一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

南アルプス(荒川三山~赤石岳) ……これ以上望むべきものなどない山旅①……

2015年08月04日 | 南アルプス(荒川三山~赤石岳)
7月31日(金)から8月3日(月)まで、
夏山遠征で、南アルプス(荒川三山~赤石岳)に行ってきた。
行く直前は、仕事&仕事でなかなかブログ更新ができず、
当ブログを訪問して下さった方々に大変申し訳ないことをしたと思っている。
今日より、毎日、少しずつ更新していきたい。
以後、御愛読の程を乞い願う次第。

これまで、私の登山のレポは、
山行日とレポの日付を同じにしていたが、
今回は、毎日少しずつ更新しようと思っているので、
更新日と山行日が異なることとなった。
レポの最初に、山行日を記入しているので、
以降、そのように読んで頂ければと思う。
では、私と一緒に、南アルプスの山旅へと出発しましょう!

7月31日(金)
静岡駅~畑薙第一ダム~椹島ロッヂ


これまでの私の日本アルプス行は、
そのほとんどが北アルプスに限られ、
南アルプスにはまったく関心がなかった。
なぜ関心がなかったかといえば、
その一番の要因は、
かつて所属していた山岳会の先輩たちによる、
南アルプスに対する悪評だった。
それは、南アルプスという巨大山脈そのものに対するものではなく、
そこに存在する山小屋に対してのものであった。
具体例は避けるが、
それは、小屋の設備、食事、トイレ、小屋番の態度など、
すべてにわたってのものであった。
「北アルプスに比べて……」
と形容詞が付いていたような気もする。
諸先輩方の古い情報なので、
鵜呑みにしていたワケではないのだが、
南アルプスに対しては、
なんとなく、暗く、陰鬱なものを感じていた。
本格的な山ヤさんが行く山域……
のように思っていたし、
これから先、
私が南アルプスに足を踏み入れることは決してないだろうと思っていた。

そんな私が、なぜ南アルプスへ行こうと思ったのか……
それは、北陸新幹線が、
今年(2015年)3月14日、長野駅~金沢駅間が開業し、
東京駅~富山駅間を最短2時間8分で結ぶようになり、
今夏、北アルプスへの登山者が急激に増えることが予想されたことに由る。
どの山岳雑誌も「北アルプス特集」ばかり組んでいたし、
混雑する北アルプスに行くのが躊躇われたからだ。
寝返りもできないほどの寝床はウンザリだし、
人、人、人の北アルプスは勘弁だ。
そこで初めて「南アルプスへ行ってみようか……」という思いが湧いた。
最近の南アルプスの山小屋は、
かつてとは違い、随分と良くなっていると聞く。
「混雑する北アルプスに行くより、静かな南アルプスへ行ってみよう!」
と思ったのだった。

ここ数年、
私の夏の遠征は、
海抜0メートルから登る富士山や、
海抜0メートルから登る白馬岳や、
海抜0メートルから登る剱岳など、
ややストイックな山行が続いていた。
今年は、そんな修行僧のような(笑)登山はやめて、
楽しく面白い登山をしたいと思った。
そこで、親友・ヤスさんに南アルプス遠征を提案すると、
「イイですね~、行きましょう!」
という答えが返ってきた。
そこで、ふたりの休みを調整したところ、
7月31日(金)~8月3日(月)でどうにか合わせることができ、
遠征することに決まったのだった。
ふたりとも「毎日が日曜日」という身分ではないし、
4日間の連休が「やっと」だった。
九州からの行き帰りの時間を含めた4日間なので、
行く山域の検討や、綿密な行動計画が必要となった。

南アルプスといえば、北岳を含む白峰三山がすぐに思い浮かぶが、
北岳周辺は南アルプスの表銀座みたいな山域なので、
「いかにも」的なイメージで、パス。(笑)
北部の山々よりも、
もっと静かでダイナミックな南部の山々にしようと決めた。
そこで、慎重に検討した結果、
椹島から荒川三山、赤石岳と周回し、
再び椹島に戻ってくるルートに決定。
一日も無駄にはできないので、
7月30日(木)は、仕事が終わってから出発。
7月31日(金)は、静岡駅から椹島ロッヂまで。(椹島ロッヂ泊)
8月1日(土)は、椹島ロッヂから千枚小屋まで。(千枚小屋泊)
8月2日(日)は、千枚小屋から、荒川三山、赤石岳を経て、赤石小屋まで。(赤石小屋泊)
8月3日(月)は、赤石小屋から椹島ロッヂへ下山し、九州へ帰ってくる。
このようにスケジュールを組んだ。




