10月17日閉会した9月定例県議会で、私は10月2日に知事選後行われる各会派を代表しての質問を行いましたが、大変遅れましたが、その主な内容について報告します。
災害時の住民避難について
【竹内質問】
西日本豪雨災害では避難指示や勧告が発令されても住民の避難行動につながらず被害が拡大した。避難指示や勧告の住民理解の徹底が大きな課題であると考えるが県の今後の取組は。
【阿部知事】
特に、避難指示や避難勧告などの用語については、分かりにくいという指摘もあり、情報発信は簡潔で分かりやすい表現を加えるなど、市町村と住民目線にたった情報の発信に努める。また、県民に対しては、避難訓練などへの参加や防災教育や普及啓発を行っていく。
県有施設のブロック塀の調査結果と対策の実施について
【竹内質問】
大阪府北部地震を受けた安全点検で、県内でも県有施設で倒壊の恐れがあるブロック塀が確認されて補修や撤去を行うとされたが、県有施設の取組状況は。
【阿部知事】 県立学校を含む県有施設のブロック塀について緊急調査を行った結果、建築基準法の現行基準に適合していない塀が116件で、このうち、倒壊の恐れのあるものが1件あり、直ちに撤去した。また、10月末までには、88件の対策が完了する予定。残りのブロック塀については、来年の3月末までには対策を全て完了することができるように、取り組んでいきたい。
知事選結果を踏まえた知事の基本姿勢について
【竹内質問】
とかく首長は3期目となるとトップダウンとなると言われるが、選挙中に「初心を忘れず」と強調した思いと3期目の県政運営に挑む姿勢は。
【阿部知事】
特に県民起点の県政ということを掲げさせていただいており、県民の思いをしっかり受け止めて、共感と対話、県民参加・協働を引き続き堅持していきたい。
そして県民との約束を守り、光が当たりにくいところに光を当てる。こうした就任当初から掲げてきた考え方についてしっかり堅持して、初心を忘れず、これからも県政に取り組んでいきたい
公約の中で重点的に取組む課題について
【竹内質問】
知事として任期中、特に重点的に取り組もうとするものは何か。
【阿部知事】
新しい時代に向けた学校教育の転換、地域の皆様の安心を確保するための持続可能な医療・介護提供体制の構築、公共交通の充実等の地域の移動手段の確保、安心・安全の県土づくり・広域的な防災体制の整備、活力ある長野県であり続けるための産業支援体制の再構築、こうした大きなテーマに正面から向き合って応えていきたいと思っています。
「種子条例」の制定について
【竹内質問】
長野県種子条例(仮称)の制定に向けた検討会設置等の手法と制定の時期は。
【阿部知事】
条例の制定にあたっては、本県らしい条例となりますよう、農業者や種子生産者、農業団体等様々な立場の皆様から、個別に十分ご意見をお聴きしていきたい。いただいた意見を踏まえて、来年1月までには骨子案を作成していきたいと考えている。また、パブリックコメントを行い、食と農業農村振興審議会において議論いただいた上で、来年2月定例会に条例素案をお示しした上で、6月定例会に条例案を提出する方向で取り組んでいきたいと考えている。
低所得世帯の子どもに対する支援の拡充について
【竹内質問】
子どもの医療費の現物給付は8月から実施したが、選挙中、低所得世帯の子どもに対する支援を別途充実するとしているが、具体的な施策は。
【阿部知事】
昨年行いました「子どもと子育て家庭の生活実態調査」結果を踏まえて、貧困等さまざまな困難を抱える子どもたち、そしてそのご家庭への支援を一層充実していくことが必要だと考えている。
具体的な取組については、現在広範に検討しているところだが、例えば、児童養護施設に入所している子どもに対しては、大学進学のための給付型奨学金制度を作ったが、そこに加えて、社会的な自立に必要な資格取得など就業支援をより充実していくことができないか、こうした検討を行ってまいりたい。
来年、幼児教育の無償化が行われる予定になっているが、これに合わせて、県あるいは市町村が子どもたちに対して支出している財政措置も大きく変更してくることが見込まれており、こうしたことから、貧困対策を含む今後の子育て支援の充実策につき、11月に予定をしている市町村との協議の場においても議論をして、市町村と一緒になって取組を進めていきたいと考えている。
