治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

そらパパとこよりさん

2016-07-29 09:54:05 | 日記
今度の事件を機に「障害者抹殺せよという風潮になるのでは?」みたいに心配する人がフシギでした。
まあ世の中には、岩手のがれきを大阪で燃やすと放射能汚染が起きると主張する人がいたり、震度三で怯える人がいたり、とにかくありえない心配事を抱えている人が多いので恐怖麻痺反射の残存した人と見ればいいのかもしれない。
でもどう考えても今度の事件は、異様な人が異様な妄想に駆られてやったことなので、これで障害者大虐殺が起きるとは考えにくい。
コメント欄にも書きましたが、石原慎太郎氏がいくら暴言を吐こうと、氏が刃物持って施設を襲いに行くことはありえない。そして「障害者に金を使われるのは無駄だ」と思っていても納税をその理由で拒否する人もいないでしょ。

「そもそもさあ、障害者を安楽死させろとか言ってる人を見た事ないよね」と言うと
「そうそう」という意見と
「某大手企業の工場勤務のときにはそういう意見をひんぱんにきいた」という意見と。
へーそうなの。
ずいぶん民度が低いのね(ブ)。
そうしたら「大手企業あたりはそうじゃないか」という意見も。なんで? ってきいたら「経済至上主義だから」だって。これはまた目新しい視点。私の周囲は大手企業の人多いけど、どっちかというとみんなおっとりしているよ。そして誰かが「障害者は安楽死」とか言い出したらたしなめるんじゃないかな、普通。

でもそれが普通じゃなかったんだなあと思いました。

まあそらパパみたいにいじけるのをフルタイムの仕事(残業たっぷり)にしているみたいなやつが勝手に解釈して勝手におびえててもまた自家中毒起こしてるな~と思ってなまあったかく見守っていればいいんだけど

今朝こよりさんからメールが来て、やはり事件をきっかけに調子を崩しているらしい。
なんでかというと、「できの悪い子は無駄だ」みたいに言われた記憶がよみがえるんだと。

私はびっくりしたんです。
世の中にはそういう民度の低いこと言う人間、そしてそれに死んだふりしてたしなめない人間がいるのか、と。

こよりさんは普段はいじけない人。だからそこでわかったのね、私にも。
そしておそらく、私は民度の高い人たちに囲まれて生きてきたんだろうなと思いました。
そういうことを言う人はいなかったし、いたら言った人が周囲にたしなめられていただろう。
だから、修行を屈託なく推薦できる。
このような事件を防ぐためにこそ、治る方向の知見を出版したい。


いのちはいのち。大事ないのちだからベストの状態に近づこうよ。この子たち可能性あるよ、っていう意味で修行を推薦してきた。
迷惑かける特性があるのなら、感覚面にバグがないかチェックしてそれを調整し、ラクな身体を作ってあげようよ。そのためにこういう手段があるよ、と本を出してきた。
行動障害は誤学習によるものかもしれないよ。そしてその誤学習を生み出しているのは支援かもよ、とギョーカイをディスってきた。

でも「よくなろう」という呼びかけを、どうしても悪意に取る人がいた。頭がおかしい人たちだと思っているし、実際に頭がおかしいんだろうけど、何かにつけ「できの悪い子は無駄」というメッセージを受け取っていたのかもしれませんね。こよりさんが受け取っていたくらいだからそういう人は世の中多いのかもね。それでいじけていたのかもしれない。

でもさ

そういうことを言う人は民度が低いんだから、無視すればいいだけ。じゃなければ「なんでそんなこと言うの? 恥を知りなさい恥を」って言ってやればいいでしょ。

折しも東京都知事選で、増田候補の応援に駆け付けた石原氏が小池候補について暴言を吐いたときの対応について、橋下徹氏がまたぐうの音も出ない正論を。


本当にそうなんだよ。
ふらちなことを言う人がいたら、「バカなこと言うんじゃないよ」って言ってやればいいんだ。つまんない意見をうじうじ内面化して世の中を曲解する習慣をつける前にさ。

それでもこよりさんがスルーできなかったのは、りちぎな脳みそだからだったかもね。

猫本のあとがきに私が「こよりさんはつねに私の尊敬の対象だった」と書いたのを読んでこよりさんはびっくりしたらしい。私もまた、こよりさんの尊敬の対象だったんですって。

自分が尊敬される理由はよくわからないけど、こよりさんはいつも人生の課題を真正面から受け止めて、軽やかに乗り越えていく。人をうらやまない。自分のできることをやる。私が尊敬しているのはそこです。

だからさあ、つまんないこと言われてもスルーすればいいんだよ。
難しいかもしれないけど。

ナチスを持ち出した人もいました。
「実際にああいう例があった」と。

愛甲さんからもそういう話がきたな。

でもさ、あれは異常な時代のことですよ。
何しろ一つの民族大虐殺しようとしたんですよ。
まあ今も大陸で進行中かもしれないけど、今の日本では杞憂。
もちろんネットでそういう意見吐くやつもいたとしても、実際に襲わないって。

そして愛甲さんも指摘してたけど、ドイツは戦後、障害者の数が減り、だからこそ残った障害のある人たちに手厚くできるようなった面もあるのよ。そこには当然贖罪の意識もあると思います。ナチスを選んだのは当時のドイツ人。でもそれを償ったのも同じ国の人たちです。

釧路高専の松崎先生が、たまにはいいこと言ってました。
「今回の事件は猟奇的で異常なことなんです!」と断定する方が抑止力になるだろう、と。

本当にそうだと思いますよ。