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岸本晃の住民プロデューサーNEWS

「お前はただの現在に過ぎない」村木さんのこと

  テレビの世界の大先輩が亡くなり、昨夜お通夜にうかがった。元TBSのディレクターでテレビマンユニオンの元社長でもあった村木良彦さんだ。テレビの世界では相当な有名人なので詳細はHPなどに譲るが、私自身は東京メトロポリタンテレビ(MXテレビ)ができた頃ゼネラルプロデューサーとしてビデオジャーナリストを中心にしたテレビ報道、制作をするというのを聞いて、非常に関心を持っていた人だ。ちょうどこちらが民放を退職し住民ディレクターを発想していた頃だった。日本のテレビの曙時代の第2世代で様々なチャレンジをされた人なのだが、私自身系列も違ったので(こちらは日本テレビ系列)詳しくは知らなかった。

 お会いするのはひょんなことだった。平成10年頃か?当時NHK放送文化研究所にいたKさんが熊本でテレビ局を集めたフォーラムを開くとき、村木さんに「岸本という変な男がいるから会ってきなさい」といわれたからということで訪ねてきた。私自身はその頃話には聞いていたが直接会ったことがなかったので不思議な感じがしていた。するとKさんによると私が熊本市内のケーブルテレビでやり始めていた「住民の住民による住民のためのテレビ」を謳った「使えるテレビ」をどこかでご覧になったということだった。まだ熊本だけの2時間番組で平成8年6月にスタートはしたが、ほとんど私一人でしゃべっていたり、山江村の松本さんと二人でのんびり農家ハウスで話しているぐらいの番組だった。

 正直言って驚いた。あの番組を見て何らかのメッセージを受け止めていただいたことがわかって。まだ誰も相手にしてくれていない番組だったし、ケーブルテレビに聞いてもいったい何人が見ているのかわからない番組だった。私は10人ぐらいは見ているだろうと毎月大雑把だが丁寧な番組制作をしていた。

 フォーラムに来られたときに初めてお会いしたが、ニコニコしてこちらの話をじっと聞いてくださる紳士然とした印象だった。同じ場でTBSの看板ニュース番組の今をときめくデスクも来ておられたが、こちらはやっぱりテレビ局の人間だった。私がフリーで地域起こしの番組をやっていると話しても全く響くところがないようで、田舎に接点はない人だった。会場でもスターのように扱われるのがうれしそうで人の話なんぞはほとんど耳に入ってない。対照的な「大先輩」と「流行の人」だった。

 その後、いろんな場で私を大事にしてくださった村木さんは私が東京に行くと、もう一人の変なじいさん石井清司さんと3人で飲むことも多かった。今思えば、やはり酒はいけなかったのだなあ。5,6年前から自重されていたが、チビリチビリとやっておられた。表情はやはりニコニコ顔だった。直接言われたことはなかったが、あるとき他者を介して一言いわれたことがあった。「住民ディレクターはいいんだが、まだ番組ができてない。」という意味のことだった。私はそのときはもう少ししたら村木さんにも見ていただく住民発のすごい番組のオンパレードをお見せしようと黙っていた。

 「そろそろ今年から始まるなあ」、と考えていた矢先だった。新聞で訃報を知った。村木さんは数十年前に同じTBSのディレクター今野勉さんらと「お前はただの現在に過ぎない」とセンセーショナルなメッセージを投げられたのだがこの意味は深い。村木さんと直接話し合ったことはないが、今、住民ディレクターが全国でやっていることと相当な部分でオーバーラップしているはずだ。今年だった、私の見通しでは。この意味を解くのが・・・。

 「お前はただの現在に過ぎない」とう意味を考える2008年の住民ディレクター活動になりそうなときの村木さんの訃報だった。
(写真は産経新聞より)
 

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