治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

ニキさんとこよりさん

2017-03-06 09:07:13 | 日記
鹿児島の講演から帰ってきました。
定員70名のところ、東京から沖縄まで94名の方にお越しいただき、机を片づけてぎっしり並べた椅子にお座りいただいた皆様で会場は満員。早い春の来た鹿児島ですから、エアコンを入れました。温度だけではなく最初から最後まで泣いたり笑ったりの熱い講演だったと思います。その様子は主催のねこ母さんのブログでおわかりいただけるかと存じます。

さて、鹿児島講演のご報告記事題名がなぜ「ニキさんとこよりさん」なのでしょうか?
ニキさんがサプライズゲストで現れた? いえいえ。
九州ということでちゅん平さんは来てくれましたし、愛甲さんも神田橋先生のところでのお勉強もかねて来られました。でもニキさんは影も形もありません。それでも私はこの旅の間ずっとニキさんのことを思い出していました。そして当日の対談でなんでかわかりました。こよりさんとニキさん。ニキさんとこよりさん。人生の課題もベクトルもそれぞれの二人ですが、実はとても似ていることに対談を経て気づいたのです。それは、たとえば柔道で組んでみると相手の性格がわかったりするような、「組んでみたからわかる」ということだったのかもしれません。

ニキさんと似ている、ということはお仕事的にどうかというと、私とは漫才に容易になりやすい、結果、面白くてためになる講演がやりやすい相手だとこよりさんの資質を発見した感じです。あと、こよりさんのどこが貴重かも言語化できました。

このギョーカイには療育母さんたちがいますね。そういう人をもてはやす勢力がいる反面、母さんはあくまで母さんでいた方がいい、親が療育者になってはいけないとする勢力もいます。そしてこよりさんの場合には、療育、すなわち特性のあるお子さんたちの子育てという意味では優れているんだけど、あくまで母さんなのです。健常児の母さんと同じくらい自然な子育てだけど、でもそれはお子さんたちの特性に沿ったものなんですね。

こよりさんにとって四人のご高齢者の介護だったり凸凹キッズの子育てだったりが課題だということはわかりやすいです。一方でニキさんの課題は何かというと(別にこよりさんにしてもニキさんにしてもその全人生を知っているわけじゃないけど)、最近、ニキさんてもしかして猿烏賊的な人に出会ってその人たちに遠慮してというか顔色を伺ってというかそういう風に生きてきたのかなあとうっすら考えるようになってきました。だとすると腑に落ちるところがある。

猿烏賊的な人は自分の卑屈さをなんら恥じることなく自分よりちょっと優れたもの持っている人がいると人のことずるがったり羨ましがったりしますね。私にしたらそんなもんはくだらんのではねつけて反撃しますが、うるさいのでその人たちの目に留まらんようにする生き方もあるでしょう。「闘うか逃げるか」ですね。まあ逃げることを選ぶと結果びくびくするんですが。そしてニキさんのびくびく度合いって育ちの中で出会った猿烏賊チックな人への防衛対策なのかなとなんとなく思ったのです。

そんなこんなで二人はすごく違うように見えるんだけど、世の中に流れている言葉のどこに引っかかるかとか、結果説明がめんどくさいこととか、そして「めんどくさいね」って私が言ってもいい意味で悪びれないとことか、そういうところがとても似ていると思いました。似ているんだけど人生の課題が違うとこう違って見えるのか、とそこが新鮮でした。

そしてお二人とも、親御さんとの関係では苦労してきただろうし、その苦労が傷になってきただろうということも理解できました。

そして前夜の鹿児島饗宴ではお二人と逆に、自閉っ子の母であるがゆえに傷ついている母たちとも出会ったので、急遽ちゅん平さんに頼んで「すべての母さんたちへ」(『自閉っ子と未来への希望』収録)で講演をしめくくりました。千疋屋のパフェで取引したのです。どうせ食べきれないと思うけど自腹で食べるもんじゃないし、インスタにアップできるのでいいと思います。


いつものとおり、たくさんの人が泣きました。
私も泣いてしまいました。何度目かわからないけど、とにかくちゅん平さんが「親は出待ち」という世界観を持っていたころからの長い道のりを思い出してしまうのですね。

まあそんなこんなで濃い講演でした。
お越しになった皆様、主催のねこ母さん、お手伝いしてくださった読者の方たち、朗読してくれたちゅん平さん、ねこ母さんの旦那どんさんに感謝です。

それと「こより×浅見」は笑えるユニットだということがわかりました。
このペアは面白いです。またどこかで企画してください。このペアはうち主催じゃないほうがいいと思います。濃いです。笑います。びっくりします。そして学べます。「どうしてもこのペアで来てほしい」とリスクをとってくださったねこ母さんに感謝。そしてたくさんの方が来てくださって本当によかったです。

