一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

南アルプス(荒川三山~赤石岳) ……これ以上望むべきものなどない山旅③……

2015年08月06日 | 南アルプス(荒川三山~赤石岳)
8月2日(日)その1
千枚小屋~千枚岳~丸山


いよいよ、その日が始まった。
東岳(悪沢岳)、中岳、前岳の荒川三山と、
赤石岳を縦走する日が……

この日、我々は、
千枚岳2879.8m
丸山3032m
東岳(悪沢岳)3141m
中岳3083.2m
前岳3068m
小赤石岳3081m
赤石岳3120.1m
と、3000m峰が連なる稜線を縦走するのだ。
今回の山旅のハイライトともいえる日。
天気予報は荒天の予報であったが、
この日だけはなんとか晴れてほしいと思っていた。

2:55
起床。
音をたてないようして準備をする。
外に出ると、
満月に近い月と、
その月の光が強すぎてやや見えにくいものの、満天の星。
天気予報を覆して晴れてくれたのだ。
嬉しい。

3:16
千枚小屋を出発。


ヘッドランプを装着して、ゆっくり登っていく。
登山道の両側には、花がいっぱい。
ミネウスユキソウだけをフラッシュ撮影でパチリ。


千枚岳まで、あと10分。


3:57
千枚岳山頂(2879.8m)に到着。
(フラッシュ撮影)


今回の山旅には、
カカポくんが、
「どうしても連れていってくれ」
と懇願してきたので、
カカポくんを連れてきた。
(フラッシュ撮影)


ヤスさんのヘッドランプが星のように光る。
(フラッシュ撮影)


次の丸山を目指して歩き始める。
タカネマツムシソウが咲いていたので、パチリ。
天山のマツムシソウよりも随分と大きい。
(フラッシュ撮影)


月の光で、赤石岳のシルエットが浮かび上がる。


神秘的な風景。


岩場を慎重に下降する。
(フラッシュ撮影)


白く闇に浮かぶ花を発見。
タカネビランジだ。
(フラッシュ撮影)


ナデシコ科・マンテマ属の多年草で、南アルプスの特産種。


逢えて嬉しい。


岩峰と月。
いいね~


タカネナデシコが咲いている。
(フラッシュ撮影)


振り返ると、後続者のヘッドランプの光が見えた。


富士山が見えてきた。


感激。


我々が動くにしたがって角度が変わり、
富士山の背景や色が刻々と変化する。


感動。


周囲が次第に明るくなり、
赤石岳がはっきり見えてきた。


その上空には月が……


そして、その東側には、富士山。


なんて美しいんだろう。


富士山よりももっと東側が、明るく輝き始めた。
あの辺りから太陽が顔を出すのだろう。


イワギキョウが咲いている。


赤石岳が存在感を増してくる。




富士山と好対比。




月を見ていたら、


4:50
反対側から太陽が顔を出した。


少しずつ姿を見せ始める太陽。








富士山の山頂から御来光を拝んだことはあるが、
富士山と御来光を同時に拝んだのは初めての経験。
「これまで見た御来光の中で、最高です」
とヤスさん。


この体験は、一生ヤスさんの心に残ることだろう。




足もとにはコバノコゴメグサ。
美しい。


太陽の光が、一瞬一瞬を輝かせる。


一瞬たりとて、同じ風景を見せない。


5:02
丸山山頂(3032m)に到着。


ここから見る富士山は特に素晴らしい。


強烈な光を発するようになった太陽が、


これから向かう東岳(悪沢岳)や、


赤石岳を美しく浮かび上がらせる。


8月2日は、まだ始まったばかり。


結論から言うと、
この日(2015年8月2日)は、
一瞬も見逃すことのできない、
瞬きするのさえ惜しくなるほどの珠玉の一日であった。
一瞬一瞬が輝いていた。
こんな日を体験できることは、
生涯において、そうそうあることではない。
できることなら、
この日の一瞬一瞬を永久に保存できたらと思う。
そのささやかな試みが、このブログ「一日の王」ということになる。
乞うご期待!



【目次】(クリックするとレポを読むことができます)
7月31日(金)
①静岡駅~畑薙第一ダム~椹島ロッヂ
8月1日(土)
②椹島ロッヂ~小石下~清水平~蕨段~千枚小屋
8月2日(日)
③千枚小屋~千枚岳~丸山
④丸山~東岳(悪沢岳)
⑤東岳(悪沢岳)~中岳~前岳
⑥前岳分岐~前岳南東斜面のお花畑~荒川小屋
⑦荒川小屋~大聖寺平~小赤石岳
⑧小赤石岳~赤石岳~北沢源頭~富士見平~赤石小屋
8月3日(月)
⑨赤石小屋~大倉尾根~椹島ロッヂ~畑薙第一ダム~静岡駅~肥前山口駅

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