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B.HERRMANN, A.NEWMAN / The Egyptian(Score)

2005年09月29日 23時02分12秒 | サウンドトラック
 6月にレビュウしたバーナード・ハーマンとアルフレッド・ニューマンの共作という珍作「エジプト人」の最新スコア盤。とはいっても、どうやらスコアを散逸してしまっているらしく、ジョン・モーガンという人が再現したスコアをストロンパーグ指揮モスクワ交響楽団の演奏で収録しています。Naxos系のサントラといえば以前はマルコポーロという傍系レーベルから出ていたワケですが、最近はすっかりNaxosの1シリーズとして定着したようで、こうしたレアな作品を数百円で購入できるのはうれしい限りです。

 さて、この作品、前記のとおり音楽そのものというより、どちらかといえば珍作という価値でサントラはCD化されたされたのだと思いますが、ほぼ時を同じくしてこうしたスコア盤まで出るということは、この作品、音楽的な価値もかなり認められたということなんでしょうか。まぁ、ハーマンの主要作品については、あらかた再録終わってきたという事情も無視できませんが、ともあれ元ソースの収録が55年だっただけに、こうした最新デジタル録音で本作品がもう一度楽しめるというのは、もうそれだけで私のようなサントラ・マニアにはたまらないことではあります。

 もっとも音質的には、NaxosですからあんまりHiFi感のようなものはありません。非常に穏健で中庸なこのレーベルらしい音で、ニューマンのパートはともかくとして、ハーマンのパートについては、もう少し金管がブリリアントに炸裂して欲しい、フォルテではガツンと音圧を感じさせてもらいたいなどと感じないでもないですが、高SN、今時なホール・トーンと相まって、当時は演奏会でとりあげるには異形過ぎたに違いないこの音楽がなんとも格調高い演奏会用音楽の如く聴こえてくるのは、録音以上に時の流れによるリスナーと演奏者の音楽的なキャパシティが圧倒的に拡大という現象もあるんでしょうが。

 あと、このスコア盤で改めて「エジプト人」の音楽を聴いて感じたことは、「いずれにせよニューマンの曲はハーマンの強烈なアクを前にいささか損をしている格好だ」と前回書かざるを得なかったニューマンのパートが思いの外、味わい深いものがあったこと。ニューマンは自分のパートでこの作品の「愛の主題」らしきモチーフを様々な形で循環させていますが、エピックらしいエキゾチックさをたたえつつ、時に意外なほどモダンなオーケストレーションでヴァリエーションを形成しているあたり、その巧緻さに舌を巻くといった感じでした。 
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