うまがスラムダンクの続き

うまがスラムダンクを勝手にアレンジ。
スラムダンクの続きを書かせていただいています。

#99 【人物名鑑】

2010-12-13 | #00 ご挨拶&目次
関東大学バスケットボール新人トーナメント編


■深沢体育大学(関東1部1位)

■名稜大学(関東1部2位)

■神奈川体育大学(関東1部3位)

■法光大学(関東1部4位)

■白金学院大学(関東1部5位)

■慶徳義塾大学(関東1部7位)

■拓緑大学(関東2部2位)

■横浜学芸大学(関東2部4位)

#00 【神奈川 国体編 目次】

2010-12-13 | #00 ご挨拶&目次
▲ 大学 新人戦編 目次

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#398 【メンバー選考会議】

#399 【合同練習初日】

#400 【チーム分け】

#401 【紅白戦開始】

#402 【3年生の実力】

#403 【2年生の実力】

#404 【清田×桜木】

#405 【湘北メンバー】

#406 【常盤中メンバー】

#407 【清田兄弟】

#408 【国体開幕】

#409 【準決勝第1試合】

#410 【愛知×神奈川】

#411 【俺に回せ】

#412 【懸念材料】

#413 【チーム力で勝つ】

#414 【第2Q開始】

#415 【森重強し】

#416 【チーム2年】

#417 【森重を止めろ】

#418 【秘密兵器】

#419 【秀吉の弱点】

#420 【強者愛知】

#421 【海南清田】

#422 【攻防激戦】

#423 【ライバルに笑う】

#424 【残り時間】

#425 【追い上げ開始】

#426 【プレス危うし】

#427 【神奈川の作戦】

#428 【F桜木】

#429 【視野】

#430 【リバウンド争い】

#431 【繋ぐ】

#432 【絶体絶命の危機】

#433 【衝撃的】

#397 【打倒深体大】

2010-12-11 | #12 大学 新人戦編
決勝戦、試合残り時間は、30秒を切った。


ゴール下では、鍛えられた3つの体が競り合っている。


赤木のシュートに、前後から畳み掛ける徳永と河田。


深体大、世代最強クラスの2人が赤木に襲い掛かる。



「ウホォォォーーー!!ウホッ!!!!」



「打たせるもんかよ!!」



「赤木!ジエンドだーー!!!」



「負けーーん!!」



『バス!!』



『ザシュ!!!』



赤木の力強いゴール下のシュートが決まった。



そして。



『ピィーーーー!!!』



「青!#9!プッシングーーー!!!」




「バスカーーーン!!!」

「ファウルは河田だーーーー!!!」

「赤木が河田から、バスカンを奪ったーーーー!!!」

「いいぞ!!赤木ーーー!!!」

「ゴール下では力強い!!!」




「うぉぉーーー!!!」


再び雄たけびをあげる赤木。



「赤木!!見事だぜ!!!」


諸星が詰め寄る。


「ナイッシュ!赤木!!!」

「いいぞ!!」

藤真、真下、野辺らも赤木のプレーを大いに称えた。



「うぉぉぉーーー!!」



なおも叫ぶ赤木。



(俺は河田にも負けてはおらん!!!)



今までに感じたことのない興奮状態にいた。



「赤木のやつ。」

と河田。

「わりー。今のは俺のファウルだよな。審判、どこ見てんだか。」

「構わねぇよ。決められたのには、変わらねぇからな。」

「まぁ、そうだな。」



(俺は、インサイドなら河田にも負けておらんのだ!!!
もっと技術を磨いて、やつの、河田の全てを超える!!!!)

赤木は拳を握り締め、河田を睨んだ。



「いつでも相手してやる。うはっ!」


「いつまでもいい気にはさせんぞ!」



だが。



『ガンッ!』



「あっ・・・。」



「なに、やってんだよ!!決めろ!バカ!!」

ワンスローを外した赤木。


リバウンドは、C辻が奪い、深津がゆっくりとボールを運ぶ。



そして。



『シュパ!!』



先ほどのお返しとばかりに、河田が赤木を抜いて、ゴールを決めた。



「うし!!」にかっ。

力瘤を見せ付ける河田。


(あのやろう。)


