綾瀬市議・上田博之のあやせタウンWebニュース【ブログ版】

神奈川県綾瀬市政の動きを縦軸にしつつ、
横軸は四方八方に広がります。
綾瀬市会議員 上田博之(日本共産党)です。

「ブログ村ランキング」の応援クリックをお願いします

ブログ村ランキングに参加中です。
各記事のラストにある「ブログ村」アイコンのクリックを
お願いいたします。

◆暮らしを守る政治に変える要は、“財源をどこに求めるか”にありそう

2008年01月26日 | 政治を考えるヒント

  市議会での論戦のなかで強く感じることは、国政や県政が住民に負担をどんどん増やしてくることに問題を感じつつも、結局、それを追認する立場に日本共産党をのぞく議員のみなさんがおちいってしまうのは、なぜなんだろう、ということです。「財政難だからしょうがない」という隘路に入り込んでしまうようです。
  私が、社会保障の充実を主張すると、「その財源はどうすんだよ」というヤジに近い声も聞こえてきます。

  日本は本当にお金がないのか? あるのに使い方をまちがえているのではないか? それなら、どんな使い方をすればいいのか?  そんなことを突き詰めてみなさんと考えていくときがきていると痛感しています。

  そこへちょうどタイミングよく、しんぶん「赤旗」に、「続消費税なぜなぜ問答  社会保障の財源を考える」という特集が連載され始めました。
  ここでその記事を転載してご紹介いたします。
  この問題をクリアしないと、日本は世界の先進国の中から弾き落とされてしまうでしょう。


ブログランキング・にほんブログ村へ ←日本ブログ村のランキングに挑戦中! クリックしていただけるとうれしいです。
            政治家ブログの中では現在7位です。その後は・・・・ご確認ください。





社会保障の財源を考える


 福田康夫首相が1月18日の施政方針演説で消費税増税について「早期に実現を図る」と表明するなど、政府・与党、財界に商業メディアまで加わって、社会保障財源を確保するためには消費税増税しかないような大合唱です。
  日本共産党は、消費税増税に頼らなくても、社会保障の財源をつくることは可能だと考えています。
  国民のみなさんの疑問に答えながら、日本共産党の財源についての考え方を紹介していきます。




共産党は財源どう考える?


 社会保障についての日本共産党の財源論のポイントは、国民の立場に立って浪費を一掃しつつ、(1)ゆきすぎた大企業と大資産家に対する減税(2)年間五兆円にのぼる軍事費―という「二つの聖域」にメスを入れるというものです。

 まず、前提の話から考えていきましょう。

医療・福祉は低水準
 消費税増税派の言い分は、“このままでは財政的に社会保障の水準を維持するのが大変だ”というものです。では、日本の社会保障の水準は、それほど高いのでしょうか。

 日本の社会保障給付費は対国内総生産(GDP)比でみると17・5%程度で、ドイツ、フランス、スウェーデンなどと比べると、10ポイント以上も低い水準です。

 グラフ(1)を見てください。これは、経済協力開発機構(OECD)のホームページに掲載されている国民経済計算のデータで、政府支出の対GDP比を試算したものです。ここでいう政府とは「一般政府」といって、主に税財源で賄われている国や地方自治体の財政と、社会保険料を財源としている「社会保障基金」を合わせたものです。

 国民経済計算では、政府支出を「一般公共サービス」「防衛」「経済業務」「保健」「教育」「社会保護」など十分野の目的別に分類しています。このうち、主に医療などが該当する「保健」と、年金などが含まれる「社会保護」との合計額を「社会保障」として計算しました。社会福祉施設の整備費なども入るので、「社会保障給付費」よりは多少大きくなりますが、それでも日本は20%に達していません。ヨーロッパに比べると低さが目立ちます。



大企業に応分負担
 では、日本の水準はなぜ低いのでしょうか。グラフ(2)は、同じOECDのデータから政府収入の対GDP比を試算したものです。政府の主な収入は、どの国でも税と社会保険料です。日本は、そのどちらもヨーロッパに比べると少なくなっています。

