銀の鈴社(1600円+税)
東京の読書家の友人から本が届いた。クリスマスのプレゼントかと思いながら本を開いた。
難しいことばがなく胸にしみる短文の「流れ星」という詩集だった。著者は、たかはしけいこさん。
「流れ星」という詩は、修学旅行の船の上で流れ星を見て、何を願ったのか。願ったところへ、今歩いてきているのか、と自問している。
「ツグミ」という詩では
「わたしはツグミ わたしのことばがとどく人にだけ歌をうたおう
その歌が 垂れこめた雲を越え 青空にひろがるように
ことばが手で払われ 羽をむしいとられ かなしい歌を ひとりで うたわないために
わたしのことばを だきしめてくれる人にだけ 歌を うたおう」と書く。
詩人は詩を書くわけだが技術的に専門化してくると現代詩は難しいという声もある。
しかし、この本の詩は平易なことばで読む側を安心させる。
ことばと事態が不誠実な現代だからこそ著者の童女のような高い精神性は尊い。
著者の5册目の詩集だが、いずれも全国学校図書館協議会選定などに選ばれている。
小学校高学年以上対象。あるいは無垢な心の子ども時代を思い出すためにも大人にこそ読んでほしい詩集である。
絵は織茂恭子さん。巧みに描く絵よりも稚拙をふくんだ表現が素敵だ、詩人たかはしけいこさんのことばと絵が響き合ってる。
歌の上手い歌手の「得意になってる」歌をわたしは聴きたくない。謙虚に素朴に歌をうたう詩人のことばこそ、私の胸にしみてくる。