『プルプルプルプル。』

怒りを抑える赤木。




決勝戦ラストプレー。



『スパ。』


諸星が、深体大ディフェンスを切り裂いた。



「どうだ!このやろう!!見たか!!深体大!!」


無駄に吼える諸星。



エンドラインから深津にボールが入ったところで、試合が終了した。



「醜いぞ。諸星。」

と赤木。

「さぁ、整列だ。」

と藤真。


「なっ!!赤木てめーー!てめーだって、吼えていただろう!!!」



「諸星、今も昔も変わらねぇな。うはっ!」

「いじられキャラは昔からピョン。」

「ぐっ、河田、深津・・・。」



「諸星君は、口を開かなければ男前なのにね。」

「そうだな。話すとバカそのものだ。」

「なっ、牧瀬!徳永!!」



『ガツッ!』


「ぬ!」

「整列だ。ばかもん。」


赤木は、諸星の頭を掴み、強引に整列させた。




「スコアどおり、青!深沢体育大学!!!!」




審判が、深体大の優勝を宣言した。




「優勝おめでとうーーー!!」

「両チームともよかったぞーーー!!!」

「深体大おめでとう!!!!」

「慶徳もよくやったぞーー!!」




「この点差で、よくやったか。」

と三井。

「ちっ、まだまだ練習が足りないっすね。」

宮城が答える。

「この新人戦、深体大の凄さを骨身まで感じたな。」

「決勝戦で、14点差・・・。」

「難攻不落の深体大。あと2年のうちに、打ち崩すことができるか・・・。」


花形を初め、慶徳に14点差をつけ、圧勝ともいうべき勝利で、優勝を飾った深体大に、
どの選手も自信を失う。


だが、それを打ち消すような言葉が発せられた。



「2年後、うちが深体大の首をもらう。」



「!!!」


「!!!」


声の方向に振り返る各選手。



「やはり、お前か、牧。わりーが、深体大の首はうちがもらうぜ。なぁ、仙道。」

三井は、仙道に問いかけた。



ビックリしたような眼で、牧を見る仙道。



しばし、沈黙が流れた後。



「ええ。」

柔らかに答えた。



「ふっ、楽しみになったな。」

と牧が笑った。


「いや、深津や藤真、牧でもねぇ。No.1PGはこの宮城リョータだ!ねぇ、新庄のダンナ!」

「宮城、それをいうならスタメンPGを奪ってからにしろ!!
悪いが、白金にも、横学にも、河田を止められる選手はいない。
河田を止められるのは、俺だけだ!」


「柔よく剛を制す。河田を止めるのは、俺だ。」

答えたのは、花形。


「深津さんは、俺が止めます。」

「徳永は、俺が。」

両サイドの織田、大和も花形に続いた。



「では、2年後、全日本大学バスケットボール選手権大会の決勝の舞台でお会いしましょう。」



神がその場を締める。



「ふん!相変わらず生意気なやつだ。」

と三井。


「全日本大学バスケットボール選手権大会、楽しみだな。」

と新庄。


「2年後といわず、来年でもいいけどな。」

と大和。




「これより、表彰式を行います。」

と体育館にアナウンスが流れる。




「おっ!表彰式が始まるぞ!」


「牧さん。」

「あぁ。」



「仙道、帰って練習だ。」

「ふーーー。」



「さぁ、俺たちもだ。」

「あぁ。」



「ダンナ、俺たちも負けてられねぇぜ。」

「まずは、スタメンを奪え。他の大学のことは、それからだ。」

「ダンナは、そればっかりだな。」

「期待してるんだよ、お前に。」

「そうなんすか。」

「松本!余計なこというな!」

「ふっ。」




アナウンスの声を合図に、選手たちは、各方面へと歩みを進めた。



再び、熱い火花を散らす日を信じて。




第50回 関東大学バスケットボール新人戦


優勝 深沢体育大学


準優勝 慶徳義塾大学


第3位 名稜大学


第4位 白金学院大学



最優秀選手 河田 雅史



得点ランキング
1 河田雅史(深体大) 30.9
2 諸星 大(慶徳義塾大) 27.3 
3 市原朝日(名稜大) 27.2 


アシストランキング
1 深津一成(深体大) 13.1 
2 藤真健司(慶徳義塾大) 12.8 
3 仙道 彰(横学大) 12.0 


リバウンドランキング
1 赤木剛憲(慶徳義塾大) 14.5 
2 河田雅史(深体大) 14.2 
3 里中悠介(名稜大) 14.0 


ベスト5
G 深津一成(深体大)
G 諸星 大(慶徳義塾大)
F 河田雅史(深体大)
F 里中悠介(名稜大)
C 赤木剛憲(慶徳義塾大)