7月30日(木)
仕事を終えた後、
18:26 肥前山口駅よりJR特急かもめ38号に飛び乗る。
19:14 博多駅に到着。
19:28 JR新幹線のぞみ9号に乗り込む。
22:50 名古屋駅に到着。
23:20 JR快速ムーンライトながらに乗り込む。
01:52 静岡駅に到着。


静岡駅に着いたときには、
日付も変わって、
7月31日(金)。
普通の人は、朝まで、ネットカフェや24時間営業の店などで過ごすのだろうが、
普通ではない私は、駅前のベンチで野宿。(笑)
私は、野宿が嫌いではないのだ。
(詳しくはコチラを参照)
ネットカフェやカプセルホテルのような狭い空間より、
野宿の方がよっぽどイイ。
ザックを枕に、一寝入り。


7月31日(金)の夜が明け、
静かだった静岡駅前も騒がしくなってきた。
この日は、静岡駅前より、
しずてつジャストラインバスの夏季限定運行「南アルプス登山線」で、
畑薙第一ダム(正確には臨時駐車場)まで行き(1日1便、9:50発、13:20着)、
そこから東海フォレストの送迎バスで椹島ロッヂまで行く予定(14:30発、15:30着)。

マイカーで来た場合でも、
畑薙第一ダムから先は東海フォレストの送迎バスに乗り換えなければならない。
但し、この送迎バスを利用できるのは、
二軒小屋ロッヂ、椹島ロッヂ、千枚小屋、中岳避難小屋、荒川小屋、赤石岳避難小屋、赤石小屋、熊ノ平小屋、百間洞山の家、高山裏避難小屋、小河内避難小屋のいずれか1ヵ所以上に宿泊する場合のみで、テント泊のみの場合は利用できない。
入山時は、宿泊の前金として、乗車の際に宿泊施設利用券(3000円)を購入しなければならない。
この券は、前記の施設で宿泊代の一部として利用できる。
下山時は、前記いずれかの施設に宿泊した際の領収書が必要。
受付に領収書を提示のうえ、整理券を受け取ってバスに乗車する。


8:15
遅れてやってきたヤスさんを静岡駅で迎える。

9:50
しずてつジャストラインバスに乗り込む。


乗車時間が3時間以上になるため、
途中の「横沢」と、


井川駅(大井川鉄道)で、
約1時間おきにトイレ休憩がある。




13:20
畑薙第一ダムの臨時駐車場に到着。


ここで入山届を提出し、


東海フォレストの送迎バスを待つ。


待つ間、近くに咲いていたホタルブクロや、


シデシャジンなどを楽しむ。


14:30
東海フォレストの送迎バスが到着し、乗り込む。
バスは満席。


未舗装の道を、
激しく車に揺られつつ、
しかし、こんな風景を楽しみながら、進む。




15:30
椹島ロッヂに到着。


宿泊手続きの後、
入浴し(なんと、お風呂があるのだ)、
レストハウスで寛ぐ。


ヤスさんとビールで乾杯。
明日からの登山に思いをはせる。


そして、周辺を散策。


フシグロセンノウや、


シナノナデシコなどの花を楽しむ。


椹島ロッヂの夕食は、こんな感じ。
ご飯とお味噌汁は、おかわり自由。
ビールを飲みながら、美味しくいただく。


九州を発つ前、
山の天気予報で定評のある「てんきとくらす」で、
荒川三山と赤石岳の天気を調べてみると、
なんと、8月1日~8月3日はすべて、
「風または雨が強く、登山に適していません」というCランク。

ガッカリしたが、
予報が外れることを祈りつつ、
早めに就寝。
さて、明日は、どんな一日が待っていることだろう。


【目次】(クリックするとレポを読むことができます)
7月31日(金)
①静岡駅~畑薙第一ダム~椹島ロッヂ
8月1日(土)
②椹島ロッヂ~小石下~清水平~蕨段~千枚小屋
8月2日(日)
③千枚小屋~千枚岳~丸山
④丸山~東岳(悪沢岳)
⑤東岳(悪沢岳)~中岳~前岳
⑥前岳分岐~前岳南東斜面のお花畑~荒川小屋
⑦荒川小屋~大聖寺平~小赤石岳
⑧小赤石岳~赤石岳~北沢源頭~富士見平~赤石小屋
8月3日(月)
⑨赤石小屋~大倉尾根~椹島ロッヂ~畑薙第一ダム~静岡駅~肥前山口駅

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