東京新聞寄居専売所

読んで納得!価格で満足!
家計の負担を減らしましょう!
1ヶ月月極2950円です!
アルバイト大募集中です!

今日の筆洗

2024年04月06日 | Weblog

 宮城の気仙沼港は生鮮カツオの水揚げが27年連続日本一。例年6月ごろに始まり、気仙沼の人々は夏場に大いに食べる▼東日本大震災の約3カ月後、初水揚げを取材したことがあった。地元水産業者の建物も津波で流され、がれきも片付いていなかったが、70センチ沈んだ魚市場の岸壁を突貫工事でかさ上げしシーズンに間に合わせた▼頑張れたのは、カツオのない気仙沼の夏などありえないと人々が思ったから。季節の風物は被災地では一層、価値を増す▼能登半島の七尾と穴水を結び、先の地震で被災して一部区間の不通が続いていた第三セクター・のと鉄道が今日、全線で運行を再開する。約100本の桜並木が列車に覆いかぶさるように枝を伸ばす「桜のトンネル」で有名な能登鹿島駅でも列車が発着する。昨日聞いたら、幸いつぼみ。運行再開後に見頃を迎えられ、よかった▼のと鉄道によると、通学の利用が多く、新学期には全線で復旧させたいと工事を進めたという。おかげで例年同様に見られそうな列車と桜と愛(め)でる人々。現場の奮闘に敬意を表さねばなるまい▼震災後の気仙沼では早朝の岸壁で、魚市場の人たちと一緒に最初のカツオ船の入港を待った。もやに煙る海上に姿を現し徐々に近づいてきた時、取材者の立場ながら胸に迫るものがあった。今朝、つぼみ膨らむ駅のホームに立ち、列車を待つ人々の胸中を思う。