#12 大学 新人戦編 終了
#13 神奈川 国体編 に続く。

#396 【河田を超えろ】

2010-12-09 | #12 大学 新人戦編
新人戦決勝が行われている。


組み合わせは、深沢体育大学×慶徳義塾大学となっていた。



準決勝第1試合、優勝候補に名を挙げられたライバル大学名稜大を16点差の圧勝劇で下し、
堂々の決勝進出を果たした深体大。



準決勝第2試合、壮絶なシーソーゲームを制し、ラスト3分で脅威の底力を見せ、
6点差で白金学院を破り、初めて決勝戦に進出した慶徳義塾。



現在、試合終了まで、1分を過ぎ、深体大応援団は、カウントダウンを始めていた。




「50秒!!!」




ボールは、MVP確実の河田がキープしている。


対峙するのは、C赤木。



(河田・・・。)


「随分、成長したな。」にっ。


「・・・。」

睨みをきかす赤木。



「だが、それはインサイドだけの話だ。」


「!!!」



『ダム!』


3Pラインのわずか内。



サイドにワンドリをすると、鮮やかなジャンプシュートを放つ。



そのスピードに赤木はついていけない。



『シュパ!!』




「うぉぉぉーーー!!いいぞ!河田!!!!」

「ナーーーイッシュ!!!」




「ぐっ。」

拳を握り締める赤木。



この試合、河田はアウトサイド主体でオフェンスを展開。


ジャンプシュートから、確実にネットを揺らしていた。



『パン!』


「赤木、まだ諦めんな!!」

尻を叩くのは、藤真。


「当たり前だ!!」


(くそう。河田!)

悔しさを表に出す赤木。



ボールは、素早く藤真に投げ入れられた。


『ダム!』


ハーフラインを越えたところで、深津が並走する。



「簡単に抜かせないピョン。」



『チッ!』



深津の指先が、わずかにボールに触れた。



「!!!」




「ナイススティール!!」

「深津!!ナイスディフェンス!!」

「残り40秒!!!」




体勢を崩しながらも、まだ藤真がボールをキープしていた。


「藤真!こっちだ!!」



『ビィ!!』


ボールは、諸星へ。


その諸星をマークするのは、SF徳永。

高校3年生時、選抜準決勝以来の対戦である。


身長はもちろん、体格で優位に立つ徳永、そして、スピードにおいても、諸星と同等の力をつけていた。

慶徳義塾が、思うように得点を奪えないでいたのは、この徳永が諸星を抑えていた功績が大きい。



『キュ!!』


「そう何度も止められてたまるかよ!!」


「何度でも止めちゃうよ!」にや。



『キュッ!!!』


『ダッダム!!』


『ダムダムッ!!』



「!!!」


(ぬ!!)



「もらったーー!!」


諸星は、徳永をかろうじて抜き去った。


瞬発力では、わずかに諸星。


深体大インサイドを切り裂くように、ゴールを狙った。



「黒星!こい!!」


河田が笑いながら、諸星のコースに入った。



「諸星だっつってんだろ!!」



『ダン!』



凄まじい跳躍を見せる諸星。



「ビッグスターーシューーーート!!」



「面白い!」にかっ。



河田も諸星目掛けて跳んだ。



「なんてな。かかったな。河田ーー!!」にやっ。



『シュ!』



諸星は、一瞬にしてボールを背中に送り、バックビハインドパスを放った。



「赤木!!受け取れ!!」



「甘いぜ!!白星!!」



『バチ!!』


「!!!!」


「!!!」


「なっにーー!!」



河田の右手がボールを止めた。




「うわぁぁーーー!!さすが河田!!!」

「あのパスを止めやがった!!!」

「すげーーー!!!」

「ゴール下の守護神だーーー!!!」




「まだだ。」

「ボールは生きている。」

牧と仙道がつぶやく。




弾かれたボールを、慶徳のSF真下が拾い上げる。


『バッ!!』



「打たせませんよ。真下君。」

目の前には、深体大SG牧瀬。


真下は、背筋を伸ばし、藤真に眼をやる。



(リターンパスですか。)


