米国内戦の兆候、再論

FXは相場だからありとあらゆる要素を考慮する必要がある。しかし、最大の要因は米ドルの行方であることは間違いない。ということで、再度米国内戦の話題である。
　
前回、お騒がせした「アメリカ内戦の兆候」の記事については、あとで補足をしたように、すぐに戦争勃発ということでもないのであるが、従来の米国の政治の流れの中で、州の主権を再確認するというのは、やはり注目すべき現象である。で、それをブログで「内戦への兆候」と書いたのには、ちょっとした伏線があった。今回はそれを説明しよう。
　
ご存じの方も多いかもしれないが、ネットで有名なジョン・タイターの未来予言というものがある。これは2036年からタイムトラベルしてきたと称するジョン・タイターという人物が2000年の年末に米国のネットに現れ、2036年までに起こることをいろいろと書き残して2年後に未来に帰っていったというものである。日本語によるまとめサイトもあるし、米国では、ジョン・タイターのファンのサイトもある。彼の語録をまとめた本も出版されているし、その日本語訳本(『未来人ジョン・タイターの大予言』マックス）もある。
　
で、それによると、米国関係で、おおよそ次のようなことが予言（実際は、タイターには過去のことということになるが）されている。（日本語訳のページ数をつける）
　
1　2005年から不安定化した米国では、2008年までに内戦は全国民の身近に迫っている(186ページ）
2　内戦は農夫を指導者とした市民軍と、都市を基盤とした政府軍との間で行われる(169ページ、185ページ）
3　内戦の直接のきっかけは、政府がある種の陰謀に荷担していたことが暴露されることによる（169ページ）
4　内戦は領地の奪い合いではなく、秩序と権利をめぐるものである。政府側は、人々は自由よりも安全を求めると踏んでいたが間違いであった（185ページ）
5　アメリカの内戦により西側諸国は不安定になり、2015年に、ロシアが、米国の市民軍を支援し、政府軍を攻撃するため、米国の複数の都市に核攻撃を行う。米国政府軍はそれに反撃してロシアに核攻撃を行う。中国と欧州は米国に荷担し、ロシアから核攻撃を受けて被害を受ける。(19ページ）
6　台湾・韓国・日本は2015年に中国に強制併合される。（119ページ）
7　以上の第三次世界大戦で30億人が死亡するが短期間で終わり、米国では政府軍がロシアの攻撃で壊滅するため、市民軍が勝利し、新しい米国が生まれる。2036年当時、首都はネブラスカ州のオマハにある。（20ぺージ）

後半になればなるほどとてもあり得ないと思う形になるが、前半部分は、非常に現在の状況に似ているのに驚くであろう（この予言は2000年から2001年のまだサブプライム危機などまったくなかったころに書かれたことに留意されたい。）

私は、いろいろな観点（デジタルカメラやテレビについての予言が甘すぎる、等）から、このタイターなる人物が未来から来たとはまったく信じていないが、将来を見通す社会史・歴史的観点にある種の能力を持っていた人ではなかったかと思う。米国の現状が悪い方向に進むとこうなるんだよ、というような見方を提示できたのではないか。ちなみに、タイターの頭にあった都市と地方との対立というのは、1990年代に問題になっていた、ブランチ・ダヴィディアン事件のようなものであったらしい。
　
ということで、都市と地方との対立が、自由と秩序を求めたものから発生し、政府の陰謀の暴露（9.11の真相の暴露？）によって決定的段階に至って内戦になるというようなシナリオがつい頭に浮かんだので、前回のエントリーの標題となったわけである。先に示したタイターのファンサイトでは、当然、この内戦の予言が注目されている。
　
アメリカの政治的な不安定化は今後よりひどくなるだろう。そのひとつの最悪シナリオがここに描かれていると言えば、ひとつの未来図と言えるのではないかと思うのである。前にロシアの研究者による米国分裂の予測をブログで紹介したが、これも似たような系統のものであった。「アメリカの不安定化」が今後10年程度の世界の大問題になることだけは間違いないだろう。
　
なお、現在、オバマ大統領が6月末で、銃火器の販売に極めて重い規制をかけようとしていることに対して、各州から大きな反発が起きていることを付言しておく。