 このグラフを見ると、日本の社会保障財源が少ない原因として、二つのことが分かります。

 一つは、経済全体に占める政府の支出規模が小さいことです。アメリカに比べれば多少大きくなっていますが、ヨーロッパに比べると、はるかに「小さい政府」となっています。「高福祉・高負担」といわれる北欧諸国のレベルまで政府支出を引き上げるかどうかは別としても、イギリスやドイツなどと同程度に政府支出を引き上げることは、日本の経済力からみて十分に可能です。

 政府の支出規模を拡大するためには、税や社会保険料などの収入を増やす必要があります。税については、小泉内閣以降、庶民向けには定率減税の廃止や高齢者への増税、配偶者特別控除の廃止など、総額で五兆円以上の増税が行われてきました。その一方で、大企業や大資産家向けには減税が繰り返されてきました(表参照)。このため、いくら増税をしても税収はあまり増えていません。こうした大企業や大資産家への減税を改め、負担能力に応じた税負担を求めていくことが、何よりも重要です。

 社会保険料についても増収をはかることが必要ですが、庶民の負担が増えすぎないようにする配慮が必要です。現在は一定額で頭打ちとなっている高額所得者の社会保険料負担の上限を見直すとか、労使折半になっている保険料の負担割合を見直すことも必要でしょう。






歳出のムダを削減
 もう一つは、政府支出の中での配分の問題です。アメリカは軍事費が大きいことが社会保障を圧迫していますが、日本では公共事業などに支出が偏っていることが社会保障を圧迫しています。軍事費についても、対GDP比では欧米より少ないといっても、毎年五兆円近い規模は、決して少ないものではありません。こうした歳出のムダの削減が重要です。



大企業の応分の負担とは?


 社会保障の財源を確保するうえで、大企業に、その負担能力に応じた税負担を求めることが必要です。ところが、財界などは「税が増えたら企業の経営が苦しくなる」といって、これに反対しています。大企業には税負担の能力がないのでしょうか。

 図は、財務省の法人企業統計調査のデータをもとにして、資本金十億円以上の大企業(金融・保険業は除く)の経常利益と税負担の推移をグラフにしたものです。これを見ればわかるように、二〇〇六年度の大企業の経常利益は三十二・八兆円と史上最高を更新し、バブル期のピークであった一九九〇年度の十八・八兆円の一・七四倍に達しています。ところが税負担の方は十三・九兆円から十三・七兆円と、ほぼ同水準にとどまっています。

 個々の大企業を見ても同様です。たとえば、トヨタ自動車の場合は、〇六年度の経常利益は一兆五千五百五十二億円で、バブル期のピーク(七千三百三十八億円)の二倍以上ですが、税負担は四千七百八十二億円から四千七百四十六億円と、ほとんど横ばいです。

 この主な原因は、三つあります。一つは、この間に法人税の税率が大幅に引き下げられたことです。八〇年代には最高で40―43・3%だった法人税率が、九〇年度には37・5%、九八年度には34・5%、九九年度以降は30%となりました。トヨタ自動車の場合、税率引き下げによる減税効果は約二千億円です。

 二つめは、〇二年度からの連結納税制度の導入、〇三年度に大幅に拡充された研究開発減税など、新たな大企業減税が追加されたことです。研究開発減税は、トヨタ一社だけでも七百六十億円(〇六年度)です。

 三つめは、大企業が多国籍企業化や企業再編を行う中で、以前からあった配当益金不算入制度や外国税額控除制度などの大企業優遇税制の効果が大きくなっていることです。海外展開している企業ほど減税効果は大きく、トヨタの場合だと九百億円程度になると推計されます。

 日本共産党の試算では、法人税の税率をバブル期の九〇年度の税率である37・5%に戻せば、地方税分も含めて、大企業だけで約四兆円の増税になります。研究開発減税などの優遇税制を廃止・縮小すれば、さらに一兆―二兆円の増税になりますが、あわせても五兆―六兆円程度です。バブル期に比べて十五兆円も経常利益が増えているのですから、その一部を税にあてるということにすぎず、けっして無理な負担を求めているわけではありません。

(写真)東京モーターショーでのトヨタ自動車のブース
=07年10月25日、千葉・幕張メッセ


大企業が海外に逃げてしまう?