その瞬間。



『クル!』



「!!!」


「!!!!」




「巧い!!!」

「絶妙!!!」




真下は、牧瀬の予想の逆を突き、鋭い回転から抜き去ると再び深体大ゴールを狙った。




「あぁいうところ、ついてくるんですよね、真下さんは。」

と神がつぶやく。

「試合終盤、真下にようやられおったからな。」にこ。

土屋が答える。

「それをいわれるとつらいですね。」

「真下とお前、よう似てるで。嫌なところをついてくるところとかな。」にこ。

「んっ、褒め言葉と受け取っておきます。」にこり。




『キュッ!』


「まだまだ!!」


インサイドの要、河田が真下の前に。


慶徳義塾のオフェンスを幾度となく、止めにかかる。



「・・・。」



『ビィ!!』



だが、真下は、河田との距離を冷静に測り、ゴール下にボールを供給。



「!!!」



『パン!!』



ボールを受け取ったのは、もちろん、この男。




「赤木いけーーーー!!!」

「決めろーーーー!!!」




「うぉぉーーーー!!!!」



だが。



「打たせるもんかよ!!!」



後ろから徳永が、ブロックに跳んで来た。



そして、前からは河田が立ちふさがる。



(決めてやるぞ!ゴール下では、誰にも負けん!!!)



