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今日の筆洗

2016年10月22日 | Weblog

 一八九五年の秋、沖縄を揺るがせる事件が起こった。沖縄県尋常中学校の生徒たちが、校長の排斥を求めて一斉に立ち上がった「尋常中ストライキ事件」である▼発端は、本土出身の校長の訓話だった。「皆さんは普通語さえ完全に使えないくせに、英語まで学ばなくてはいけない気の毒な境遇にある」と語り、英語教育の廃止を打ち出したのだ▼普通語とは標準語のこと。それもきちんと話せぬのに、英語など…と見下した校長の態度に生徒たちは憤慨した。生徒らはストライキ中も自主的に英語の授業をし、地元紙は「(校長の姿勢は)沖縄人に高等教育を受けさせず、沖縄を植民地扱いにするものだ」と論じた▼それから、百二十年余。沖縄に派遣中の大阪府警の機動隊員が、米軍施設の移設に抗議する人に、「土人」と言い放った。沖縄の人々を見下し、沖縄を植民地扱いしていた時代の言葉である▼沖縄への差別を体感しながら、日本の中で沖縄はどう歩むべきかと問い続け、「沖縄学の父」と呼ばれた伊波普猷(いはふゆう)は、尋常中ストライキ事件で退学させられた一人だ。その伊波が一九四七年、沖縄の帰属問題について、こう書いている▼<(沖縄人は帰属に関する)希望を述べる自由を有するとしても…自分の運命を自分で決定することのできない境遇におかれている>。「帰属」を「基地」とすれば、変わらぬ現実がある。


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