みことばの光的毎日

聖書同盟「みことばの光」編集者が綴るあれこれ

彼の言うことを聞け

2019年06月29日 | マタイの福音書

マタイの福音書 17章1−13節

 買い物を兼ねての散歩の途中、よく犬の散歩をしておられる近所の方と出会います。「きょうも散歩かい?」などと話しかけてくださるのですが、見ると犬が濡れています。「犬がプールで泳いできたんだ。」「エッ?」と尋ねると、「ほんとうはね、庭で水をかけてやったんだ」と笑顔で答えてくれました。

 ここには、「イエスの変貌」というタイトルがつけられます。変貌の山はどこかについては、「高い山に…」とありますので現在のイスラエルとシリヤの国境にあるヘルモン山だと思われます。一方、ナザレの突き落としの崖から望むことのできるタボル山だという伝承もあります。

 ここでイエスに伴ったペテロとヤコブとヨハネは、驚くようなイエスのお姿を目の当たりにするだけでなく、モーセとエリヤの姿も見ることになります。モーセは旧約聖書の律法を代表し、エリヤは預言者を代表すると言われます。自分たちの師が想像をはるかに超えたお方だということを目に焼き付けたのです。ペテロは後に、「私たちは、キリストの威光の目撃者」であり、自分は確かに、山で主とともにいたので、天からの神の声をこの耳で聴いたとも書いています。→ペテロの手紙第二 1章16−18節

 この光景を見て感動したペテロは、本当のところは何と言ってよいのかわからず、しかし何かを言わなければという思いに駆られて、幕屋を三つ造るなどと言います。その時に天からの声が響いたのです。この声は、イエスがヨハネからバプテスマをお受けになったときにも聞こえました。しかしここでは、特に口出しをしたペテロのことを踏まえてでしょうか、「彼の言うことを聞け」ということばが加えられています。

 このことばは、いつも私が心して覚えておくべきこと、そして実行すべきことなのです。

[訂正]明日(6月30日)の「みことばの光」の本文下段で、曜日を間違えておりました。正しくは <6月30日(日)のために> です。おわびして訂正いたします。


示すお方

2019年06月28日 | マタイの福音書

マタイの福音書 16章13−28節

 「みことばの光」の表紙をめくると、花の写真のページがあります。写真を提供してくださっているスイスのMさんから水曜日に送られてきた写真を、ご厚意で拝借させていただきました。庭のケシの花の中で「みことばの光」を傍らにしてデボーションをなさったとのことです。

 スイスは多くの人が憧れる美しい地。主イエスと弟子たちが向かったピリポ・カイサリアもヨルダン川の源流付近にある水の豊かな美しい地です。当時この地を治めていたヘロデ大王の子どもの一人、ヘロデ・ピリポが町を整え、ローマ皇帝ティベリウスに敬意を表してカイサリアという名をつけました。そしてここは、地中海沿いにあるカイサリアと区別するために、「ピリポ・カイサリア」(ピリポのカイサリア)と呼ばれています。

 ここで、歴史に残ることが起こります。「ペテロの信仰告白」です。イエスがどなたかを簡潔に、そして正確に表わしています。主イエスは、ペテロの告白をお聞きになって「あなたは幸いです」と言われました。このようにイエスを告白する者は幸いなのです。

 彼の告白は、イエスのそばにずっといて、観察し考察して生み出したものなのでしょうか。彼自身の発意によるのでも、知恵あるだれかが教えたものでもなくて、天におられるイエスの父が明らかにしたことだと、主は言っておられるのです。

 ヨナの子であるシモンを「石」を意味するペテロと呼び、この「岩」の上にわたしの教会を建てますとイエスは言われました。ことばの語呂合わせのようです。そして、ペテロに天の御国の鍵を与えると約束されまし。しかしそれは、ペテロ一人にではなくて、ペテロのように信仰告白をした者によって成っている教会が賜わったもの。それを決して人をさばくことなどして誤用することのないようにと教えられます。


見分けられない

2019年06月27日 | マタイの福音書

マタイの福音書 16章1−12節

 駐車場のアスファルトが柔らかくなるほど暑い水曜日でした。使っているMacも夏バテ気味。

 人は、普段は対立していても敵が同じだと一緒に行動できるものなのだと、「パリサイ人たちやサドカイ人たちが」ということばから思いました。「イエス憎し」が彼らをまとめるのです。人が謀(はか)ることの醜さや虚しさを覚えます。

 彼らは天からのしるしをイエスに求めます。イエスがメシアであるなら神からの証拠を見せるようにということでした。これまで、数多くのしるしをイエスは人々の間で行ってきました。けれども彼らは、イエスがなさったことを悪魔の力によるとして否定していたのです。