「ウホォォォーーー!!ウホッ!!!」


「!!!!」


「!!!」


「!!!」








続く。

#395 【決勝戦の行方】

2010-12-06 | #12 大学 新人戦編
『ダムダム!』



『キュッ!』



『キュ!』



『パシ!』



『ダム!』




「ディーフェンス!ディーフェンス!ディーフェンス!」

「オッオッオフェンス!オッオッオフェンス!オッオッオフェンス!」

「ディーフェンス!ディーフェンス!ディーフェンス!」

「オッオッオフェンス!オッオッオフェンス!オッオッオフェンス!」




東京代々木第二体育館に、埋め尽くされた観客席。


そして、両大学を応援する大応援団。


全ての人の視線が、体育館の中央に位置する28m×15mのバスケットコートに注がれていた。



本日は、第50回 関東大学バスケットボール新人戦の決勝戦当日。


午前中に、第3位決定戦が行われ、現在、午後2時過ぎ。


決勝戦の第4Qを迎えていた。


一般観衆、応援団とは、雰囲気の違う一団が、腰をかける観客席があった。



真剣な眼差し。


そこには、決勝の舞台に辿り着けなかった各大学の選手らが座っていた。




『ザシュ!!』



「ぶし!!!」




「ナーイシュ!カワタ!ナーイシュ!カ・ワ・タ!」




河田が、力瘤を見せ、チームメイト、応援団を盛り上げる。


アシストを決めた深津がクールに手をあげる。




観客席の最後方。


「河田をどう見る?」

ある男が仙道に問いかけた。


「・・・。コート、いやこの体育館にあの人を超えられる人はいない。
間違いなく、河田さんがこの世代のNo.1でしょうね。」

「あぁ、そうだな。そして、深津。その河田の力を余すことなく、発揮させるゲームメイクと・・・、これだ。」




『パシ!!』




「スティーーーール!!」

「さすが深津!いいぞ!!」




「一瞬の隙もないディフェンス能力。」




『シュパ!!』




「きっ決めやがった!!」

「速攻からのジャンプシュート!!」


「ナーイシュ!フカツ!ナーイシュ!フ・カ・ツ!」




「シュートの安定性。」

「トータルバランスを考えると、紛れもなく深津さんが、現No.1PG。」

と仙道。

「そうなるかもしれないな。」

苦笑いする男。




『バチィン!!』


リバウンドをむしり取る深体大#24の選手。




「控えCにしては、いいプレーヤーですね。」

と織田。


「辻・・・。」

横学大のC品川が、名前をつぶやいた。

「あの#24、知ってるのか?」

横学大SG三井が問う。


「岡山県代表桃倉工業出身の辻崇。
高校当時は、決していい選手とは呼べなかったが、深体大に入学し、化けたようだ。」

「唐沢監督という名指導者、そして、河田を初めとする最高峰のプレーヤーが相手、化けても不思議はない。」

拓緑大SF大和が付け足す。

「体格を活かしたリバウンドと、あの高身長。深体大はまたひとつ高見に上ったな。」

と同じく拓緑大PF花形。




深体大はこの日、1年生SGの加藤をシックスマンに使い、スタートには、206cmのC辻崇を投入していた。




試合終了まで残り3分。



まもなくして、新人戦優勝大学が決定する。




「保のパワードライブは、さらにキレが増した。
どんな練習したら、あぁなるのか、全く恐れ入るな、深体大。」

と元チームメイトの神体大PF新庄。

「牧瀬さんの3Pは威力絶大。シックスマン加藤さんの得点力も脅威。この深体大に穴はない。」

と拓緑大PG織田。



「正しく最強のチームだな。」

三井が締めた。




だが。



コート上で、鼓舞する#14の選手。



『パンパン!!』


「いくぞ!まだいけるぞ!!!」


それに応える各選手。


「おう!!」

「あぁ、やってやるぜ!!」



パスを回し、フリーマンを探す。



トップから45°、45°からインサイド。



再び、45°へリターンパス。



シュートフェイクでディフェンスを引き寄せると、ノールックでトップへ。



(任せたぜ。)

と#15。



(外してもかまわん。リバウンドは絶対に俺が獲る!!)

と#20のインサイドプレーヤー。



(このパスは、必ず決める。)



『シュ!!』



綺麗な放物線を描いたボールが、会場の視線を集める。



『パサ!』



伸びる左腕。



仲間の想いに応えるように、鮮やかにネットを揺らすシュートを決めた。



電光掲示板の数字が変わる。


60

61

62

63 



「よし!!」

強く拳を握り、叫ぶ。


「もう1本!!引き続き、オールコートだーー!!!」

「おう!!」

「あぁ!!」



「最後まで俺たちの力を出し切るぞ!!」


「おう!!!」




その光景を見つめる観客席の一番後ろの男がつぶやいた。




「藤真・・・。ナイスシュート。」

「さすが、藤真さん。いいところで決めてきますね。」

「あぁ。あいつは、俺が認めた唯一無二のPGだ。」にこ。



そこには、準決勝、慶徳義塾に敗れた白金学院の牧の姿があった。








続く。

#394 【激戦終止符】

2010-12-04 | #12 大学 新人戦編
白金 80
慶徳 83




第4Qも3分が経過。


出口の見えないトンネルを通っている。



『ダム!』


トップでボールをつくのは、粕谷。


野辺をゴール下から引きずり出し、牧に変わりゲームを作る。



その牧は、ローポスト。


インサイドにいた。



第4Q、藤真とのミスマッチを利用し、1本のシュート、1本のアシストを記録している。




「あのやろーが、PGをすることにより、野辺を引きずり出し、牧にスペースを与えている。
一石二鳥じゃねぇか!」

と宮城。

「でも、俺たちとの試合では、あんな素振りを一つも見せなかったぜ。」

と三井。

「白金に甘く見られていたんじゃないか。」

「いや、仙道が相手じゃ、牧がインサイドにいるメリットもなかったということだ。」

新庄に答えた大和。


「この粕谷のPGも苦肉の策ではないでしょうか。
点に繋げやすいポジションが、牧さんのインサイドだけという考えもできます。」

分析する織田。

「それほど、慶徳のディフェンス、藤真さんのディフェンスが白金や牧さんを追い詰めているということかな。」

仙道が締めた。




『パシ!』




「キターーーー!!」

「いけーー!牧ーーーー!!」

「ノッている牧だーーー!!!」




「ノッている?果たして、そうかしら。」

と弥生。

「ん!?」

と中村。




「ぐっ!」


『バッ!』



『シュ!』



インサイド、ローポストの牧は、藤真と詰め寄る赤木の間を割り、シュートを打つ。



(俺の前では決めさせんぞ!!牧!!!)