奨学金制度の具体的な取組について
【竹内質問】
給付型奨学金の充実について、具体的な取組内容は。
【阿部知事】
本県では、全国に先駆けて、平成26年度に給付型奨学金の制度を創設した。
加えて、児童養護施設等入所児童に対する奨学金に、新たに入学一時金を設けるなど、給付型奨学金の充実に取り組んできた。他方で、県内大学等進学奨学金の受給者は1学年あたり30人程度に留まっており、奨学金が充分活用されていない状況もある。
現在、募集時期を9月とさせていただいているが、まだ9月の段階では進路が確定しない状況もあるので、2月頃に追加募集を行うことも含めて、来年度に向けて、制度改正、制度改善を行っていきたい。
また、長野県と国の奨学金を併せて受給をしても、一般的な学費あるいは生活費の半分未満の水準であるというような状況もあり、国における奨学金の検討状況も踏まえ、より子どもたちが学業に専念することができるよう、更なる奨学金の拡充について、検討を行っていきたいと考えている。
大学生等の県内定着を促進するための奨学金については、人手不足時代に県内産業が持続的に発展していくためには、様々な人材の確保が重要であり、とりわけ、大学生等、若い人材の確保は極めて重要な課題で、奨学金制度あるいは返還支援制度の導入は一つの有効な施策と考えている。
現在、各都道府県の実施状況の調査を行っている段階ですが、都道府県によって業種の限定あるいは地域限定、いろんな制度設計がなされている。本県としても、企業あるいは経済団体、学生、地域ニーズ等、しっかり把握をさせていただきながら、本県が必要とする人材の確保に真につながるような制度のあり方について検討を行っていきたい。
「契約に関する条例」の具体化について
【竹内質問】
建設工事における適正な労働賃金の支払いを評価する総合評価落札方式の成果と今後の取組及び適正な労働賃金の支払い実態の確認と定着について
【阿部知事】
建設工事における適正な労働賃金の支払いを評価する総合評価落札方式は、建設業の経営安定と労働環境の整備を一体的に進める取組のひとつとして、平成28年度から試行している。現時点で、本方式を採用して、しゅん工後、関係書類提出に至った工事、26件だが、そのすべてで、元請・下請間の適正な契約と支払いを確認しています。ただ、その数はまだ少ない状況であり、成果として評価する段階にはまだ早いと考えている。
今後も、引き続き試行を継続して、課題等の検証を行ってまいります。
賃金支払い実態の確認につきましては、労働者の賃金が適正な水準にあることとする条例の基本理念を達成するためには、重要なことと認識している。
しかし、他方で建設労働者の方々、お一人が複数の職種を担っていたり、また現場ごとに役割も異なっておりますことから、一人ひとりの適正な賃金を確認することはなかなか容易ではない部分もあり、そのため本試行では、契約審議会での審議を経て、企業間での労働賃金支払の総額を書類により確認する現在の方式が取られている。
ただ、今後試行を進めていく中で、確認方法について、改めて契約審議会のご審議をいただきながら検討していきたいと考えている。
本試行を通じて適正な労働賃金の支払いに関する課題を検証して行くとともに、企業経営の安定に資する取り組みも継続して、適正な労働賃金の支払いの定着を推進していきたいと考えている。
【竹内要望】
適正な労働賃金の支払を評価する総合評価落札方式をこれからも引き続き試行していくということだが、いずれにしても確認のあり方、実際に現場で働いている人達がなるほどな、と、実感が持てるようにして頂きたい。その点は結果がでるように、しっかりと力を入れて取り組んで頂きたい。
公共交通の維持と存続について
【竹内質問】
公約に掲げた「交通事業者と連携して存続・充実に取り組みます。」とは、具体的にはどのような施策を考えておられるのか、今後の取り組みは。
人口減少による中山間地域への対応や県全体の交通ネットワークの形成・維持、観光を含めた利用促進策を検討するため、学識経験者や事業者などで構成する条例による審議会を早期に設置し、具体策を打ち出すべきではないか。
県内共通の交通系ICカードの早期導入について、取組みの現状と今後の見通しは。
公共交通に関連して県内を連結する道路整備について、リニア中央新幹線整備後の県内の公共交通等の利便性を考えれば、特に松本地区の利便性が取り残されることになることから、県内の均衡ある発展のためには、今後の課題として、松本地区の首都圏へのアクセスの利便性をどのように高めるかが課題となる。そこで、松本地区から新幹線上田駅へアクセスする基幹道路として青木峠トンネル等を位置づけ、今後の重点課題としても取り組むべきと思うが考えは。
【阿部知事】
これまでも県としては、市町村をまたぐ地域間幹線バス路線に対し、運行経費の補助や県有民営方式によります車両導入支援を行ってきた。
今後とも当事者のご意見にしっかり耳を傾けながら、必要な路線をしっかり守っていくことができるよう取り組んでいきたい。
具体的な取組としては、まず経営支援として広域・基幹的なバス路線を維持するための補助制度について検討を行っていきたいと思っている。また、貨客混載など運賃収入以外の収入確保策を応援していきたいと思っている。
利用促進としては、信州ナビを活用した観光面での利用促進、そして路線情報の大手検索アプリへの提供等に取り組むことにより公共交通の維持・存続に向けた取組を強化していきたいと考えている。
条例による審議会の設置については、現在、「地域における移動手段の確保・補完に関する検討会」を設置して、様々なご意見をいただいているところであり、この場でのご意見を踏まえて、今年度新たにバスロケーションシステムの構築、あるいはユニバーサルデザインタクシーの導入や定期券タクシーの運行といった、今まで手薄であったタクシー事業者に対する支援。更には貨客混載方式の拡大に向けた事業者間のマッチングといった具体的な取組を行っているところ。
公共交通の維持・確保や利用促進策について、今後どのような場で検討していくことが適切かということについては、今後の課題とさせていただきたい。
青木峠トンネルの整備については、上田地域と松本地域を結ぶ、経済面、観光面、防災面からも重要な幹線道路であると考えており、本年5月にルート帯を公表した。引き続き、早期事業化に向け具体的なルート・構造の検討を進めたい。
【小岩企画振興部長】
交通系ICカード導入に向けた取組の現状と今後の見通しについては、先日、JR東日本からは、現行のSuicaと各地域の交通系ICカードを1枚のカードにまとめた新たなシステムの開発を行い、目標として2021年春の提供開始を目指すとの発表があったところであり、こうした動きも踏まえつつ、交通事業者や市町村等と協議の上、年度内には導入する具体的なシステムやスケジュール、地域等を決定できるよう引き続き取り組んで行く。
県立病院機構の運営について
【竹内質問】
2年連続の厳しい運営状況についてどのように受け止めているか。また今後の支援策は。さらに、平成30年度の経営状況の見通しは。
県人事委員会ではプラス勧告が予想されるが、その場合の病院機構の対応は。
【阿部知事】
2期連続の損失の計上は、私としては、県民の皆さま方に県立病院機構による医療サービスの持続可能性について不安を与えているということに対して、大変申し訳なく思っている。県立病院機構には徹底した取組を行うことにより、経営改善そして信頼回復を図っていただくことが必要だと考えている。
今後の支援については、まず、病院機構も問題意識を持っていただく中で、本部事務局に経営改革統括責任者を配置するとともに、病院の職員配置の見直しにも着手しているところであり、機構の努力に期待をしている。
県として毎年多額の運営費負担金を交付しているが、今後のあり方として、独法としての自助努力の範囲と、県として負担すべきもののあり方について、引き続き研究をしていきたいと考えている。
平成30年度の経営の見通しについては、年度計画において黒字化を見込んでおり、実際4月から7月までの実績も、約2千4百万円の黒字という状況。
人事委員会勧告への対応については、勧告が出された時点で機構において検討されるものと考えている。
障がい者法定雇用率の水増し問題について
【竹内質問】
雇用率の水増しは、本来就業できる障がい者の労働機会も奪う深刻な問題でもある。県で生じた原因は何か。あわせて再発防止の具体的対応と今後の取組みは。
【知事知事】
県民の皆様、特に障がい者の皆様方の信頼を大きく損なうものであり、深くお詫びを申し上げる。
直接的な原因は、算定の対象となる障がい者について、国のガイドラインが障害者手帳等による確認を求めているにもかかわらず、障害者雇用促進法で定める障がいの状況・事実をもって判断してきたことにある。
また、法で定める「常勤職員」にどこまでの職員が含まれるのか、国に明確な判断基準を求めている。
今後、現状をしっかりと把握し、法定雇用率の達成に全庁挙げて取り組むことはもとより、法定雇用率の対象職員に入らない職員も含めて、障がい者の就労が進むよう、働きやすい環境づくりに全力を尽くしてまいりたい。
そのため、各部局横断的な検討組織を設置して、障がい者の方々が働きやすい職場環境づくりや、採用枠の拡大について具体的な検討を開始した。今後、障がい者を講師に招いて、障がい者雇用等に関する研修会を開催するなど、職員の意識改革もあわせて進めてまいりたいと考えている。
大北森林組合問題への対応について
【竹内質問】
平成29年度長野県歳入歳出決算等審査意見書の概要版に記載されている監査委員からの指摘に対して県はどのように取り組むのか。
また、県職員への損害賠償の結果は。
【阿部知事】
大北森林組合が再生し、事業経営計画及び補助金返還計画が着実に実行されるよう、県として、事業実施や経営状況の報告を徴取するなど、定期的に計画の進捗を確認し、組合に必要な指導・支援を実施してきている。特に、森林整備に必要な計画作成のための制度的・技術的指導や、森林所有者の境界の確認あるいは同意取得への支援は大変重要であることから、地域の森林整備の推進に向けた指導・支援を重点的に行ってきている。こうした取組を通じて、組合の早期の経営健全化と確実な債権回収に努めていきたいと考えている。
他の補助事業者への債権についても、今後とも引き続き、粘り強く支払いに向けた交渉を継続して行く。
組合元専務等に対する損害賠償請求については、中村元専務からの任意の回収が期待できないことから、今回、訴えを提起せざるを得ないといと判断して、今議会に議案を提出させていただいた。
県民からの信頼回復については、職員の意識改革、そして風通しのよい職場づくりに、林務部のみならず全庁をあげて取り組んでいるところです。
今後も、私も含めて、一人一人の職員がしっかりと問題意識を持って職務に取り組むことによって、県民の皆様方からの信頼回復ができるよう、全庁を挙げて取り組んで行く。
この事案に係る県職員に対する損害賠償請求については、本年2月の「長野県職員の賠償責任に関する監査結果」に基づき、財務会計職員4名と非財務会計職員7名に対しまして、3月19日に賠償命令及び損害賠償請求を実施し、対象となった職員からは、7月19日までに、請求どおりの納入がなされた。
会計年度任用職員制度導入への対応について
【竹内質問】
2020年度から会計年度任用職員制度が導入されるが、行政事務臨時嘱託員の扱いは。
また、特に消費生活センターで尽力している消費生活相談員の処遇改善が必要と考えるが会計年度任用職員制度を活用した処遇改善ができないか。
【関総務部長】 地方公務員法等の改正により、行政事務臨時嘱託員については、2020年度に会計年度任用職員への移行を予定している。現在、新たに支給が可能となる手当の取扱いなどについて、整理すべき課題について洗い出しを行っている。質の高い行政サービスを維持・提供していくためには、正規・非正規にかかわらず、すべての職員がその能力や経験を活かして、活躍できる環境づくりが大切であり、地方公務員法等の改正趣旨を踏まえながら、適切に制度設計を進めてまいりたいと考えている。
必要となる条例制定の時期は、2020年4月1日の施行に間に合うよう、来年度中に条例制定できるよう鋭意検討を進めていきたい。
【角田県民文化部長】 会計年度任用職員制度導入への対応のうち、消費生活相談員の処遇改善については、今後の会計年度任用職員に関する県の制度設計の状況を踏まえて、検討してまいりたい。
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