帰還・作者プラトーノフ~短編小説
夫は久しぶりで帰還した。(戦時中か。留守中にセミョーンという男が親切に子どもたちにプレゼントしている、と夫は小耳にはさんだ。それは下心があるからだと思う夫)
「あの人、立派な心なのかもしれない。だから、ああなんだわ」と妻。
「ばかだな、おまえは。わるいけどな。打算なしには何事もありゃしないよ」
「でも、セミョーンは、しじゅう子どもたちに何かしら持ってきてくれたのよ。でも、当人はあたしたちに何も求めないのよ」
「・・・・・・・」夫は、疑いの目を向ける。
「でも、あの人に言わせると、他人のことを心配していると、気持ちが楽になるし、そうすれば死んだ家族のことを、ひどく悲しまなくていいんだって。会ってみれば、あなたが思っているのと違うわ」
「くだらんたわごとだ。おれをごまかそうとするな」と夫は言った。
「あの人はもう2度と家に来ない。これ以上来ないように、あたし言うから・・・」
↑この小説を読んで感動した私は備忘録に記した。
人の親切には「下心や見返りを期待する偽善が隠されている」
だが、人に親切にするだけで下心のない人も稀にいる。
それこそピュアな愛なのだろうと思う・・・
2016年の春に~
M,Y