赤木の手の平が、牧の視界を遮る。



『ガッ!』



ボールはリングを通らない。



(ちっ。赤木め。)



『パシ!』


零れ落ちるボールを諸星が奪う。




「うわーーーーー!!!」

「おしいーーーー!!!」




「惜しくはない。当然よ。藤真君と赤木君のディフェンスは、強固なもの。
そして、慣れないローポストでのプレー。
そう簡単に点が奪えるものじゃない。それに・・・。」

と弥生。


「それに?」


(牧君も気付いているはず・・・。藤真君たちとの差が昔ほど大きくないことを・・・。」




ボールは、諸星から真下へパスアウト。


真下は、ボールをキープし、各選手の動きを確実に把握してから、藤真にパスを出す。


決して慌てた素振りは出さない。


冷静に試合を読み、スローゲームへと持ち込む。





「あの辺の試合読みはさすがだな。浦安の裏エースと呼ばれていただけのことはある。
決して、ペースを乱さない。
1番から3番、どのポジションでも高いクオリティを見せ、
裏方にも徹しられる真下は、藤真や諸星とも相性がいいはずだ。
なにせ、あのワガママの市原を一流のスコアラーにさせたんだからな。」

と新庄。




「藤真、落ち着いていこう。」


「あぁ。さぁ、1本奪うぞ。」


そういうと藤真は、右手の人差し指を上げた。




再び観客席。

「諸星、野辺、真下だけでも、ベスト8くらいの力を持ち合わせ、そこに藤真と赤木・・・。
台風の目は、やはり慶徳だったか。」


「いや、試合はまだ終わってない。」

大和にきっぱりと答える仙道。




そして、5分が経過。


試合残り時間1分。


勝負は、ほぼ勝敗決したといっても過言ではないスコアとなっていた。



トップの位置でボールをつく牧。



『ビィ!』



『パシ!』



『パシ!』



『シュパ!』



的確にパスを回し、土屋が冷静にミドルシュートを決めた。




「30点目!両チーム、通じて最高得点をたたき出した!!」

「土屋君の場合、あの位置からのパスも考えられるから、あのシュートを防ぐことは難しい。
打点の高さも魅力的だわ。」




(ちっ、土屋のやろう、この時間帯でも、跳躍力が落ちねぇ。)



慶徳のオフェンス。



(藤真!)



『コク。』



(やり返してやるぜ。)



藤真から諸星へ。



『パシ!』



『パン!』



『ザシュ!』



野辺と諸星のコンビプレー。


白金のディフェンスを切り裂いた。




「負けてない!!諸星君も29点目ですよ!!」

「第2Qから本調子と考えると、最強SGは伊達じゃないわね。」




両校が次元の高いプレーを見せる。


ワンプレーワンプレーが会場にいるものの胸に深く刻まれていく。


そして、観客を魅了するなか、試合時間だけが消費されていった。



白金の十八番。



『ビィ!!』


牧のペネトレイトから、パスアウト。



『シュ!』


神の放つ3Pシュート。



『キュ!!』


真下が強烈なプレッシャーをかける。



『ガツ!』



リングに弾かれた。




「いつもの神なら決めて当然だぜ。」

「真下相手に相当な負担があったのだろう。」

三井に答える新庄。




「この時間帯で神君が外したーーーー!!!」

「勝利の女神が微笑むのは・・・。」




ゴール下。



赤木と荻野のポジション争い。


野辺が粕谷を抑え、牧が飛び込みリバウンドを狙う。


土屋も諸星のスクリーンアウトを外した。




「うぉぉぉーーーー!!!」


「誰にもやらん!!!」


「おぉぉーーーー!!!」


「もらったぁーー!!」


「トゥーーーーース!!」



『チラ。』


藤真が残り試合時間を確認する。


観客席からは、カウントダウンが始まっていた。




「3!!」



「2!!」



『バチィーン!!』



ボールが、大きな手の中に収まった。



そして。



『ビィーーーー!!』



試合を告げるブザーが響き渡った。



高く放り出されたボール。



沸き立つ会場。



なだれ込む控え選手。



激戦を戦い抜いた選手に安堵の表情が見えた。



そして、涙を溜める男の姿があった。








続く。

#393 【得体の知れぬもの】

2010-12-02 | #12 大学 新人戦編
白金 73
慶徳 77




-----------------------------------------------

 C…#26 村松 忠文 195cm/2年/浜ノ森

PF…#43 粕谷 力 192cm/1年/梅沢

-----------------------------------------------




「粕谷だーーーー!!」

「なぜここで粕谷だーーーー!!」

「白金血迷ったかーーー!!」




「ぬっ。この粕谷を馬鹿にしておるな。」


『パン。』


「結構じゃないか。白金の秘密兵器の力を見せてやれ。」

と牧。


「トゥース!!」



(得体の知れないやつ・・・。)