「こういう凸凹キッズ育てがあることを鹿児島の人にも知ってもらいたい」という郷土愛が生んだ企画でした。そして慧眼でした。

また皆様にお会いできますように。



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4 コメント

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ボケとツッコミ (こより)
2017-03-06 09:41:46
ついつい話が 横に流れて戻らなくなりがちな私に「お前 それ ちゃうやん」という様な形で 本筋に戻して下さったり 聞いている方の 聞きたい事に 話を振ってくださり 大変ありがたかったです。

ボケが私でツッコミが 浅見さんでしょうかね?何しろ私も 楽に話すことができましたが 漫才に なっていることは 言われて 気がついた次第です。

また 浅見さんと漫才、いやコラボしたいです。どういう内容か 興味を持った方から依頼が 来たら行きたいなと思います。

企画して下さった方や いらして下さった方、なにより ツッコミを入れて下さった浅見さんに感謝です。皆さんありがとうございました。
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ありがとうございました! (ねこ母)
2017-03-06 11:41:04
11月に企画したときから、私は、自分がリスクのあることをしている自覚が全くないまま、講演会の当日まで来ました。食事会でこよりさんに「本、1冊出しただけの楽隠居してるおばさんの講演に云々」と言われ、ハタと気がつきました。ラーニングセンターしてるといっても、鹿児島で無名どころか埋もれているとこが主催なのに、よくぞ、お二人とも講演会を快諾してくださった!と。
そして、今、鹿児島に必要なのは、やっぱりこよりだった!と講演会を聞きながらしみじみと思うことでした。そして、この講演会は誰かの自己肯定感を満足させたり、自分の夢実現の足がかりにするための踏み台でもなく、「親御さんに、子どもさんに治ってラクになって欲しい」という真っ当な思いが根底にあり、そこのブレが一寸もない者同士で組んだので、本当に良い講演会だったんだと自画自賛します。本当にお世話になりました。ありがとうございました。
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いい講演に満ちました (いぬこ)
2017-03-07 17:08:06
充足の講演でした!(^人^)
こよりさんの御本を読む度、娘がたまらなく
愛おしくなり、ぎゅうっとします。
治ってる娘の育ちにも、これまでに何の悔いも
無いけど、読む度、今この気持ちでもう一度娘を育てたい欲が湧くのです。○○が刺激されるのか。
だから、講演はとっても楽しみでした。
浅見社長の完璧すぎるリードに聴き惚れ、
こよりさんの優しいお声と雰囲気に笑って、
泣いて。
と、娘に会いたい。ムラムラと、ほわほわと
素に?巣に?帰る様に思い、ぎゅうとしました。
(出前じゃない母感アピールを足しつつ)
まだまだ続く子育て。
母になったとは言え、わずかな時間でも自身の楽しみも見失わない。
力が湧いたり、抜けたり、いい時間でした。
尊敬するこよりさんの生き方はできないけど、
もっと素直に。もっと動物的に。自分らしい
母ちゃん力を発揮できる気が満ちました。
ありがとうございました!
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人のコピーでは意味がない (こより)
2017-03-07 19:58:25
私は 尊敬していただけるような親ではないのですが、講演がお役に立ったことがうれしいです。これも 浅見さんや たくさんの方々のおかげと思います。

どの方も、どのお子さんにも それぞれの魅力があるのですから、それを活かして 修行しつつ、無理はせず、普通の暮らしの中で
親子で 自分らしく 楽しく生きていかれることを 願っています。

それが 講演に わざわざ何の肩書もない 「ただのおばさん」である私の話を聞きに来て下さった方たちに 思う事です。

私の本を 読んで お役にたつ部分を 取り入れたりしていただければ うれしいですが、皆さんが 私のコピーになってしまっては 意味がないと思うのです。

いろんな親御さんに 会う機会がありますが、「こよりさんみたいなお母さんだったら うちの子も違っていたかも」という発言をされた方がいて、私は それは違うと思い、その方にはその方なりの 子育てをしていってほしいということを お話しました。

理想や目標に向かって努力することはいいと思いますが、あくまで 人生の主役は自分自身ですから、人のコピーを目指しても 意味がないと思います。

私も 子どものころには きょうだいやいとこと比較されたりして「OOちゃんみたいになりたい」と思っていましたが、理想や目標を持つ事と 自分以外の人のコピーをめざすことは違う、と気づきました。

人はそれぞれ 持ったものが違い、いろんな人がいてこそ 社会が成り立つのだと思います。



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