 「大企業にこれ以上の負担を求めると、国際競争力が落ち、海外に逃げてしまうのでは?」という質問が出されます。この点について、考えてみましょう。

 確かに、大企業が海外進出を進めているのは事実です。しかし、その主な理由は税金の問題ではありません。

 二〇〇七年九月に、経済産業省が実施した委託調査「公的負担と企業行動に関するアンケート調査」の中間結果が公表されました。経済産業省は、財界の意向を受けて法人課税の引き下げを要求しており、この調査も、減税の必要性を証明しようという意図に沿ったものであり、回答企業も主には大企業です。しかし、この調査結果でも、“税金をまけてやれば競争力が増す”などという単純な議論が成り立たないことが分かります。

 たとえば、海外進出を計画している企業に、その理由を聞いた設問に対する回答では、「労働コスト」「海外市場の将来性」などが上位で、「税負担」は五番目にすぎませんでした。

 また、海外進出している企業に「法人実効税率が30%程度まで引き下げられた場合、国内回帰を検討するか」との設問に対しては、「国内回帰を検討する」とした企業は17・8%にすぎず、大多数は「検討しない」と回答しています。

 さらに、「法人所得課税等の企業負担が重い」と回答した企業に対して「負担の引き下げが行われた場合のメリットは?」と聞いた設問には、「国際競争力の強化」という回答も半数程度ありましたが、圧倒的に多いのは「税引後利益の増大による企業価値や株価上昇」という回答でした。ここには、「税負担の軽減」を求める大企業の本音が表れています。

 いま、アメリカ流の「株主資本主義」「株価資本主義」の風潮が広がり、大企業の経営者の中に短期的な業績向上による株価上昇ばかりを追い求める傾向が強まっています。短期間で利益を増やす方法の一つはリストラによるコスト削減であり、もう一つは企業減税です。

 リストラによって短期的には利益が上昇しても、技術を持った労働者がいなくなってしまうことによって、将来の競争力が維持できるかが心配されています。本当に国際競争力を心配するのであれば、こうした問題にこそ目を向けるべきです。大企業のいいなりで減税をしても、短期的な株価上昇にはつながっても、国際競争力が向上する保障はありません。



欧米に比べて企業の負担は?


 日本経団連など財界は、“日本の企業の負担は外国に比べて重い”と宣伝しています。実際にはどうでしょうか。

 日本では、地方税を含めた法人課税の実効税率は39・54%となっています。これは、アメリカ(カリフォルニアで40・75%、ニューヨーク市では45・95%)に比べれば、けっして高いとはいえません。ドイツ(二〇〇七年までは38・65%、〇八年からは29・83%)、フランス(33・33%)、イギリス(〇七年度まで30%、〇八年度から28%)などと比べれば「高い」という議論もありますが、課税ベースの違いなどもあり、税率だけで単純な比較はできません。


国際家電見本市で展示された各社の薄型テレビ


 また、大企業の場合には、研究開発減税などの優遇税制があるために、実質的な税率は、もっと低くなっていることも考慮しなければなりません。

 さらに、企業の公的負担を比較する場合には、税だけでなく社会保険料などの負担も考える必要があります。ヨーロッパの場合は、日本に比べて社会保険料の負担が高くなっています。

 財務省が〇七年十月に政府税制調査会に提出した資料によれば、社会保険料を含めた法人負担を日本と欧米主要国とで比較した場合、日本は「金融(銀行)業」では五カ国中二位ですが、「自動車製造業」「エレクトロニクス製造業」では三位、「情報サービス業」では四位となっており、けっして負担が高いということはありません。

 アメリカの企業負担が低いのは、公的な医療保険制度がないからです。しかし、自動車製造業などを中心に、従業員が加入している民間医療保険の保険料を企業が負担している場合が多く、この保険料負担を含めれば、日本よりアメリカの方の負担が高くなる可能性もあります。

 「負担が高いと企業が海外に逃げていく」という議論が正しいとすれば、日本の大企業がアメリカやヨーロッパに進出していることの説明がつきません。「海外に逃げる」というのは、減税の口実をつくるための国民への脅かしにすぎません。

(つづく)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする