一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

シリーズ「麓から登ろう!」⑧天山 ……厳木駅から小城駅へ……

2011年06月30日 | シリーズ「麓から登ろう!」
天山へ登りたくなった。 ヤマトキソウに逢いたくなったからだ。 天山には、シリーズ「麓から登ろう!」の第2弾で、小城駅から登っている。 さて、今回はどこから登るか…… どの山にも登山口はある。 大抵、車道の終点に登山口があり、 そこには駐車場やトイレなどがあったりする。 普通の登山者は、ガイドブックに載っている既成の登山口を参考に計画を組む。 何も考えなくて済むし、楽だからだ。 だが、山に登る際の . . . 本文を読む

映画『127時間』 ……127時間を94分に濃縮させ、絞り出した極旨の一滴……

2011年06月26日 | 映画
数人の山友から、 「映画『127時間』をどう見ますか?」 との質問メールが来た。 まだ見ていなかった(というか、見に行く予定がなかった)し、 できればスルーしたいと思っていたので、 山友からの「当然見に行くだろう」みたいな感じの質問には、正直困った。 単独行の青年が、 身動きのとれない断崖で、 生と死のはざまで127時間を過ごす…… という、実話をもとにした作品であるのだから、 山好き人間なら、本 . . . 本文を読む

シリーズ「麓から登ろう!」⑦虚空蔵山 ……あの人が歩いたかもしれない道……

2011年06月23日 | 海抜0mから登る虚空蔵山・単独行
シリーズ「麓から登ろう!」の7回目は、虚空蔵山。 とは言っても、虚空蔵山と名の付く山は全国に30座以上もあるし、 西彼杵半島や、有明海と大村湾に挟まれた一帯には、なんと5座もある。 で、今回登るのは、 この一帯で最も標高が高く、 「九州のマッターホルン」と称されている、 かの虚空蔵山(608.5m)である。(説明しなくても判るよね。でも九州以外の人たちの為に、一応……) 虚空蔵山の主な登山口 . . . 本文を読む

笹本稜平『春を背負って』 ……読み終えると、きっと山小屋に行きたくなる……

2011年06月19日 | 読書・音楽・美術・その他芸術
山小屋を舞台にした連作短篇集である。 同じ笹本稜平の前作『未踏峰』では、 どこに勤めてもうまくいかない若者3人を、 北八ヶ岳にある山小屋の主人が雇い入れ、指導し、 ヒマラヤの未踏峰の山頂を目指す……というものであった。 今回の『春を背負って』(文藝春秋/2011年5月30日刊)では、山小屋の舞台を奥秩父に移している。 アルプスでもなく八ヶ岳でもなく、奥秩父というところに、この作品の持ち味がある。 . . . 本文を読む

雨の作礼山 ……山という命の器のなかで、生かされている私を感じた……

2011年06月16日 | 作礼山
梅雨、真っ只中である。 本当によく降る。 今日は、朝から用事があったが、午後に2時間ほど時間ができた。 で、近くの山に遊びに行った。 「えっ、こんなに降ってるのに行くの?」 と、二女が驚いていた。 それほどの雨であった。 だが、行くのだ。(笑) 徒歩日本縦断の旅をしたとき、北海道では雨に祟られた。 北海道を歩いていた約1ヶ月の間、私はずっと雨に濡れながら歩いていた。 なかでも石狩平野を歩いた日は . . . 本文を読む

『二十歳の原点』(高野悦子) ……刊行から40年、今でも私の「心の書」……

2011年06月12日 | 読書・音楽・美術・その他芸術
雨の日曜日、長女と二女、それに孫二人と一緒に楽しいひとときを過ごす。 皆が昼寝した午後、私は自分の部屋で本や雑誌の整理をする。 古い雑誌を手に取ると、ついつい読み耽ってしまい、なかなか捗らない。 今日、興味深く読んだのは、『文藝春秋』2005年6月号の[証言1970-72]という特集。 1970年、1971年、1972年の3年間のことは、誰もが不思議とよく憶えている。 三島事件、よど号ハイジャ . . . 本文を読む

烏帽子岳 ……こんな素晴らしい山がなぜガイド本に載っていないのか②……

2011年06月09日 | その他・佐賀県外の山
佐世保にある烏帽子岳について、 今年の2月23日に、 「こんな素晴らしい山がなぜガイド本に載っていないのか」(コチラを参照) と吠えた。(笑) ガイド本とは、山と溪谷社の『新・分県登山ガイド41 長崎県の山』のことである。 まあ、詳しい内容は前回のレポートを読んでもらうとして、 今日は、その第2弾。 前回、 「次回は日宇ルートを歩きたい」 という言葉で締めくくっている。 すぐに日宇ルートを歩く . . . 本文を読む

映画『海炭市叙景』 ……映画を見ている間、私は「海炭市」の市民であった……

2011年06月07日 | 映画
1995年に徒歩日本縦断をしたとき、 旅先から原稿を送るという形で、 一週間に一度、地元の新聞に紀行文を連載していた。 その旅のレポートで、私は、函館でのことを次のように記している。 8月23日の早朝に長万部を出たぼくは、25日の午後には函館に到着した。 この長万部~函館間は、交通量が多い上に、歩道が少なく、歩いていてとてもコワかった。 北海道の車は高速道路並みのスピードで走る。 それに追い抜き . . . 本文を読む

映画『奇跡』 ……家族が一緒に暮らせること、そのことこそが奇跡……

2011年06月05日 | 映画
この作品は、 6月11日公開の映画であるが、 九州(福岡・熊本・鹿児島)が舞台の作品ということもあって、 全国公開よりも1週間早く、 6月4日より、 九州での先行上映が始まった。 本作は、九州新幹線の開通に合わせたJRとのタイアップ企画ということで、 私としては、正直、あまり見たいとは思わなかった。 これまでにも企業とタイアップした作品は多く作られているが、 あまり成功作はない。 〈この作品 . . . 本文を読む

シリーズ「麓から登ろう!」⑥黒髪山系大縦走 ……有田駅から伊万里駅へ……

2011年06月02日 | 黒髪山系大縦走
シリーズ「麓から登ろう!」も6回目。 今回は、黒髪山系。 黒髪山にするか、青螺山にするか、腰岳にするか…… と考えていたのだが、黒髪山系の山は、ひとつひとつがそれほど大きくない。 麓から登ったとしても、さほど時間はかからない。 ならば、黒髪山系として、端から端まで縦走するのはどうだろう。 これだと、ちょっと時間がかかり過ぎるかもしれないが、 なんだか面白そうだ。 黒髪山系大縦走は2度体験しているが . . . 本文を読む