが、今回示されたものの中には不確かなものも含めれていて、別の事例での証明を求められたものもある。
海岸部のK-3断層の評価についても、その論理構成の見直しが求められている。
その他、データの整理や拡充の指摘も相次いだ。

北電がどこまで対応できるか、次回以降の審査会合が注目される。

蛇足だが、北電にとって新規制基準適合審査のゴールは遙か先にあり、いまはまだひとつ目のハードルすら超えていない段階だ。
敷地内断層という最初のハードルを越えられずリタイアする可能性大だが、仮に越えてもこの先、周辺活断層の影響や震源を特定しない地震への耐震、津波の影響、その他自然災害の影響、さらに過酷事故対策やテロ対策などなど、審査項目は多岐に渡る。
いつまでも発電できない原発。
原発からの撤退を決められない北電経営陣。
止まっていても事故のリスクに晒されている住民。
差止め訴訟はこんな泥沼から脱出する重要な手段。
13日(月)は30回目となる差止め訴訟の口頭弁論だ




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1 コメント

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「再稼働へ進展」ではない (北野)
2020-07-11 08:34:15
今朝(7月11日)の北國新聞より
「規制庁の担当者は終了後、石渡氏が『大きな進展』と語ったことに関し『(再稼働の)許可に向かって大きな進展』といったわけではない。データがいっぱい出てきたということだ。』とくぎを刺した。ようやく活動性評価の議論に向けた土台ができたとの認識だ。」
やはり「ようやくスタート」ということだ。
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