粕谷には野辺がついた。



「野辺殿。容赦はせぬぞ。」

(ぬっ。なんだこいつ。桜木と同じ匂いを感じる。)



エンドラインには神。



『キュッ!!』


『サッ!』


慶徳は、再びオールコートを敷いた。




「どっちだ!!」

「オールコートプレス!!」




オールコート、綺麗な1-2-1-1を形成。



『ビィーーー!!』



開始。



『キュ!』



(作戦通りいくで。)

「何度もやられるわけにはあかんやろ!」


そういうと、諸星を引き連れて、土屋は駆け上がる。


「ん!」

(どこいきやがる!)



『キュ!』



「!!!」


「!!!」


(ついて来い!藤真。)

あわせて、牧も駆け上がる。


(牧!何をする気だ!)



「なにーー!」


入れ替わるように、粕谷が慶徳コートから、神の下へと走り出した。



「なっ!!」

驚く野辺。


慶徳ベンチ、観客、仙道らも驚いた表情を見せる。



「神殿。」



『パシ!』


神から粕谷へ。

そして、神も走り出した。




「なっなんだーーー!!」

「粕谷が運ぶのかーーー!!」

「PFじゃねぇーーのかよ!!」

「ドリブルできるのか!!」




「あいつはインサイドプレーヤーとしては3流でも、ガードなら1流だ。」

とベンチの村松は汗をぬぐう。




白金の予想外のオフェンスに。



『ダムッ!!』


「!!!」


「!!!!」




「野辺が抜かれたーーー!!」

「あの体で意外と速い!!!!」




「織田、あの粕谷ってやつ知ってるか?」

と花形。

「埼玉県代表梅沢高校のプレーヤー。それしか知りませんが。」

「何者だ、あいつは・・・。」




ドリブルで駆け上がる粕谷。


『キュ!』


「てめー、なにやってんだ!!」

諸星がカバーに入る。



『ダム!』



「きらーーん!」



『クル!』



「!!!」


「!!!」


「なに!!!」




「巧い!!」

「あいつ!やるぞ!!」




鮮やかなバックロールで諸星を抜き去る粕谷。


そして、すぐに土屋にパス。


視野も広い。


自身は、インサイドへ飛び込んだ。



『バッ!』


カバーに入った赤木の前で面を取る粕谷。



「パス!!」



(いけるんか!)

そこに、土屋からのリターンパス。



「きらーーん!」



『ダム!』



ワンドリ。



『クル!』



『シュ!!』



そして、シュート。



『バチーーン!!!』



「ぬお!」


「!!!!」


「!!!」



「あっちゃーー。」

と土屋。

「・・・。」

無言の神。

「やはりな・・・。」

苦笑う牧。



粕谷のシュートは、赤木のハエタタキにより、豪快に叩き落された。




「なっ何だ、あいつ!インサイド、めちゃくちゃ弱いぞ!!」

「確か、準々決勝のときも、見せ場がなかったはず!!」

「面白れーーー!!」




「なんだ、こいつは・・・。単調すぎる。」

(昔の桜木のようだ。)

赤木も困惑する。



ボールは、サイドラインを割った。



「・・・。」

「・・・。」

野辺と諸星が無言で見つめあう。

(なんだ、あれ・・・。)



「牧、あいつは?」

思わず藤真が問いただした。

「ふっ。俺にもわからんやつだ。」



埼玉県において、一時その名を轟かせた192cmの長身PG。

それが、粕谷であった。

その身長、体格とドリブルテクニックを買われ、白金学院に入学したが、
手薄なインサイドを考え、すぐにPFへとコンバートされる。

現在、インサイドの猛特訓中であった。



白金にとって、最終局面での大きな大きな賭け。


慶徳のオールコートの突破口、逆転への起爆剤として、投入された切り札G粕谷。


白金の思惑通りの働きを披露するのか、はたまた、慶徳が抑え込むのか。


まもなく終演を迎える。




白金 73
慶徳 77







続く。