
朝日新聞(5月22日)

北國新聞(5月22日)
大飯差止判決については、その内容のすばらしさは言うまでもないが、もう一つ注目すべきは樋口裁判長の迅速な訴訟指揮である。
提訴が2012年11月30日。
結審が2014年3月27日。
約1年4か月のスピード審理である。
志賀の1、2号機の訴訟を振り返ってみたい。
1988年12月 1日 1号機建設差し止め提訴
1994年 8月25日 金沢地裁判決 請求棄却
31日 控訴
1998年 9月 9日 控訴棄却
22日 上告
1999年 8月31日 2号機建設差し止め提訴
2000年12月 1号機差し止め訴訟 上告棄却
2006年 3月24日 金沢地裁勝訴!稼動中の原発に初の差止判決
27日 北電控訴
2009年 3月18日 逆転敗訴 上告
2010年10月28日 最高裁上告棄却
1審、2審は短くて3年、長ければ5年を超える。
現在金沢地裁で係争中の1、2号機差止訴訟も提訴からはや2年になろうとしている。
もちろん裁判は短ければいいというものでもない。
一般論でいえば原告側の主張、立証に十分な時間を確保しなれば、被告は大喜びである。
公平な裁判とは到底言えない。
しかし、意図的に長びかせる事はゆるされない。
この間、何度か報告してきたが、北電の先延ばし戦略は目に余るものがある。
狙いはフクシマの風化、そして稼動の既成事実化である。
私たちの「新規制基準でも原発の安全は確保されない」という主張に対し、被告弁護団は志賀原発について、新基準に基づく安全審査の申請をおこなうまで反論は待ってほしいという。
確かに原発直下の断層問題への対応に追われているのが現状だが、北電の主張通りの訴訟進行になると、1審判決が出るころにはすでに再稼働しているということにもなりかねない。さらにその後も訴訟は控訴審、上告審と続く。
トラブル続きで原発の運転資格も能力もない北陸電力であるが、それでも稼動の実績を積み上げる中で判決を待つという方針に賭けている。
これでは何のための差止訴訟かということになる。
原発は、安全性について議論しても地震だけでなく構造上の問題からテロ対策まで数多くの論点がある。防災体制や必要性、経済性なども論じてるとすぐに5年となる。
今回の判決文を読むと、論点を絞り込みに裁判長の原発観が大きく反映されている。
何よりも危険性を問うべきであり、守られるべきは人の命と暮らしを核にした人格権である。
金沢地裁の裁判長も北電の引き延ばし戦略に乗らない姿勢は示しつつも、どこまで迅速な裁判の実現に向けてリーダーシップを発揮できるかものか、大いに注目される。
原告団としても、引き延ばし戦略に対する抗議の声をさらに強く上げていかなければならない。
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