yoosanよしなしごとを綴る

つれづれなるままにパソコンに向かいて旅日記・斜読・よしなしごとを綴る

奈良を歩く18 奈良駅・南都銀行・猿沢池

2021年11月17日 | 旅行

日本の旅・奈良の旅>  奈良を歩く18 2019.3 国鉄奈良駅 竜田揚げ 南都銀行 猿沢池

 かんぽの宿奈良は天然温泉である。温泉で、平城宮をたっぷり歩いた足をほぐす。
 部屋に戻り、湯上がりのビールを傾けながら、右の朱雀門(写真)、左の大極殿、中ほどの南門復元工事の仮設を眺め、平城宮の大きさを実感する。役所機能を併せ持っていたとはいえ、宮城は過剰に広い。藤原京から平城京、短気の遷都を挟んで平安京へと建物ごとそっくり移すのだから、労力、資金の負担は計り知れない。何がそうさせるのか?、想像を超える。

 夕食は2泊とも和食会席にした。初日は、食前酒、蛍烏賊沖漬けなどの前菜、鮪・鯛・海老などのお造り、新じゃが・蕗などの煮物、牛肉陶板焼き、鯛と筍の蒸し鍋、天麩羅、ご飯、赤出汁、プリンをいただく。奈良には銘酒が多いらしい。一番人気の三諸杉(みむろすぎ)を味わう。さわやかな口当たりである。二番手に奈良らしい名前の春鹿を味わう。さっぱりした喉ごしである。
 2泊目の会席料理も流れは同じだが、豚角煮、伊佐木塩焼き、牛すき焼き鍋、酢の物などと初日とは異なった味わいが工夫してある。お酒は豊祝をいただいた。名前がいい。口当たりもいい。仕上げに初日にいただいた三諸杉をもう一度味わった。
  二日ともよく歩き、見どころを満喫し、さわやかな味わいのお酒でぐっすり休んだ。
                               
 2日目は、午前に法隆寺、中宮寺、午後に興福寺中金堂、東金堂を重点に歩く計画である。
 大和西大寺駅まで歩き、近鉄奈良線で近鉄奈良駅に向かう。近鉄奈良駅とJR奈良駅は直線で1kmほどだから歩ける距離だが、体力を温存しバスでJR奈良駅に向かった。
 昨日はJR奈良駅西口から平城宮行きのバスに乗ったので気づかなかったが、東口は新しいデザインになっていた(写真)。
 50年前、夜行列車でたどり着いたときの国鉄奈良駅は和洋折衷の近代的なデザインだったと記憶しているが、時代の流れで再開発されたようだ。昭和の記憶がまた一つ消えた、と思いながら駅前をぐるりと見渡した。
 なんと駅前広場の北側に記憶の国鉄奈良駅舎が堂々と構えているではないか(写真)。屋根に寺院風の相輪を乗せた和風の趣きと、縦長窓にタイル張りの洋風の趣きを折衷した近代的デザインで、1934年に完成した。再開発に伴い、2004年に元の場所から18mほど曳き家し、2009年から観光案内所として活用しているそうだ。
 かつてのコンコースを眺めていると(写真、朱塗りの柱・梁は改修後のデザイン)、50年前、U君と故人になってしまったY君と、この駅舎から奈良の旅の第一歩を踏み出した懐かしい記憶がよみがえってきた。
 歴史の痕跡を残してくれた熱意+努力に敬意を表したい。
 旧国鉄奈良駅舎は古都の玄関口らしさを表そうとした意気込みを感じる。対して再開発された奈良駅舎は軽やかな明るい印象を受ける。古都奈良にはこだわっていないようだ。土地に刻まれた痕跡に縛られない自由を目指したのであろう。

 JR奈良駅から法隆寺駅までは11分ほどである。50年前の記憶にこだわる間もなく9:30過ぎに法隆寺駅に着いた。法隆寺駅で降りる人は少ない。駅から法隆寺まで直線で1.5kmほどなので、参拝客、観光客はバスを利用するのであろう。
 法隆寺駅から15分少々歩き、法隆寺参道に着く。2008年2月はレンタカーを町営駐車場に止め、インフォメーションセンターをのぞいたあと法隆寺に向かった。今回はインフォメーションセンターでボランティアの方に見学ガイドをお願いした。(法隆寺、中宮寺参拝は奈良を歩く1~奈良を歩く4 を参照)

 中宮寺参拝を終えたのが12:30ごろだから3時間も歩いたことになる。参道の途中の食事処松本楼に入り、休憩をかねてランチにした。
 名物竜田揚げ定食と大書きされていたので、定食を頼んだ。学校給食で竜田揚げを食べた記憶がある。大人になってからもどこかで食べたが、料理法に関心が無かったから記憶に残っていない。
 なぜ名物か気になるので店員に聞いた。・・具材の臭みを消すためあらかじめ醤油、味醂などに漬け込み、片栗粉をまぶして揚げる料理で、揚げると赤褐色の色合いになるので奈良県を流れる竜田川の紅葉にちなんで竜田揚げと呼ばれた。から揚げは具材に下味を付けず揚げるので空揚げと呼ばれたが、いまは鶏のから揚げが唐揚げとして一般になったらしい・・。
 諸説があろうしいまは調理法も融合しているから竜田揚げと唐揚げの明確な差はなさそうだが、奈良では竜田揚げを名物として町おこしに寄与しているようだ。
 竜田揚げ定食には柿の葉寿司が付いていた。柿の葉寿司は奈良の名物である。竜田揚げとあわせ、名物をおいしくいただいた。お陰で足の疲れが癒やされた。

 ランチのあと、参道と国道25号線の角の法隆寺前バス停から最初に来たJR奈良駅前行きに乗った。JR奈良駅前から三条通りを東に歩く。三条通りの途中に興福寺、突き当たりの若草山麓に春日大社、手前北に東大寺などの古都奈良を代表する神社、仏閣が集まっているため観光客も多くなり、賑わっている(写真)。広々とした歩道も整備され、歩きやすい。

 左手に大正モダンの建物を見つける(写真)。イオニア式オーダーを乗せた円柱を4本並べ石段を上って入るデザインは、いかにも銀行らしい重厚感を表している。1926年に完成したば南都銀行本店で、登録有形文化財に登録されている。
 設計は、日本の建築を主導した旧帝国大学工科大学学長辰野金吾(1854-1919)に薫陶を受けた長野宇平治(1867-1937)である。日本銀行本店を始め、各地の日本銀行支店を手がけた銀行のエキスパートである。広々とした行内はリニューアルされているようで、大正ロマンの面影はない。営業中なので早々に出る。

 少し先、右手に猿沢池があり、人々が憩いを楽しんでいる(写真)。周囲360mの小さな池だが、興福寺五重塔、池の周りの柳、夜空の月を水面に映す景観が素晴らしいことから奈良八景に選ばれている。
 興福寺では生物を慈しみ生き物を野に放す宗教儀式があり、749年に魚などを放す人工池が掘られたそうだ。人工の池のため流入する川も流出する流れもないのに水量が変わらない、などの七不思議が伝えられている。一周し、興福寺に向かう。 (2021.11)

コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 安部龍太郎著「平城京」 | トップ | 奈良を歩く19 興福寺1 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

旅行」カテゴリの最新記事