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今日の筆洗

2024年04月11日 | Weblog

 英国の科学担当大臣が1993年にこんな大会を開いた。すべての物質に質量を与えるヒッグス粒子について分かりやすく説明した人には年代物のシャンパンを進呈する▼シャンパンを獲得した説明はこうだ。質量ゼロの粒子をサッチャー元首相に見立てている。大勢の人が集まったパーティー。サッチャーさんが会場内を横切ろうとするが、みな、握手したがるので、サッチャーさんの動きは緩慢になる。質量ゼロの粒子が質量を持った歩みの遅い粒子になる。この人の波のようなものがヒッグス粒子…▼ヒッグス粒子の存在を予言した英国の物理学者ピーター・ヒッグスさんが亡くなった。94歳。その世界のスターだろう。予言したヒッグス粒子は2012年、巨大加速器による実験で発見され、ヒッグスさんはノーベル物理学賞に輝いた▼「私を有名にした仕事だが、その期間は人生のごくわずか」。わずかな期間とはヒッグス粒子をひらめいた1964年の夏の3週間である▼苦労はむしろその後だろう。本当に存在するのか。待つことに人生の大半を費やした。粒子が発見されたとき、ほっとしたのか、ハンカチで目をぬぐっていた姿を思い出す▼さて歴史上の物理学者たちが集うパーティーがどこかで開かれているか。主役のヒッグスさんが会場内を動こうとするのだが、功績への称賛と握手攻めでなかなか前に進めない。