昨晩のNYのNVIDIA株の上昇には誰もが驚いただろう。超大型株がまるで仕手株のように一晩で15%以上の上昇を見せたからだ。なぜここまでNVIDIAが強いか。意外にその本質が知られていないと思うので自分の考えを書いてみよう。
今の生成AIはトランスフォーマーと言われる深層学習モデルによっているが、これはニューラルネットワークで、並列に行列演算を行うところが肝心なところで、これにNVIDIAなどのGPU(グラフィック演算ユニット)が適している。しかも、現在のところ、ハードと周辺ソフトウェア(CUDAと言われる)の組み合わせで、NVIDIAのGPUのH100が最高で唯一の性能を持っている。H100がゴールドラッシュのシャベルだと言われるわけである。しかし、他にもGoogleのTPUなど、似た半導体はあるし、多く開発も進んでいる。なぜNVIDIAだけがこんなに注目されるのか?
これにはAIの開発動向を知らなくてはならない。AI開発の頂点にいるOpenAIからのリーク情報的なものを見ていくと、AGI(汎用人工知能)の実現が数年後に迫っていることが容易に推測できる。現在のGPT-4でも普通の人間より十分に頭がいいが、ある目的を与えて連続してプログラミングをさせると、方向を間違えて行き詰まったり、幻覚を起こして間違えたりすることが多々ある。これを修正して、論理的・数学的・世界把握的能力を向上させれば、ある目標にむかって長時間の思考をこなすことができるようになる。これが当面のAGIの目標である。
このAGIが実現する場合、次のようなことが考えられる。
1 これを実現できる組織は、OpenAI(+マイクロソフト)、Google、METAなど世界でいくつもない。
2 実現した場合、ある種危険なものなので、その会社の中で監視しながら動作させ、世界中の人はそれにアクセスする形となる
3 作成(事前学習)・修正には、膨大なGPUが必要で、また、それを世界からアクセスさせるためにもまた膨大なGPUが必要
4 当面のAGIの実現はそんなに遠くないため、今使える技術をすぐに適用する必要があり、ハード的にはNVIDIAで用意するしかない
ここから得られる結論は、数年後に必要になってくるAGIの中央サーバー(マザーコンピュータ)は、NVIDIAのGPUを持ち、世界からアクセスされる通信機構を持つ巨大なものである。またCPUも今のインテルのx86ではなく、NVIDIAのG200のようなARM系のものにしたほうが消費電力などで優位性がある。すでに報道された1000兆円の半導体投資の話がサムアルトマンやソフトバンクの孫などから出ているのはこのためである。なぜソフトバンクがからむかと言えば、ARMとの関係があるものと推測している。
以上のような世界を前提とすれば、半導体投資が盛んなことは当たり前であり、世界の大変革前夜なのだから、まだ「バブル」などと言える状態ではないこともすぐわかる。為替も含めて、今後の世界を把握するには、この状況をしっかりと認知する必要がある。
通貨についても大きな問題がある。AGIが浸透してくると、普通の人は仕事がだんだんとなくなってくると考えられるので、ベーシックインカムが必須になるはずだ。世界的にベーシックインカムを平等に実現するためには、暗号通貨を電子的に配布するしかない。それを目指しているのが、OpenAIのサムアルトマンのもう一つの事業である暗号通貨のワールドコインである。1ワールドコインは現在1000円程度であるが、自分は買っている。現在は海外取引所で買うか、虹彩情報を提供して、月に6ワールドコインのエアドロップ(無料配布)をうける必要がある。この月2回の配布が将来のベーシックインカムである。現在でも虹彩情報さえ提供すれば、6000円が完全にただでもらえる。(もちろん、ビットコインのように、将来、数万倍に値上がりする可能性も排除できない。)
AGIが(部分的にでも)実現する社会が比較的近い、これをパラメータとして取り入れておかないと、すべての投資についての見通しが正しくないことになる。以上が、私の考えである。いろいろな方からのご意見をお待ちする。
なお、その後に続くのが、汎用AIロボットの世界であるが、これについては、またの機会に書きたい。こちらも(部分的)実現は迫っている(すでにGoogleから予告が出ている)。
(補足)虹彩情報をワールドコインに提供することについては、個人情報流失の観点から慎重に対応すべきことであることはもちろんである。取引所での購入は問題ないが、エアドロップ受領については、慎重に個々でお考えいただきたい。