 イエスは、夕焼けなら明日は晴れ、朝焼けならその日は荒れ模様と見分けられるのに、なぜ私についてのしるしを見分けることができないのかと反論されます。そして、十字架と復活こそご自分がメシヤであることのしるしだとおっしゃるのです。

 弟子たちもまた、大切なことを見分けられないでいます。イエスがおっしゃったことの意味がわからないのです。二度もパンと魚のしるしを目の当たりにしたにもかかわらず、彼らはパンがないことで互いの間を責め合ったのでしょう。主イエスがおられるのに…。

 しかしイエスは、弟子たちにご自分がおっしゃったことの意味を教えられたのです。きょうの「みことばの光」に、「見分ける力がなくても主のそばにいたことで、弟子たちは悟ることができた」とあります。鈍い者ですが、あなたのそばにおらせてくださいと祈ります。


かわいそうに

2019年06月26日 | マタイの福音書

マタイの福音書 15章29−39節

 日本からメールをいただき、最高気温が33度で、暑くてアイスクリームを食べたとありました。返信をするために、昨日の当地の気温を確認しましたら、36度! 私もアイスをいただきました。きょうの予報は、さらにびっくりの38度とのこと。日本で住んでいた所といい勝負です。

 そんな中でこの箇所を読みますと、イエスさまが登られた山の上は涼しかっのだろうかと、普段は考えないようなことを想像してしまいます。

 マタイの福音書は、群衆が連れて来た人のことを書いています。「ふーん、そうなのか」と読み過ごしてしまうのですが、イエスのところに連れて来られた一人一人にはそれぞれに辛い経験があったのだろうと、いろいろと考えます。連れて来たのは、その人たちの家族や友、そして近所の人だったでしょうか。何とか良くなってほしいという、連れて来た人の思いが伝わってきます。

 そして、イエスは彼らを癒されたました。イエスのところに行くならば何とかなるというのはあまりにも虫のよい考えでしょうか。そうではないと思います。イエスのところに行けば何とかなる、何かが変わると信じます。

 三日間もご自分と一緒にいて空腹な人々を見て、イエスは「かわいそうに」と言われました。32節は弟子たちへのチャレンジに響きます。しかし、彼らは自分たちが経験した5000人の給食から学ぶことはなかったようです。

 そんな弟子たちを、イエスは訓練されます。5000人の給食のときと同じような手順であるのに目が留まります。人は何度も同じことをすることによって学び、身についていくのだと思わされます。


そのとおりです、ただ…

2019年06月25日 | マタイの福音書

マタイの福音書 15章21−28節

 川沿いのいつもの散歩コースでトンボを発見。ヤゴから羽化したばかりの「新人」です。小さくて爽やかなスタイルだなぁと、見惚れてしまいました。ずっと上では「巨大トンボ」が音を響かせて北へ向かって飛んで行きました。

 イエスは、ガリラヤからツロとシドンの地方に退かれました。イエスを王にしようとの群衆の熱狂、うわさを聞きつけたエルサレムの権威者の来訪などを避けるために、異邦人の地に退かれたのかもしれません。しかし、そこでもイエスを待っている人がいました。悪霊につかれてひどく苦しんでいる娘の母親でした。

 「主よ、ダビデの子よ」との女性の叫びに目が留まります。彼女はイエスが救い主だと信じていたのです。どのようにして彼女が信じるようになったのかは書かれていません。おそらく、イエスの教えを聞いた人が、イエスのしるしを見た人が、この地方にも伝え広げて、彼女の耳にも届いたのでしょう。今ならば、情報がSNSなどによってあっという間に「拡散」されていきますが、そのような手段のなかった当時としては、驚くようなことです。

 彼女はイエスに向かって叫び続けます。弟子たちが「あの女を去らせてください」とイエスに訴えるほどですので、ずいぶんと大きな声で、また長い間叫んでいたのでしょう。エリコの町でバルテマイが大声で「ダビデの子のイエス様、私をあわれんでください」と叫んだ場面と通じるような気がします。→マルコの福音書10章46-52節

 彼女の叫びへのイエスの対応は、冷ややかに見えます。最初は何も答えず、次はご自分がイスラエルの家の失われた羊たち以外のところには遣わされていないと言われ、さらには、子どもたちのパンを取り上げて小犬に投げてやるのはよくないと言われるのです。それは、イエスが暗に彼女の願いを断わられたということです。

 そんなことを言われたら心が折れるか、もうお願いなどしないとふてくされるか、でしょう。けれども女性はイエスに食い下がります。知恵深いことばで…。「そのとおりです、ただ…」ということばからは、彼女の人となりが浮かび上がってきます。


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