北野進の活動日記

志賀原発の廃炉に向けた取り組みや珠洲の情報、ときにはうちの庭の様子も紹介。

志賀町で講演会&ポスティング&街宣行動

2019-11-17 | 志賀原発廃炉訴訟



志賀原発を廃炉に!訴訟原告団は志賀町勤労協との共催で11月16日、志賀文化ホールで「志賀原発を廃炉に!講演会 『福島で起こったことは石川でも起こる』-フクシマ取材の現場から-」を開催した。
講師は東京新聞「こちら特報部」記者の榊原崇仁さん。
2013年までは中日新聞北陸本社で県政を担当し、署名入りの志賀原発関係の記事をバンバン書いていたので、北陸中日新聞の購読者にとっては見覚えのある名前かもしればい。



会場は地元志賀町はじめ近隣市町、金沢方面からも多くの人が参加し満席で椅子を追加で並べる。



2011年3月11日の東電福島第一原発事故から8年8か月。
原発の中でも汚染水問題はじめ課題は山積し、いまだに原子力緊急事態宣言発令中、収束の目途は全く立っていない。
同時に原発の外、被災地で暮らしてきた人たちのその後、あるは被災地の環境についても、なお厳しい状況が続いている。
講演では立地町の大熊町や5キロ圏の浪江町、30~45キロ圏の飯館村、さらに50キロ圏の福島市や大玉村、100キロ圏の宮城県大崎村の「被災地の今」を、まさに記者の足でこまめに歩き回っているからこその視点で解説。能登の地図にも当てはめ、参加者のイメージを膨らませていく。
次に今に至る経過をつぶさにふり返っていく。なんと理不尽なことが繰り返されてきたのかと、あらためて記憶がよみがえる。
国が自ら定めた除染の目標値を達成できないにもかかわらず除染を打ち切り、一方で避難者への支援策の打ち切りが続いている。
事故で故郷を追われ、住めなくなった住宅を解体した人も多い。ところが更地となった宅地の固定資産税の減額特例はまもなく廃止される。
除染を進めるための除染土の再利用も進められようとしている。
除染土の再利用は、今後のさらある拡大を警戒していかなければならない。

続いて榊原さんがもっとも力を入れて解明に取り組んでいる被ばく調査の実態を中心に「福島で何が起きていたのか」を解説していく。
事故直後から深刻な甲状腺被ばくが懸念されたにもかかわらず国や福島県は十分な調査を行わなかった。放射性ヨウ素の半減期は8日間で今さら測定することもできない。被ばくの隠ぺいで甲状腺がんを発症した人たちは泣き寝入りを強いられている。当時の責任者は黙して語らず、残されていない記録も多く、責任の所在、真相の究明の道はまだまだ険しい。
緊急時被ばく医療の責任主体は都道府県。
仮に志賀原発で事故が起きた場合、石川県は国の隠ぺいの動きを拒否して県民の立場に立った健康調査ができるのか。
何かにつけて国に追随する原子力行政を見るにつけ「福島で起きたことは石川でも起こる」と懸念せざるを得ない。



午後は石川県平和運動センターの皆さんを中心に「さよなら!志賀原発ネットワーク」の協力を得て、志賀町内へのちらしのポスティング。



そして、それぞれ原告でもある社民党議員団の皆さんの協力を得て志賀町内で街宣行動も展開する。
マイクを握るのは地元志賀町出身の盛本芳久県議。



お隣羽咋市の浅野俊二市議。



30キロ圏内に入る七尾市出身の山本由起子金沢市議。



50キロ圏に入る内灘町の清水文雄町議。



それぞれ、午前中の榊原さんの講演も踏まえ、志賀原発の一日も早い廃炉を訴え、差止め訴訟への支援も呼びかける。
以前と比べると車中から手を振ってくれる人も増えたように感じる。
ポスティングで町内を回った人からも、好意的な対応が増えたとの感想も聞く。
志賀原発が停止してすでに8年と8か月。今後さらに2年間は確実に動かず、その後の再稼働の目途も、もちろん立っていない。志賀町民にとって「停止中の志賀原発」が日常の風景になり、脱原発を求める私たちの運動への抵抗感や拒絶反応も低下してきたように感じる。
だけど決して「止まっているから大丈夫」ではない。
停止中のいまも使用済み核燃料を大量に保管した志賀原発には大きな危険があることを忘れてはならない。
「もう動かないだろう」と思いたいのはわかるが、北電も、そして安倍政権も再稼働を決してあきらめてはいない。
原発の「危険地元」は立地町にとどまらない。福島の教訓を踏まえればいまでも100キロ先でも影響が残っており、広く危機意識を共有していかなければならないが、それでもやはり立地町の危険性が格段に高いことも間違いない。

福島では、事故前の東電は地域との共生、地元との共存共栄を語ってきたが、事故後は被災者を切り捨てる対応が続いている。
醜いほどの手のひら返しである。
”北電は違う”
”石川県は違う”
という保証はどこにもない。
ぜひ一歩でも、半歩でも、廃炉へ踏み出す新しい動きが志賀町からも生まれることを期待したい。






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