要するに主人公の信介は大学に行くために筑豊から上京するが(多分早稲田大学だった。こちらは日本一の田舎大学、山口大学だからこのへんは全く環境が違うが…)将来何にをすればいいか?を探しに大学に来た、と話す。「そんなことはとっくに決めて大学に入った」という連中から甘ちゃんとからかわれる。
実は私も全く同じで○○を勉強する、とか△△先生がいるからとか、かくかく仕事をするためにとかは全くなかった。「将来自分は何をして生きるのか」を探すためだけに家族、親類、縁者が誰れひとりいない山口に行った。小説を貸してくれた先輩にもしょっちゅう「甘い」とご高説を聞かされていた。しかし、田舎の炭鉱町の坊ちゃんだった信介が社会の中に直球で踏み入っていく様といろんな人間にぶつかってはどんどん自分を発見していくプロセスは、ど田舎にあっても共感し、筑豊、田川、飯塚、などの土地は廃坑の悲哀と相俟ってどこか甘ずっぱい香りもする。
日田彦山線で二時間揺られ、元炭鉱従業員の社宅跡などが残る東峰村(元は宝珠山村)をキャリーバッゲをコロコロ引っ張りながら歩いていると町の歴史を詳しく知りたくなった。現東峰村の「信介さん」はやはり故郷を出て人生や社会を学ぼうとしているのだろうか?かつての信介さんたちは今、東京や大阪の大都市に暮らし、何をおもっているのだろうか?
役場の信介さん?小林IT室長らがやろうとされているITによる地域活性化の動きを知ったらどんな反応があるだろうか?
疑問の答を求めて取材してみるときっと意外な答が出ると思う。その映像を村民で見合うカフエや映像館、映像祭があってもいいとおもう。
その東峰村を出て早や5時間、今夜の最終地島根県松江市まであと1時間半のようだ…。
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