エゼキエル書 26章
26—28章では、ツロに対して神のさばきが宣告されています。ツロは、地中海沿岸の商業、貿易都市として栄えました。ダビデやソロモンの時代にはツロの王ヒラムとの間に友好的な関係があり、特にエルサレムに神殿を建てるときには、多量の木材と技術者をヒラムが供給したことで知られています。その後ツロは、周辺の大国の支配の間をかいくぐるようにして繁栄し続けました。
ツロが神のさばきに会う理由は2節に明らかにされています。ツロにとってエルサレムはライバルのような相手。そのエルサレムがバビロンによって破壊されたことを、ツロは「国々の門は私に明け渡された。私は豊かになった」と言って喜んだのです。
神はそのようなツロを破壊し、海の中の網を引く場所とすると語っておられるのです。具体的にはバビロンのネブカデネザルがツロを攻略します。最終的にツロが破壊されのは、紀元前四世紀のアレクサンダー大王の攻略によってです。
商いをして栄える町や国、組織、企業は、利益を上げること、繁栄がが幸福の基準だと考えます。そのために、時にはライバルが何かで失墜などしようものならば、自分たちにチャンスが巡ってきたと小躍りすることもあります。この章には、ツロが頼りにしていたものが並べられます。力強い柱、財宝、商品、城壁、住み心地のよい家、石、木…。これらのものは、戦いを経ることがなくてもいつかは手放さなければならないもの。
このところ、日本の大きな鉄鋼メーカーの不祥事のことが報じられています。何を頼りにし、めあてにしているのだろうかと問わているように思います。